ADL改善に必要な介入を考えられるようになるには?どんなルートがあるのか考えてみました[療法士に必要なセルフエクササイズの考え方~その70~]

ADL改善に必要な介入を考えられるようになるには?どんなルートがあるのか考えてみました[療法士に必要なセルフエクササイズの考え方~その70~]

こんにちは!
モーションアナライシスコース講師の吉田頌平です。

最近、僭越ながらADL遂行状況を評価することにお悩みの方に対してお悩み相談を頂戴する機会が増えました。ご相談にいらっしゃる方の年齢層は幅広く、経歴もさまざまです。そのなかでも新卒に近い若手の方とお話ししていると、私自身がADL遂行状況を評価するために文献を読み漁っては観察することを繰り返していた頃のことを思い出します。

ADLを観察・評価したことがある人はご存知だと思いますが、ADLのほとんどは個人の生活に左右されることが多く、具体的に求められる関節可動域が不明確であることが多いものです。つまりそれだけ、新人の頃からADL改善に必要な動きを見定めるのはハードルが高いのです。

「じゃあ世のなかの新人さんは、一体どうやってADL改善に必要な動作を抽出できるようになったの?」と思いますよね?

そこで今回は、新人からADL改善に必要な介入を考えられるようになるにはどんなルートがあるのかを、私なりに考えてみました。少しでもADLへ具体的なアプローチをしたいと考えている方の参考になれば幸いです。最後にはちゃっかり療活のMotion Analysisコースへのリンクボタンも設置しているので、ご興味のある方はぜひそちらもご覧ください。

ADLを見るための方法とは

「ADL改善に必要なポイントを評価できるようになりたい!」と思ったときにまず思いつくのが、「教科書を読むこと」ではないでしょうか。ご多分に漏れず、私もADLに関する教科書をまず参考にしました。教科書なので当然、学生向けの教材として出版されているわけですから、概論的な内容が多く、すぐに活用できそうな内容は残念ながらあまりありませんでした。なのでわかってはいましたが、現場でどう応用していいのか考えが及ばず。結果は惨敗でした。今思うと、教科書の内容って新人にとってはなかなか難しいですよね……。
(もちろん、ステキだと思う内容はたくさんありましたよ!!)

そんなわけで教科書を読んでADL改善のための介入ができるようになる、というルートは断念しましたが、「私は十分応用できます!」という方は、まずは教科書を参考にしてみるのもいいと思います。

ではここからは、教科書を参考にする以外に考えられるルートを挙げていきます。

1. FIMやBIの基準読み込む

ADLを評価する方法としては、もっとも手堅いルートなのではないかと思います。というのもやはり、最初に現場で使われている指標を理解するほうがハードルは低いですし、何より実用的だからです。

なかにははじめからADLを具体的に見ていくことことにこだわる方もいるかもしれませんが、肝心なのはADLがどのように変化しているのか、その基準をきっちり自分の中に作ることだと思います。私自身は術後の超急性期〜回復期まで一貫して利用者さんを担当させていただけた時もありましたので、割としっかりADLの遂行状況を拝見することができました。ただ実際のところ、申し送りや退院前カンファなどでFIM・BIを参考にする場面もあったので、現場でまず基準ラインを意識しながらADLを観察できるようになるのは重要だったと感じます。

ちなみに初回評価のときは、以下のようにざっくりADL遂行状況を観察していました。同じようなやり方で見ている方も多いのではないでしょうか。

2. 文献を使って、ADLの動作工程を調べる

FIMやBIの評価基準がなんとなくわかってきて、「よし、じゃあADL遂行にどんな動きが必要なんだ??」と悩み始めた頃に文献を読み始めました。もちろん教科書も参考にしましたが、教科書には「どんな作業工程が必要か」が記載されていることが多く、文献には「どんな関節の動きが必要か」が多い印象でした。このとき知りたかったのは後者だったため、文献から情報を得ることのほうが多かったです。

「あ、結帯動作って清拭・下衣更衣・トイレ動作に関わってくるじゃん」
「じゃあ結帯動作って、どんな動きが必要なんだ?」という感じです。結帯動作は肩の動きだけに限れば伸展・内旋・軽度外転が求められますが、実際に手指で物品を操作するためには前腕の回内外も必要ですし、見えないところを想像して物品操作を行う認知機能も求められます。こうした身体機能のつながりって、意外と気がつかないんですよね。

最近では、MTDLPの実践報告やADLに着目した身体機能評価に関する報告などが多く出てきているので、興味のある方はチェックしてみてください。

3. 一度自分のADLを分析してみる

これまで知識に関するお話をたくさんしてきましたが、文章だけでADLを考えていると「ん?結帯動作はできてるのに、なんで手を動かせないんだ??」と代償動作を用いて部分的な動作が達成されていることに気がつかなくなったりします。そのため、得た知識をもとに自分の身体でまず動きを確認することは重要になります。

例えば円背の方がトイレで臀部の清拭がうまくできない場面を拝見したとき、結帯動作が見かけ上できていても、体幹を屈曲し頭部が前に倒れた状態になっていると…座位とはいえ前方へふらつく可能性が高まるため、お尻をキレイに拭くことに意識を向けるのは難しくなりますよね。

当たり前といえば当たり前なんですが、自分で実践・体験してみなければ気づかない盲点はあります。特に、論文などでは自分で姿勢を保てる方を対象に分析していることが多いので「姿勢を安定して保てるか?」という視点は抜け落ちがちです。

なので、現場で利用者さんの様子を拝見する前に、得られた情報をもとに「姿勢を安定して保てるか?」という視点から考えてみると、例えば『座位が安定しない人だったら、そもそもお尻を拭くときにちょっとお尻を浮かせるってことができないよな…じゃあ肩は緊張するからお尻を拭く動きってやるづらいんじゃないか??』など、ADL改善に必要な介入ポイントをより素早く見つけやすくなりますよ。

さいごに

ご紹介してきた通り、ADL改善に必要な介入ポイントを見つけられるようになるためのルートはさまざまなので、まずは自分に合いそうな方法を試してみてください。

もし、動作の観察・分析の視点がわからなくて、ひとつひとつの関節の動きを整理することができない時は、療活の「Motion Analysisコース」があります。

「Motion Analysisコース」では、これまでBasic, Assessmentコースで学んできた触診技術と評価方法を活用した生活の自立のベースとなる寝返り動作への介入方法と、肩・体幹・股関節の動作分析の基礎を身につけられるようになります。

「喜ばれる介入しかしたくない!」という人は、「Motion Analysisコース」で本当に良かったと思ってもらえるリハビリを実践できるようになりませんか?

動作分析が苦手…と思う方の苦手意識が
少しでも「楽しい!」に近づきますように。

ありがとうございました。

\ 講習会情報 /

「運動から実践するセルフケアと運動療法・動作分析 Motion Analysisコース」

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「運動から実践するセルフケアと運動療法・動作分析 Motion Analysisコース」


次の一歩へ進むために、まずは
自分の動きを噛み砕いて分析してみませんか?

療法士活性化委員会
認定講師 吉田 頌平

【療活講習会一覧】”信頼される療法士になるための土台を作る”>>>療活してる?このブログの感想をレターでいただけますか?
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