こんにちは、療法士活性化委員会の大塚です。
よくいただく質問の中に「認知症があるかたの対応方法を教えて下さい」「認知症に対してどう対応しますか?」「認知面で問題があってリハ進まないんです」と言った認知症に関するものがあります。僕自身も療養型病院、老健、訪問リハなどで多くの認知症をお持ちの方のリハビリを担当してきました。また養成校に入る前は介護職として老健で働いており、その時、いわゆる認知症棟のシフトのときは「ここに座っててください!」などと対応の仕方がわからずイライラして声を張り上げていたのを覚えています。そこで今回はリハ職でもそうでなくても関わる機会の多い認知症についてお伝えしていきます。
大前提
まず前提として僕らが接するのは人間です。認知症の有無に関わらず、人として接することが基本です。この基本をおろそかにしている場合は、認知症の対応を考えても意味がありません。まず人としてどう対応するのが望ましいのかを考えてましょう。
ではいきます。
認知症の定義
認知症とは,「一度獲得された知的機能が,後天的な脳の機能障害によって全般的に低下し,社会生活や日常生活に支障をきたすようになった状態で,それが意識障害のないときにみられる」と定義されます。
日本神経学会,監修.「認知症疾患診療ガイドライン」作成委員会,編集.認知症疾患診療ガ イドライン2017.東京: 医学書院; 2017.
つまり認知症は生活の障害ということです。
診断基準として
- NIA-AA
- DSM-5
などが用いられます。
認知症の症状
大きく2つ
- 中核症状
- 周辺症状(BPSD)
に分かれます。
中核症状
脳の機能病変から起こる認知症自体の症状です。
- 記憶障害:覚えてない
- 見当識障害:時間や場所がわからない
- 理解判断の障害:判断できない、言ってることが理解できない
- 実行機能障害:仕事、家事などができない
- 失認、失行、失語:認識できない、動作ができない、言葉を忘れるなど
周辺症状
中核症状が元となって現れる、「行動・心理症状」です。同じ認知症でもどの周辺症状が出るかは人によって変わります。
- 不安・うつ
- 徘徊
- 暴力・暴言
- 異食
- 睡眠障害
など
つまり中核症状は脳の病変なので理由はありません、しかし周辺症状は理由があります。
ちょっと想像してみてください。あなたがもし
「朝起きたら見たこともない景色で、知っている人もおらず、連絡手段もない状態になったら」
不安になって、辺りを歩き回り、どうにもできないと落ち込み、なんでだ!と物に辺り、空腹に耐えかねてよくわからないものを口に入れたり、不安で眠れなくなる
といった状態になると思いませんか?
このように周辺症状には何かしらの理由があります。
なので
中核症状には代償的アプローチ
- 記憶障害→メモを取るなど
- 見当識障害→一緒に日めくりカレンダーを切るなど
などど言った介入
周辺症状にはまず
- なぜその行動をしたいのかの理由を明確にすること
から介入していきます。
つまり必要なのが評価です。
認知症の評価で必要な項目
認知症では大きく5つの項目について評価する視点を持ちましょう。中核症状や周辺症状に視点がいってしまいがちですが、認知性は生活の障害なので、
- 現在困っている生活
- これまでの生活歴
を意識して評価しましょう。
- 中核症状:認知機能の障害
- 周辺症状:行動・心理障害
- 生活障害:困っている生活
- 残存能力:残っている機能、能力はなにか?
- 生活歴:どんな人生を生きてきたか?こだわり、趣味など
要は
- どんな機能が障害されていて(中核症状)
- どんな症状が出ていて(周辺症状)
- それによってどんな生活が困難になっていて(生活障害)
- まだ残されている能力には何があって(残存機能)
- どの方法だと受け入れやすいのかを聞いたり、想像する(生活歴)
を評価する必要があります。
次回は具体的に中核症状とその対応方法についてお伝えしていきます。
まとめ
認知症につい勉強してみた
- 認知症は「生活の障害」
- 中核症状は理由がない、周辺症状は理由がある
- まず評価することが大事
認知症と言ってもその原因から病態、症状は様々です。まず何に困っていて、どこが障害されていて、どこはまた機能しているのかを評価し、適切な対応を行うようにしましょう。評価してないのに「どう対応していいかわかりません」は無しにしましょう。
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