こんにちは、理学療法士の赤羽です。
前回は、危険因子の話しとその一つである歩行時のスラストに焦点を絞って話しをしました。
>>>変形性膝関節症に対する評価と介入 ~危険因子から考えてみる~ | 療法士活性化委員会 (lts-seminar.jp)
今回は、危険因子の筋力低下について考えてみたいと思います。
変形性膝関節症診療ガイドライン2023では「膝OAでは機械的因子(メカニカルファクター)の影響が大きいとされ、内外反アライメント、膝伸展筋力低下、歩行時スラスト現象、脛骨関節面内方傾斜、関節可動域制限、内側半月板変性が膝OAのリスク因子である可能性が指摘されている」とある。
この中でもリハビリテーションを提供する上で膝伸展筋力低下は問題点として上がってくることが多いと思います。また、膝伸展筋力は制御が可能な因子の1つのため、膝伸展筋力を確保しておくことは変形性膝関節症の症状改善につながる可能性があります。
膝伸展筋力低下するとどうなる?
抗重力での膝伸展が不十分となる
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膝屈曲位となる
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拘縮等で膝伸展可動域低下
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さらに膝伸展が行えなくなる
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常に膝屈曲位のため膝が不安定となり安定させるために大腿直筋等が過緊張となる
身体重心が後方に位置することで、膝伸展モーメントが働き内側広筋を中心とした膝伸展筋が遠心性収縮し、攣縮に伴う疼痛を生じる
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さらに膝伸展筋力が発揮できなくなる
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抗重力での膝伸展が不十分となる
上記がループして悪循環がおこることで、どんどん可動域制限と筋力低下が起こることになります。そのため、このループを断ち切ることができれば、筋力低下の予防にもなります。
膝伸展筋力を確保するには?(一例)
- 膝伸展可動域の確保
- 膝関節伸展筋の筋スパズム抑制
- 膝関節伸展筋の血流改善
- 膝関節伸展筋の筋力トレーニング
- 膝に水がたまる等による関節原性抑制の改善
- 疼痛の軽減
では単純に筋力低下しているから筋トレだけをおこなえば良いのでしょうか?
筋力トレーニングは大切です。ただ、筋力が確保できてもそれを発揮できる環境が整っていなければ、必要な時に必要な筋発揮が行えません。
つまり・・・筋力トレーニングと並行して膝伸展が可能となる環境を整える必要があります。
膝伸展が可能となる環境を整えるには?(一例)
以下を評価し、アプローチをする必要があります。
- 膝伸展制限はないか
- 膝伸展できるだけの筋力はあるのか
- 股関節伸展制限はないか
- 股関節伸展できる筋力はあるのか
- 腰椎屈曲位ではないか
- 足関節の可動域や筋力はあるのか
上記を評価し、アプローチが行えることで膝伸展筋の機能が発揮できることにつながり、変形性膝関節症の症状改善の糸口になる可能性があります。
まとめ
- 膝関節伸展筋力低下は変形性膝関節症の危険因子の一つ。
- 膝関節伸展筋力トレーニングは大切だが、それ以外にも膝伸展が行える環境を整える必要がある。
- 膝関節伸展を確保するには膝伸展可動域だけではなく、他の関節もみていく必要がある。
変形性膝関節症のリハビリテーションを学ぶには
【初学者向け】膝関節疾患に対するリハビリテーション | 療法士活性化委員会 (lts-seminar.jp)