こんにちは、理学療法士の赤羽です。
前回は変形性膝関節症の危険因子である筋力低下に着目して話しをしました。
>>>変形性膝関節症に対する評価と介入~危険因子から考えてみる②~ | 療法士活性化委員会 (lts-seminar.jp)
今回は、問題点にあがりやすい疼痛について考えてみます。
疼痛を生じやすい組織(一例)
内側側副靭帯
鵞足
半膜様筋
腓腹筋
半月板
膝窩筋
大腿二頭筋
腸脛靭帯
膝蓋腱
膝蓋靭帯
膝蓋支帯
膝蓋下脂肪体
膝蓋大腿関節
関節包・滑膜
軟骨下骨
神経
などがあります。
全てが触り分けできるものではなく、触診ができないものもありますが、触診可能なものは、触診を行うことで圧痛の有無の確認・評価やアプローチの質の向上につながるため、触診は基本的に必要な技術となります。
評価~アプローチ
では、評価~アプローチまでの流れを考えたいと思います。
まずは何をするとどこが、どのように痛いのかを確認
(疼痛が出現する動作や触診による疼痛部位の確認、整形外科テスト等)
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疼痛部位にはどのようなストレスがかかっているのかを考える
(圧縮・剪断・伸張・摩擦 等)
▼
そのストレスを減らすためにはどうすれば良いのか考え、評価・アプローチを行う
(股関節や足部等、膝以外の要素も考え評価を行う)
上記の流れで行うことで膝痛がどのような条件で出現しており、それはなぜなのかをイメージしやすくなると思います。
ただ、上記だけで疼痛に対する考え方が完結できるかというとそうではありません。他にも考慮するべきものがあります。そこで疼痛について考えるのに役立つ考え方の一つにBPSモデルがあります。
BPSモデル
BPSモデルとは、生物学的因子に重点を置く、従来の生物医学モデルを再構築した医学モデルのことです。
BPSモデルは下記に分けられます
B:biology(生物学的因子)
P:psychological(心理的因子)
S:social(社会的因子)
これら3つの因子が相互に影響し合うことで、疼痛に影響を及ぼしていると考えられています。
さきほどまでの内容ではBPSモデルの中の生物学的因子のみに着目して話しており、そこには心理的因子や社会的因子は考慮されていません。
療法士は生物学的因子ばかりを考えてしまうことが多いですが、その他の因子も影響を及ぼしている可能性があるため、様々な視点からその人自身をみて関わり方を考える必要があります。
- まとめ
今回のポイントを3つにまとめると・・・
- 疼痛が生じる組織はさまざまある。疼痛の部位を明確にするためにも触診が必要
- 評価を行いどのような条件で疼痛が出現しているのかを考えアプローチをすることが大事
- 生物学的因子だけでなく、心理的因子や社会的因子も考慮する必要がある
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