リハビリに必要な物理学について〜熱力学〜

こんにちは、療法士活性化委員会の大塚です。

理学療法士大塚久

 

本日も物理についてお話ししていきたいと思います。

今回は熱力学についてお話しします。

 

 

熱力学とは?

 

熱力学とは、温度や熱を力学的に解釈したものです。温度は力学的に考えるとエネルギーのことです。

「熱」と「温度」が混同しやすいのですが、熱は受け渡された何かのことで、温度は運動エネルギーのことです。

 

例えば、60℃の水が入っている物体と10℃の水が入っている物体があるとします。この場合、60℃や10℃というのが「温度(運動エネルギー)」です。そして、60℃の水の半分を10℃の水が入っている物体の方に、10℃の水の半分を60℃の水が入っている物体の方に入れるとします。そうすると二つの物体の中の水の温度はだいたい同じくらいの温度(40℃〜45℃程度)になります。この何が変わったか?というのが「熱」です。

 

 

絶対温度とは?

 

絶対温度とは、運動エネルギーを基準としたものです。

水が凍るところを0℃、水が蒸発するところを100℃とし、この間を100分割したものをセ氏と言います。これは水が基準になっているので、物理では使用しません。物理では絶対温度を使用します。

熱や温度はエネルギーが基準になっているので、運動エネルギーが0、つまり動いていない状態のときを温度0(K ケルビン)とし、これを絶対零度といいます。絶対零度はセ氏でいうと-273℃です。

 

運動するとなぜ熱が出るのかは、摩擦熱をイメージしてみてください。何もしていない状態だと手は冷たいか普通の体温くらいですが、手を擦ると熱くなります。この運動することによって熱が発生するというイメージを持ってもらうといいと思います。

 

 

比熱とは?

 

比熱(J/g・K)とは、ある物質1gの温度を1K上昇させるのに必要な熱量のことです。水は4.2、鉄は0.45、銅は0.38です。これを見ると、水の比熱が鉄や銅に比べ10倍近くあることが分かります。これは、水は比熱が高いので温度を変えづらい物質だということになります。フライパンなどはすぐに温まりすぐに冷えますが、水はお湯を沸かすのに時間がかかり一度温まると冷めにくいです。水は温度を保つのに便利だということがわかります。

 

 

熱力学と身体との関係は?

 

人の身体は60-70%が水なので、体温を維持するのに便利というわけです。身体がすぐに冷えてしまうと、身体の中で酵素が働かなくなります。酵素が働かなければ分解ができなくなるのでエネルギーが作れなくなります。なので、人の身体は熱を維持するのが大事になってきます。その熱を維持するために筋肉が収縮して熱を作り出しています。そこに水があることによって熱が維持されやすいホメオスタシスが維持されやすい状態になっています。

 

ご高齢の方は身体の水分量が若い方に比べて低いので、ホメオスタシスが維持されにくく外気や冷暖房に左右されやすくなっています。また、脂肪が多い方は脂肪の中にも水分が含まれているので、熱しやすく冷めづらい状態にあります。なので、一度体温が上がってしまうと下げにくくなってしまいます。

室温の管理などをする際は、熱力学の観点から、外気によって変化が出やすい人に合わせると良いでしょう。

 

 

熱も力学になるので、理学療法、作業療法、物理療法などは、運動エネルギーを熱エネルギーに変換することだったり、化学エネルギーを運動エネルギーに変えることだったりします。

物理は苦手な人が多いと思いますが、知っていると色々な視点で物事を見ることができます。

 

まとめ

 

リハビリに必要な物理学について〜熱力学〜

1. 「熱」は受け渡された何かのことで、「温度」は運動エネルギーのことである。

2. 絶対温度とは、運動エネルギーを基準としたもの。運動エネルギーが0、つまり動いていない状態のときを温度0(K ケルビン)とし、これを絶対零度と言う。絶対零度はセ氏-273℃である。

3. 水は比熱が高いため、熱しやすく冷めづらい。身体に水があることによってホメオスタシスが維持されているが、ご高齢の方や脂肪の多い方は水分量により外気や冷暖房に左右されやすい。

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