毎週月曜日は一年前にリハコヤでライブ配信されたものの一部を文章でお届けします。
今回は骨盤の安定性についてお伝えしていきます。
骨盤の評価方法は?
骨盤の評価といえば、皆さんがよく考え浮かぶのはマルアライメントの評価ではないでしょうか。
上前腸骨棘と上後腸骨棘を触診し骨盤の前後傾を評価するもので、その差が3横指以上は骨盤前傾の増大、2横指未満は骨盤後傾の増大となります。
2横指が目安と言われていますよね。
ここで皆さんに考えていただきたいのですが、
骨盤が前傾または後傾している場合、その次に何を評価したらいいのでしょうか。
たとえば、骨盤が後傾している場合に、骨盤前傾の練習をしていても、変化が出る場合とそうでない場合がでてきます。
骨盤が前傾するのに必要な関節の動きはどこか、どこの筋肉を促通すればいいのかを考え、骨盤が前傾しない理由を明確にしなければなりません。
そのために、骨盤の機能解剖学が必要になってきます。
骨盤の役割とは?
骨盤の前後傾はなぜ重要なのでしょうか?
それは、『骨盤輪全体の安定性が、体幹の荷重を下肢に伝える』からです。
逆に言うと、骨盤輪が安定していなければ、体幹の荷重が下肢にうまく伝えられない、つまり姿勢が崩れてしまうということです。動作時にも重心のコントロールがうまくできないということが言えます。
ここで重要になってくるのが仙腸関節の動きです。
仙腸関節の動きとは?
仙腸関節の前屈・後屈の動きが重要です。
何が重要かというと、前屈トルクを生む力が仙腸関節を安定化させる、つまり、立位時に骨盤が前傾して仙腸関節が前屈することにより骨盤輪が安定します。これにより体幹の荷重が下肢に伝わり体重を支えることができるということです。
このことから、骨盤のアライメント(マルアライメントの評価)をみていく必要があることがわかってきます。
逆に言うと、骨盤が前傾すれば仙腸関節も前屈すると言えるのですが、他の原因により骨盤が前傾できなければ仙腸関節が前屈できず、骨盤輪の安定性がなくなってしまいます。
なので、次に骨盤が前傾するための要素を考えていきたいと思います。
骨盤前傾をするために必要な関節の動きとは?
座位では股関節は屈曲、立位では股関節は伸展・内旋・外転します。
骨盤を前傾させるために必要な股関節の可動域はあるのか評価しましょう。
ちなみに股関節屈曲の参考可動域は125°ですが、股関節の純粋な屈曲角度は93°程度と言われています。それより先は大腿骨が腸骨にぶつかり腰椎の後弯・骨盤の後傾によって125°まで動くと言われています。
なので、座位で骨盤前傾がいかない場合、股関節の可動域が90°あるかどうか測定してみてください。
仙腸関節を安定させる筋肉とは?
腹直筋とハムストリングスが寛骨を安定させています。そして、腰部多裂筋が仙骨を前傾させるために働いています。
骨盤前傾するための筋肉とは?
腸腰筋と多裂筋が前後からバランスを整えています。
どちらか一方だけでも骨盤を前傾させることは可能ですが、保持することは難しくなるので、しっかりと筋力も測定しましょう。
このように、骨盤前傾するために必要な関節の可動域、仙腸関節を安定させる筋の筋力、骨盤前傾するために必要な筋の筋力の条件が揃うことで骨盤前傾が可能になります。
骨盤が前傾すれば仙腸関節は前屈し、骨盤輪が安定します。
骨盤輪が安定すること姿勢が保ちやすくなり、体幹の荷重を下肢に伝えることができるようになるので、安定した立位姿勢に直結してきます。
まとめ
骨盤の安定性について
- 骨盤輪全体の安定性が体幹の荷重を下肢に伝える
- 骨盤輪を安定させるには骨盤の前傾が必要である
- 骨盤前傾するために必要な関節の可動域、仙腸関節を安定させる筋の筋力、骨盤前傾するために必要な筋の筋力の条件が揃うことで骨盤前傾が可能になる
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