毎週月曜日は一年前にリハコヤでライブ配信されたものの一部を文章でお届けします。
本日はROM測定時の注意点についてお伝えします。
関節可動域測定とは?
みなさん、臨床において、ROM測定は頻繁に行うと思います。
関節可動域測定(range of motion:ROM)とは、身体の各関節を自動的あるいは、他動的に動かしたときの、関節の運動範囲を測定することです。
ROM測定の目的は?
ROM測定の目的
①関節可動域制限・異常の程度を知り、動作への影響を推測する
②関節可動域を制限・異常にしている原因を考える
③問題の可動域に対する治療計画を立てるデータとする
④治療効果の良し悪しを判定し、予後を予測する
ROM測定の目的には以上の4点がありますが、みなさんは可動域を測定するだけになってしまっていませんか?
他動でのROM測定において重要なのは、可動域ではなくエンドフィールです。エンドフィールを感じることで大まかな可動域制限の検討をつけることができ、次に何を評価すれば良いのかの指標が固まります。
例えば、軟部組織性のエンドフィールだった場合、筋の不全による可動域制限の可能性が考えられるので、次に触診やMMTにて可動域制限の要因となっている筋を断定していくことができます。
関節可動域制限を同定する因子とは?
関節可動域制限を同定する因子には、以下のものがあります。
特に注目していただきたいのが、関節包と筋・腱が制限因子の場合です。
関節包が制限因子の場合、エンドフィールは急に硬くなりますが、筋・腱が制限因子だった場合には、エンドフィールは徐々に硬くなります。また、主観的感覚は関節包の場合は硬い、筋・腱の場合は伸びているという違いがあります。
関節包が制限因子と考えられた場合、次に整形外科テストを行いますが、筋・腱の場合は触診やMMTにて筋肉を断定していきます。
エンドフィールの練習の仕方は?
このように、関節可動域制限を同定するためにはエンドフィールをしっかりと感じることが大切ですが、実際にどのように練習したら良いのでしょうか。
骨性のエンドフィールを練習したい場合は、肘関節伸展のエンドフィールを感じてみてください。
靭帯・関節包の伸張性によるエンドフィールを練習したい場合は、肘関節屈曲位での手指MP関節の伸展を、筋の伸張性によるエンドフィールを練習したい場合は、肘関節伸展位での手指MP関節の伸展のエンドフィールを感じてみてください。
靭帯・関節包の伸張性と筋の伸張性の差が分かりにくいと質問されることが多いのですが、いずれも徐々に圧を加えていった時のエンドフィールを感じることが大切です。
エンドフィールは一瞬で感じることはできません。また、一度で分からなければ何度か動かしエンドフィールを感じていきます。
評価を正確に早くやる方法は、丁寧にひとつひとつゆっくりと評価することです。是非臨床に活かしてみてください。
まとめ
ROM測定時の注意点
1. 他動でのROM測定において重要なことは可動域ではなくエンドフィールを感じることである。エンドフィールを感じることで大まかな可動域制限の検討をつけることができる。
2. エンドフィールを感じる時のポイントは、徐々に圧を加えていったときの最終感覚を感じることである。
3. 評価を正確に早くやる方法は、丁寧にひとつひとつゆっくりと評価することである。
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