脱・機能訓練! PT・OTが知るべき「健康寿命」の本質とデイの役割

脱・機能訓練! PT・OTが知るべき「健康寿命」の本質とデイの役割

皆さんこんにちは。作業療法士の内山です。今回から「脱・機能訓練デイサービス」と題した新しいコラムシリーズをお届けしていきます。

このシリーズでは、デイサービスが本来持つべき役割とは何かを改めて問い直しながら、内山が実践している取り組みや考え方をお伝えしていきたいと思います。よろしくお願いします。

【この記事の結論・ポイント】

  • 健康寿命の本質は、ADLの自立だけでなく「自分らしく生きられる時間」である。
  • ICFの4つの視点(身体・活動・参加・環境)を連動させ、訓練を生活に直結させることが不可欠。
  • デイサービスは「延命の場」ではなく「生活に再起動をかける場」として機能させるべき。

「健康寿命」という言葉の本質とは?

「健康寿命を延ばしましょう」という言葉を、皆さんも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。行政の介護予防事業や、ケアマネジャーさんとの会話の中でも、この言葉は当たり前のように飛び交っています。しかし内山は、この言葉が現場で使われるとき、少し表面的な意味でしか捉えられていないことが多いと感じています。

健康寿命とは一般的に「介護を必要とせず自立して生活できる期間」と定義されています。しかしそれだけが健康寿命の本質かというと、内山はそうは思いません。

内山が考える健康寿命の本質は「自分らしく生きられる時間」です。

たとえばADLがすべて自立していても、外出する機会がない、人と話す機会がない、「ここにいる意味」を感じられない——そのような状態は、果たして健康な状態と言えるでしょうか?

反対に、多少の介助が必要であっても、自分の役割を持ち、誰かと繋がり、今日という日を楽しみにしている方は、主観的な健康感という意味では非常に豊かな状態にあると言えます。健康寿命を語るとき、「生活の質」「役割・社会参加の継続」「本人の意欲と自尊心の維持」といった視点を忘れてはならないと内山は考えています。

4つの視点で健康寿命延伸を考える

内山がデイサービスの現場で介入プログラムを組み立てる際、常に意識しているのがICF(国際生活機能分類)の視点です。人の生活機能を複数の視点から捉えていく枠組みの中で、内山が特に大切にしているのが、身体・活動・参加・環境の4つの次元です。

  • 身体:転倒予防や筋力維持など機能面へのアプローチ。しかし、機能改善それ自体を目的にせず、あくまで次の「活動」に繋がる手段と考えます。
  • 活動:実際の生活動作の練習。机拭き・食器洗い・洗濯物干しといった家事動作全般を「役割活動」として位置づけ、日々の中に組み込みます。
  • 参加:地域活動や社会的なつながりへの接続。デイサービス内での参加を足がかりに、地域という舞台(お祭りや買い物など)に再び立てるようになる流れを設計します。
  • 環境:家族への指導や住宅調整。家族に対して「何をどこまでやってあげるか」の線引きを丁寧に伝えることで、自宅での自立した動作を促します。

機能訓練中心の取り組みに潜む落とし穴

デイサービスの現場でよく見られるのが、「数値が改善している=リハビリがうまくいっている」という認識です。しかし内山は、この考え方には大きな落とし穴があると感じています。

たとえば、10m歩行テストの記録は改善しているのに、自宅では以前と変わらずベッドで過ごす時間が長い方がいます。
一方で、握力の数値に大きな変化はないのに、デイサービスでの調理動作が格段にスムーズになり、家族から「最近、自分でお茶を入れてくれるようになった」と報告が入る方もいます。

この違いは何かというと、訓練が「その方の生活に接続されているかどうか」の差です。

数値改善だけに着目した機能訓練は、ともすると「利用者さんを記録の対象として見ている」ことになりかねません。
内山が大切にしているのは、その方が「どんな生活を取り戻したいのか」というHOPE(希望)を中心に据え、そこへ向かうために今何が必要かを逆算して考えていくことです。デイサービスにおける機能訓練は、生活に接続されて初めて意味を持つ——これが内山の変わらない考えです。

内山のデイサービスで実践していること

具体的な取り組みとして、内山のデイサービスでは以下の3つを柱として健康寿命延伸に向けた介入を行っています。

1. 外出トレーニングの企画

デイサービスの敷地を出て、近隣の商店街や公園への屋外歩行を定期的に組み込んでいます。これは単なる歩行練習ではなく、「外に出る」という体験そのものが利用者さんの意欲を引き出し、社会参加への自信を育てることを狙っています。歩行タイムや距離といった数値は副産物であり、目的はあくまでその方が「また外に出たい」と思えるようになることです。

2. 地域との連携

地域の商店街や民生委員との関係を少しずつ築きながら、利用者さんが「デイサービスの外」でも活躍できる場を作ることを意識しています。デイサービスは通過点であって、目的地は地域の生活そのものです。

3. 卒デイ支援モデルの実践

内山が目指しているのは、利用者さんが機能を回復・維持し、デイサービスの利用区分が変わったり、地域活動に参加できるようになることです。過去には要介護2から要支援2への区分変更、それに伴うデイサービス卒業という形で結果が出たケースもありました。デイサービスを「終の居場所」にせず、次のステージへの踏み台として機能させること——これが健康寿命延伸に向けた最大の貢献だと内山は考えています。

まとめ

  1. 健康寿命の本質は「自分らしく生きられる時間」であり、ADLの自立期間だけで語れるものではない。
  2. 身体・活動・参加・環境の4つの視点を連動させ、訓練が生活に接続されることを常に意識した介入が求められる。
  3. デイサービスは「延命の場」ではなく「生活に再起動をかける場」として機能することが、健康寿命延伸への最大の貢献となる。

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