ICFの環境因子がわからない作業療法士必見! 3つの分類と実践的な記載方法

ICFの環境因子がわからない作業療法士必見!3つの分類と実践的な記載方法を現役OTが解説

 

 

みなさんこんにちは。作業療法士の仲田です。

今回は、ICFの環境因子に対しての作業療法をお伝えできればと思います。ICFを理解することで、より包括的な評価と効果的なアプローチが可能になります。

実際にZoomのナイトセミナー「OTしゃべり場」というADLなどを話し合う場で出てきたICFの環境因子に関する会話を一部お伝えしていきます。

ICFの環境因子って何を評価すればいいの?現場でよくある質問にお答えします

受講生

先生!ICFの環境因子について質問です!

仲田

はい、どうぞ!

受講生

今更ですけど、ICFの環境因子って…どんな環境を書けば良いですか?

仲田

環境ですね、サクラさんは環境といえば何をイメージしますか?

受講生

家の中の環境ですかね。あと、家族とか?

仲田

そうですね、家の中の環境は“物的環境”で、家族は“人的環境”になります。

受講生

ありがとうございます!

仲田

いや、終わりではなく、まだありますよ。

受講生

え!!?

環境因子の3つの分類を理解しよう

仲田

環境には3つありまして、“物的環境”“人的環境”の他に“社会制度的環境”があります。

受講生

社会制度的?

仲田

これは、日本国憲法などの法律、医療保険の有無、介護保険の有無などですね、サクラさんにとって親しみやすいのは“介護度”ですかね。

受講生

それならイメージしやすいです。

!ICF環境因子の3分類

  • 物的環境:住宅構造、福祉用具、交通手段、建築物のバリアフリー化など
  • 人的環境:家族、友人、医療従事者、介護者、職場の同僚など
  • 社会制度的環境:法律、社会保障制度、介護保険、障害者雇用制度など

環境因子は促進にも阻害にもなる!?意外と知らない両面性

仲田

さて、ICFによる環境因子は、「その人の生活や活動・参加に影響する“外的な背景要因”になります。それが、補助的にも阻害的にも働いてしまうんですけどね。

受講生

補助的と阻害的?補助的はわかりますけど、阻害的になるんですか?

仲田

残念ながらそうなる時もありますね。

受講生

なぜですか?

仲田

様々なサポートを受けられる中、お得な制度があるじゃないですか、“偏見”“無理解”、過剰な“支援的態度”などが阻害的になる場合があります。

受講生

なるほどです。

実践で使える!環境因子の効果的な記載方法

仲田

さて、書き方ですが、先ほど伝えた“阻害”と”促進(補助)”を区別して記載すると良いです。

受講生

はい!

仲田

何が不便・制限の原因になっているか(阻害因子)、何がその人を助けているか(促進因子)

仲田

例えば、住居内に段差が多く、移動に困難がある(物的環境が阻害因子)家族の理解があり、通院同行などの支援を受けられている(人的環境が促進因子)になります。

受講生

分かりやすいです。

活動・参加との関連を明確にする記載のコツ

仲田

また、“活動・参加”との関連を明確にすると良いです。

受講生

どう書けば良いですか?

仲田

ただ、情報を羅列するだけだと、”車いすを使用”、”家族と同居”になりますが、影響を記述するだけでイメージが明確化になります。

記載例の比較:Before → After

❌ Before(改善前)

・車いすを使用
・家族と同居

✅ After(改善後)

・段差が多いため、屋内移動時に転倒リスクがある
・家族の支援により通所リハへの参加が可能となっている

受講生

確かに!生活がイメージしやすくなりました!

仲田

本人や家族の思いなど、心理的・文化的側面も環境因子として重要になります。客観的な状況と併せて書くことで、より正確に伝わりますよ。

受講生

勉強になります。

仲田

今回はこれぐらいにしましょう。環境因子に対して、更に詳しく記載する例が知りたい気持ちがある場合、療法士活性化委員会のセミナーにまたきて聞いてくださいね。

受講生

はい、よろしくお願いします。

まとめ:ICF環境因子評価の3つのポイント

  1. 1促進因子と阻害因子の両面を記載する
    環境が対象者にとってプラスに働いているのか、マイナスに働いているのかを明確に区別して記載
  2. 2活動・参加との関係性を具体的に示す
    単なる情報の羅列ではなく、その環境が実際の生活にどう影響しているかを具体的に記述
  3. 3客観的事実と本人や家族の主観も含める
    物理的な環境だけでなく、心理的・文化的側面も含めた包括的な評価を心がける

いかがだったでしょうか。ICFの環境因子を正しく理解し、適切に評価・記載することで、より効果的な作業療法の実践につながります。視野が広がり少しでも役に立てたのなら幸いです。

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