こんにちは、療法士活性化委員会の大塚です。
前回は対象者の身体機能・脳機能についてお伝えしました。
>>>何を評価していいかわからないのでリハビリテーション実施計画書を参考にしてみた 〜その3 機能の評価〜
今回は能力について勉強していきましょう。
リハビリテーション実施計画書、基本動作について
まず前提としてこの基本動作の項目、FIMやBIとくっついていますよね?なのでこの基本動作というのは「ADLに必要な基本的動作ができているかいないのか?」を記入していきます。
つまり活動に必要な基本的動作ということになります。
療活では機能的な問題点を見つけるために基本動作分析を用いますがその時の基本動作とは異なります!!問題点を見つける基本動作分析についてはこちら>>>動作分析の基本的なみかたと問題点の抽出・アプローチ法
つまりこの場合の基本動作は補助具や介助などを用いてでもできるかどうかが大切になります。
ADLの要素を分解すると基本的動作になるというイメージです。
- 寝返り
- 起き上がり
- 立ち上がり
- 坐位保持
- 立位保持
例えば
トイレ動作
- ズボンを下ろす(立位保持)
- 着座・用を足す(立ち上がり、坐位保持)
- ズボンを履く(立ち上がり、立位保持)
と言った感じになります。
もちろん本当に日常生活を意識したら
リビングから立ち上がり、トイレまで歩いていき、ドアを開けて、中に入り、ドアを閉めて、便座の蓋を開け、ズボンをおろしてようを足し、ペーパーで拭いて水を流し、立ち上がってズボンを上げ、ドアを開けてトイレから出て、洗面所で手を洗い、歩いてリビングまで戻ってくる
と言った工程が必要ですのでより詳細な評価が必要になります。
自立、一部介助、全介助がどこまでなのか問題
正直この境目はかなり曖昧な気がします。今回は後にFIMやBIが控えているのでその基準を用いて解釈しましょう。
自立
7 完全自立
6 修正自立(時間がかかる、補助具が必要、安全性の配慮が必要)
完全にできたら自立でオッケーだと思います。後は環境設定してできるは自立に含めていいと思います。
一部介助
部分介助
5 監視、準備(監視、指示、促し、準備)
介助あり
4 最小介助(75%以上自分で行う)
3 中等度介助(50%以上75%未満を自分で行う)
この一部介助が一番悩む気がします。環境設定した上でさらに指示が必要となると一部介助に含めましょう。そして介助内容が半分以下の場合を一部介助とします。そうすることで
- 介助50%以下→動作の半分は以上は本人が動けている
- 介助が50%以上→動作の半分は介助→全介助
と分けることができます。
介助
完全介助
2 最大介助(25%以上50%未満を自分で行う)
1 全介助(25%未満しか自分で行わない)
全介助は動作の半分以上に介助が必要な場合は全介助としましょう。
介入の順番が見えてくる
自立、一部介助、介助の基準を改めてみてみると介入の順番が見えてきます。
ADL自立にむけた最初の介入は安全の配慮、補助具などの環境設定です。
そして環境設定の後に身体機能に向けて介入します。
特に僕を含めたPTは機能から動作をみて介入は身体機能から入ることがほとんどだと思います。
ただ日常生活の視点から見ると日常は股関節の外転筋が筋力強化されるのを待ってくれません。外転筋のMMTが2→4になることよりも、目の前にある日常生活が送れるようになることが大事だと思います。
もちろん身体機能に対するアプローチを否定しているわけではありません、身体機能へのアプローチも必要ではありますが、リハビリ実施計画書の内容で基本動作がFIMやBIと同じところに配置されているという事実から自立にむけた介入はまず環境設定、その次にそこに必要な身体機能の順になると思います。
要は国としては早く自立に近い状態で自宅なり施設なりに退院して欲しいってことですね。医療費も限られているのでなるべく早く退院して欲しいんでしょうね。
次回はFIM、BIについて勉強していきます!
まとめ
対象者の能力の評価について
- ADLに必要な基本的動作を評価する!
- 自立、一部介助、全介助の基準はFIMを参考にしてみる!
- 介入の順番は環境設定→身体機能の順に行う!
計画書の評価を見直すだけでも介入の順番や、国が求めているリハビリ像が見えてきます。是非活用してみてください。
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