腰痛に対しての考え方

こんにちは、療法士活性化委員会の赤羽です。

みなさんは腰痛の方を担当したことがあるでしょうか。圧迫骨折や椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、非特異的腰痛など、腰痛が症状として出現する疾患はいくつもあります。そのため、実際に担当したり、実習で見学したことのある人は多いと思います。

僕は現在整形外科クリニックに勤めていますが、はじめは腰痛に対して何をすれば良いのか分からず、苦手としていました。

 

なぜ苦手だったかというと…

  • 痛みの原因がわからない
  • そもそも痛みについての対処がわからない
  • どういう評価をしていけば良いのかわからない
  • 自分が介入して悪化させてしまったらどうしようと不安
  • 分からないからとりあえず、筋緊張の高そうな筋をマッサージするしかできない

 

などといったことが要因となっていました。みなさんは同じような経験をしていないでしょうか。

 

腰痛が症状として出現する疾患は多岐にわたるため、本日はそもそも腰痛ってなんだろうというところを一緒に考えていきたいと思います。

 

 

腰痛の定義

・部位について

「体幹後面に存在し、第12肋骨と殿溝下端の間にある、少なくとも1日以上継続する痛み。片側、または両側の下肢に放散する痛みを伴う場合も伴わない場合もある。」

とされています。意外と広範囲ですね。

 

・有症期間について

発症~4週:急性腰痛

4週~3ヶ月:亜急性腰痛

3ヶ月~:慢性腰痛

一般的に3ヶ月以上で経っているものが慢性腰痛と言われるようです。

 

・病態について

「腰痛は腰椎から脳にいたるあらゆる部位で様々な病態が関与している。」

とされています。

ここで「腰椎から脳にいたるあらゆる部位」とはどういうことだろかと考えた人も多いのではないでしょうか。

私ははじめにこれを読んだ時、腰痛を訴えているのだから脳ではなく腰椎やその周辺の組織に原因があるだろうと思いました。

この疑問を解決するためには、疼痛について考える必要があります。

 

疼痛について

まずは、疼痛の定義についてみてみましょう。

疼痛の定義は2020年にIASP(国際疼痛学会)より変更されています。

現在の定義は…

「実際の組織損傷もしくは組織損傷が起こりうる状態に付随する、あるいはそれに似た感覚かつ情動の不快な体験」とされています。

これは、組織損傷があってもなくても痛みは起こることがあるということです。

 

では、組織損傷があってもなくても疼痛を感じるということはいったいどこで感じているのでしょうか。

これは、疼痛の経路を考えるとイメージがつきやすいかと思います。

 

受容器 ➡ 脊髄後角 ➡ 視床 ➡ 体性感覚野・大脳辺縁系・視床下部・前頭前野等

 

体性感覚野:痛みの局在や強度・識別

大脳辺縁系:不快感や苦痛

視床下部:自律神経に影響

前頭前野:情動の制御や疼痛への注意

 

上記の経路から最終的に行きつく脳が疼痛に関する様々な事柄を判断しており、特定の組織自体が痛みを感じているわけではないというのが分かります。

また、疼痛の経路が刺激される要因として組織損傷以外にも感作(末梢性感作や中枢性感作)などがあります。感作とは簡単にいうと本来疼痛を感じない程度刺激でも過剰に反応してしまい疼痛として感じてしまう状態です。

 

これらのことを確認して、先ほどの腰痛の病態について振り返ってみるとたしかに、腰椎だけの問題だけではなさそうで、様々な病態が関与していそうですね。

 

IASPの定義にはさらに、6項目の付記があり、その中の1つに「痛みは個人的な経験であり、生物学的、心理的、社会的要因によってさまざまな程度で影響を受ける」とあります。

これは、BPSモデルの考え方が重要ということになります。

 

BPSモデル

BPSモデルとは、生物学的因子に重点を置く、従来の生物医学モデルを再構築した医学モデルです。

 

BPSは、B:biology(生物学的因子)、P:Psychological(心理的因子)、S:社会的因子(Social)の略です。

 

生物学的因子とは…

 身体機能、発達特性など

心理的因子とは…

 感情、ストレス、自己効力感など

社会的因子とは…

 家庭環境や経済状況、仕事や家族等の人間関係など

 

上記の3つの要因が相互に影響し合って、疼痛につながっています。

僕らは実際の患者さんを目の前にした時に、生物学的因子の側面からばかり原因を考えてしまいがちだと思います。もちろん、3つの要素が相互に関係しているわけですから、心理的因子や社会的因子が強いと予測される人も生物学的因子が全くないというわけではないでしょうし、逆に生物学的因子が強い人も心理的因子や社会的因子が全くないと決めつけられるものではないと思います。

僕らセラピストは患者さんに対して対応する時にはこれら3つの要素を念頭に置いて対応する必要があります。完璧に対応するのは難しいとは思いますが、意識するだけでも対応の仕方が変わることもあるでしょう。それだけでも、今までと同じようにアプローチをしていても結果が変わってくることがあると思いますし、今までしていたアプローチを考え直すきっかけにもなるかもしれませんね。

 

まとめ

①腰痛は腰椎から脳にいたるあらゆる部位で様々な病態が関与している

②痛みは脳が感じている

③BPSモデルの考え方で患者さんをみる必要がある

 

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