腰痛・姿勢改善の鍵は骨盤底筋にあり!評価とアプローチ法を徹底解説

骨盤底筋「なんとなく」を「自信」に変える。身体で学ぶ 触診・解剖学セミナー【筋肉編】

こんにちは、理学療法士の内川です。

臨床でこんな悩みに直面していませんか?

  • なかなか改善しない腰痛
  • 不安定な姿勢や歩行
  • 呼吸が浅い患者さんが多い

その背景に、実は“骨盤底筋”が深く関わっているかもしれません。

「骨盤底筋=尿漏れ予防」というイメージが強いですが、それだけではありません。
実際は姿勢・呼吸・体幹安定性の「土台」となる、非常に重要な筋群です。

腹横筋や多裂筋、横隔膜と協調しながら“内側から身体を支える”インナーユニットの核となる骨盤底筋。
今回は、その解剖・評価・機能低下による影響・アプローチ方法を整理し、臨床での観察・介入に繋げる知識を一緒に学んでいきましょう。

1. 骨盤底筋の解剖と作用

構成筋:3層構造を理解する

骨盤底筋群の3層構造を示した解剖図
骨盤底筋群の層構造

骨盤底筋群は、役割の異なる以下の3層で構成されます。

主な筋特徴・作用
深層腸骨尾骨筋、恥骨尾骨筋、恥骨直腸筋(総称して肛門挙筋)、尾骨筋骨盤臓器をハンモックのように支持し、排泄機能や呼吸・体幹安定に深く関与する。
中間層尿道括約筋、尿道膣括約筋、会陰横筋排尿・排便の最終的なコントロールを担う。
表層球海綿体筋、坐骨海綿体筋、外肛門括約筋性機能や肛門の開閉などに関わる。

支配神経

主に陰部神経(S2〜S4)に支配されますが、仙骨神経叢の影響も受けます。

主な作用

骨盤底筋は、以下の4つの重要な役割を担っています。

  • 骨盤臓器の支持:膀胱・子宮・直腸を正しい位置に保持する。
  • 排泄の制御:尿道や肛門を締める・緩めることで排泄をコントロールする。
  • 呼吸との協調:吸気で下降(弛緩)し、呼気で上昇(収縮)する。
  • 体幹の安定化:腹横筋・多裂筋・横隔膜と連動し、腹圧を高めて体幹を安定させる。

2. 骨盤底筋の評価

骨盤底筋の筋力をMMTなどで直接測定することは、専用機器が必要なため臨床的ではありません。
そのため、私たちは問診や観察から機能低下を推測します。

【問診のポイント】

  • 咳やくしゃみ、ジャンプで尿が漏れることはありますか?
  • トイレが近い、我慢できないと感じますか?
  • 長時間の立位や歩行で腰や骨盤周りに痛みやだるさが出ますか?

これらの自覚症状が、機能低下を判断する重要な手がかりとなります。

3. 機能低下が臨床に与える影響

骨盤底筋の機能が低下すると、様々な問題が連鎖的に発生します。

① 支持機能の低下(骨盤臓器支持の弱化)

  • 骨盤臓器(膀胱・子宮・直腸)の下垂、骨盤臓器脱のリスク上昇
  • 骨盤の不安定性 → 骨盤アライメント異常(過度な前傾・後傾)
  • 立位・歩行時のぐらつき感
  • 腰痛・仙腸関節痛・恥骨結合部痛の増悪

② 排泄制御機能の低下(括約筋機能の低下)

  • 腹圧上昇時(咳・くしゃみ等)の腹圧性尿失禁
  • 頻尿・切迫性尿失禁
  • 排便困難、残便感

③ 協調機能の低下(体幹・呼吸との連動不良)

  • 腹横筋・横隔膜・多裂筋との協調性低下
  • ドローイン時に骨盤底が適切に収縮しない
  • 呼吸時の腹圧コントロール不全による姿勢保持能力の低下

4. 骨盤底筋へのアプローチ

機能改善には、過緊張を解き、適切なタイミングで収縮させる感覚を再学習することが重要です。

基本的なトレーニング方法

  1. 丸めたタオルを坐骨の間に敷き、骨盤底筋を意識しやすくする。
  2. 息を吐きながら、そのタオルを優しくお尻で挟むように力を入れる。(肛門や膣を軽く締めるイメージ)
  3. 息を吸いながら、完全に力を抜いてリラックスする。
ポイント:強く締めることよりも、「軽く収縮させ、しっかりと緩める」というメリハリを意識することが非常に重要です。力みすぎは逆効果になることもあります。

5. 臨床ちょこっとメモ

  • 骨盤底筋は「締める」だけでなく「緩められる」ことが重要。慢性腰痛では“過緊張”が問題なケースも多い。
  • 男性の排尿トラブルや姿勢不良にも関連するため、性別を問わず評価の視点を持つ。
  • 外閉鎖筋と筋膜で連結しているため、股関節疾患でも機能低下が生じやすい。
  • 介入は骨盤底筋単体でなく、呼吸・体幹・骨盤アライメントを包括的に評価することが成功の鍵。

6. まとめ

今回は、姿勢や体幹の土台となる「骨盤底筋」について解説しました。

【本日のポイント】

  • 解剖:骨盤底筋は3層構造で、臓器支持・排泄制御・呼吸・体幹安定の役割を担う。
  • 機能低下の影響:尿漏れだけでなく、腰痛、骨盤帯痛、姿勢不良など全身に波及する。
  • 評価:直接的な筋力測定は困難。問診や呼吸・動作との連動性を観察する。
  • アプローチ:「締める」と「緩める」のコントロールを再学習させることが重要。力みは禁物。
  • 臨床応用:慢性腰痛や股関節疾患など、一見関係なさそうな症状の背景にある可能性を常に考慮する。

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