毎週木曜日は国家試験の問題と解説をしてきます!!
*あくまで療法士活性化委員会としての解説なので確実な正答を保証するものではありません。必ず自分で調べましょう!
問
脳卒中後の左片麻痺患者に対するADL練習として正しいのはどれか。
- 上衣を右上肢から着衣する。
- 浴槽に右下肢からまたいで入る。
- 階段を上るときに左下肢を先に出す。
- 階段を下りるときに右下肢を先に出す。
- 車椅子からベッドに移乗するときに左半身をベッドに寄せる。
解答
2
解説
脳卒中後の左片麻痺患者の場合、一般的に麻痺側側が非麻痺側に比べて感覚低下、運動機能の低下が起きます。なのでADL動作を行う場合は非麻痺側の残存機能を利用する形で行うと動作が行いやすくなります。
問題文でかんがえてみると
- 上衣を右上肢から着衣する。
→左側の方が運動機能の低下が見られるため、先に左側から通す。 - 浴槽に右下肢からまたいで入る。
→これは正解です。 - 階段を上るときに左下肢を先に出す。
→先に出した足に重心を移動し、体を引き上げるため、これは右足から出します。 - 階段を下りるときに右下肢を先に出す。
→後に下ろす足で体の落下を制御するので左下肢から先に出します。 - 車椅子からベッドに移乗するときに左半身をベッドに寄せる
→非麻痺側への移乗がリスクが少ないため右半身をベッドによせます。
なので解答は2になります。
これを臨床で活かすには?
動作訓練を行う場合に2つの目的をまず確認する必要があります。
日常生活
機能訓練
- 日常生活の場合
「目的とする動作を行えること」が前提となります。機能制限がある場合は機能的なアプローチや改善が難しい場合は自助具や介助を利用して「目的のADL」ができることを目指します。生活環境によっては、問題にあるような基本的な決まりごととは逆の場合も考えられるので、その人に合わせた動作の指導を行う必要があります。
- 機能訓練の場合
動作による機能、能力の向上が目的となります。身体機能を上げたい場合は、介助や自助具はなるべく使わないようにし、身体機能の維持向上を図る方法を選択します。
このように動作訓練でも目的と環境によって方法は異なります。「片麻痺患者だから」というくくりで動作を決定するのではなく、対象者の目的と状態を評価し、動作を決定しましょう。
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