臨床推論が変わる!リハビリ「問診」10の鉄則 〜痛みを基礎から徹底的に学ぶ〜

臨床推論が劇的に変わる!リハビリ「問診」10の鉄則

この記事の結論(3行まとめ)

  • 問診は情報収集だけでなく、リスク評価と臨床推論の「仮説形成」を行う重要プロセスである
  • 「HOPE・安全性・痛みの性質・機械的反応・心理的因子」の5つの視点で情報を整理する
  • 適切な問診フレームワークを用いることで、不要な評価を減らし、介入の優先順位を明確化する

こんにちは、理学療法士の赤羽です。

リハビリテーション介入における問診は、単なる情報収集ではありません。
「この患者に、何を・どこまで・どの順で介入するか」を判断するための、重要プロセスになります。

ROMやMMTを測る前に、すでに

  • 危険かどうか(Red Flag)
  • 改善が見込めそうか(予後予測)
  • どのレイヤー(組織・神経・認知・環境)が主要な問題か

などといったことが、問診の時点である程度推測(仮説立て)できます。

今回は、私見ではありますが臨床で私が考える「問診のポイント」を整理してお伝えします。

問診の全体像(結論)

今回提示する問診は、次の10項目で構成されます。

  • 主訴やHOPEの確認
  • Red Flagの確認
  • 発症様式
  • 軽減・増悪因子
  • 症状の性質や部位
  • 症状の強度
  • 症状の時系列
  • 症状の再現性
  • 困っている動作や姿勢(活動)
  • 心理社会的因子

これらはバラバラに聞くのではなく、役割ごとに整理すると、臨床推論が行いやすくなります。

① 目的とゴールを明確にする(HOPE・活動)

含まれる項目

  • 主訴やHOPEの確認
  • 困っている動作や姿勢(活動)

ここで何を判断しているのか

  • 患者さんが何ができるようになれば「良くなった」と言えるのか・思えるのか
  • 評価・介入の優先順位はどこか

ここが曖昧なまま進むと、
「評価はたくさんしたが、結局何を改善したいのか分からない」
「評価の結果様々な問題点が出てきたが、どこから介入をおこなえば良いのか分からない」

などといった状態に陥ってしまう可能性があります。

② 安全性の担保(Red Flag・発症様式)

含まれる項目

  • Red Flagの確認
  • 発症様式(外傷性/非外傷性、急性/進行性 / 慢性)

ここで何を判断しているのか

  • 理学療法として介入してよい状態か
  • 医師・他職種との連携が必要か

問診だけでも、最低限の重篤疾患のスクリーニング(Red Flagの除外)が可能です。「いつもと違う」など危なそうと感じたら、医師との連携を行うことが最大のリスク管理となります。

③ Pain Profile(症状像を立体的に捉える)

含まれる項目

  • 症状の性質
  • 症状の部位・放散
  • 症状の強度
  • 症状の時系列(24時間変動・発症から現在までの経過)
  • 症状の再現性

ここで何を推論しているのか

  • 痛みが「どんな振る舞い」をしているか
  • 疼痛メカニズムの仮説形成(侵害受容性・神経障害性・痛覚変調性)

特に「症状の再現性」は重要です。
同じ条件で同じ症状が出るのか、それとも日や状況で揺らぐのか。
これは「動かしたらどうなるか」ではなく、痛みそのものの安定性を示唆します。

④ メカニカルな振る舞い(軽減・増悪因子)

含まれる項目

  • 軽減・増悪因子

ここで何を推論しているのか

  • 動かすことで症状が変わるか(メカニカルな反応か)
  • 運動療法・徒手介入の反応性はありそうか(予測)

Pain Profileが「痛みの性質」なら、
ここは「動かした時の反応」を見るパートです。身体的負荷で症状が変化するならば、理学療法の適応となる可能性が高いと考えられます。

⑤ 心理社会的因子(文脈)

含まれる項目

  • 心理社会的因子(不安、恐怖、睡眠、仕事や対人関係のストレス、役割 など)

ここで何を推論しているのか

  • なぜこの人は、この痛み方をしているのか(心理社会的要因の関与の大きさ)
  • 慢性化リスク・治療反応性の予測(Yellow Flag)

組織の問題だけでは説明できない部分を、ここで補完します。近年注目されるFear-avoidance model(恐怖回避思考)などの観点からも、重要な確認事項です。

問診の本質

このフレームワークの狙いは、
「情報を集めること」ではありません。

  • 評価項目を厳選する
  • 介入の優先順位を決める
  • うまくいかなかった時に「最初の仮説が違った」と説明・修正できる

そのための臨床推論の足がかり(初期仮説)を作ることです。

おわりに

問診が変わると、評価が変わり、介入が変わります。
そして何より、患者さんへの説明の質が変わります

「とりあえず触る前に、何を考えるか」
その思考を支えるフレームとして、今回の問診ポイントが役立てば幸いです。

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参考文献

IASP Announces Revised Definition of Pain – International Association for the Study of Pain (IASP) (iasp-pain.org)
Vlaeyen JW, et al. Fear-avoidance and its consequences in chronic musculoskeletal pain: a state of the art. Pain. 2000;85(3):317-332.
Treede RD, et al. Neuropathic pain: redefinition and a grading system for clinical and research purposes. Neurology. 2008;70(18):1630-1635.
日本ペインクリニック学会 神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン作成ワーキンググループ 編. 神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン 改訂第2版. 真興交易, 2016.
Nijs J, et al. Nociplastic Pain Criteria or Recognition of Central Sensitization? Pain Phenotyping in the Past, Present and Future. J Clin Med. 2021;10(15):3203.
日本整形外科学会, 日本腰痛学会 監. 腰痛診療ガイドライン 2019 改定第2版. 南江堂, 2019.
鈴木 慎吾ら. 診断のための医療面接. 日内会誌. 2017;106:2568-2573.

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