- テニス肘(外側上顆炎)の再発には、肩内旋などの「姿勢」に伴う遠心性ストレスが重要な要因として関与し得ます。
- 局所の炎症にはテーピングで負担を減らしつつ、姿勢不良を引き起こす中枢・末梢からの問題を評価することが重要です。
- 肩甲帯(中枢)や手指(末梢)の運動連鎖を理解しアプローチすることは、患者さんはもちろんセラピスト自身の体のケアにも繋がります。
セラピスト自身の姿勢、気にしてますか?
皆様日々のお仕事お疲れ様です。
突然ですがリハビリの仕事って結構キツいことありますよね、仕事してて身体痛くなったりしていませんか?
普段は患者さん、利用者さんに姿勢や動作方法など指導するセラピストの我々自身の姿勢って気にしてますか?
上肢、頸部の不調を姿勢から考えていきます、今回はひじ外側の痛み(外側上顆炎)を例に運動連鎖でまとめます。
外側上顆炎って?
いわゆるテニス肘と呼ばれます。外側上顆に付着する筋に反復的な過負荷がかかり、炎症が起きることが主な原因とされています。
特に短橈側手根伸筋、長橈側手根伸筋、総指伸筋、回外筋などに負担がかかると起きやすいです。これらの筋肉にアプローチすることで症状は落ち着くことが多いのですが、非常に再発しやすい傾向があります。
実は、姿勢によってこれらの筋に遠心性のストレスがかかりやすく、それが再発のリスクを高める一因になり得るため、姿勢の影響を考えていく必要があります。
姿勢との関係性って?
筋肉に強いストレスをかける使い方として、「遠心固定」による負荷が挙げられます。
姿勢を保持する(抗重力での保持)+遠心性収縮(動き)の組み合わせです。
つまり、腕を上げた状態を保ちながら、手首や指を反らす・または反発に耐えるような使い方をする状態です。
【なぜ起始が「外側上顆」であることがポイントなのか?】
重力は上から下にかかります。腕を上げている状況では、前腕の重さが肘にかかっています。
この時、外側上顆が上(天井)方向に位置していると、その位置で付着する伸筋群が収縮した際に距離の長い遠心性負荷(牽引ストレス)が強くかかりやすくなります。
この「外側上顆が上を向く姿勢」の代表例が、肩内旋位です。このようなアライメントでの反復動作が、伸筋群への遠心性ストレスを増大させ、肘に負担を掛ける隠れた要因となり得るのです。
評価→アプローチ→再評価(効果判定)
まずはどの筋による症状が強いか評価します。
手首の伸展、手指の伸展、回外にそれぞれ抵抗をかけて収縮させて疼痛、違和感などを確認して原因を探します。
筋の問題へのアプローチにはリリース、ストレッチが有効ですが、炎症の強い時期はリスク管理も必要です。
そんな時はテーピング(またはカウンターフォースブレースなど)で局所の牽引ストレスを減らすと良いかも知れません。
貼り方の例は2つ。
1) バンド状にして外側上顆にかかる牽引を減らす

2) 前腕の緊張を落とす

原因となる姿勢(上肢の内旋傾向)へのアプローチ
局所の負担が減ったら、そもそものストレス増大の原因となっている可能性が高い「姿勢」へのアプローチを行います。
着目すべきは上肢の内旋傾向です。
ここで大きく2つに分類して評価します。
- 1) 中枢からの問題 (肩甲骨前傾、肩内旋などの機能不全)
- 2) 末梢からの問題 (手関節の尺屈、前腕の回内パターン)
運動連鎖を考える
1) 中枢からの運動連鎖
→肩甲骨が前方に出てくると上肢が押し出される形となり、相対的に内旋位を取りやすくなります(球蓋が前方にくる)。
こちらのパターンでは、肩甲帯周りのアライメント修正が治療部位となります。
2) 末梢からの運動連鎖
→こちらのパターンでは手首、手指の運動パターンに着目していきます。
手指では小指をしっかり握れるかを観てください。小指がうまく握れない(小指が反りやすい、握る際に人差し指優位になる)状態では、手関節は尺屈位へ誘導されやすくなります。そうなると前腕が回内方向に引っ張られ、結果として肩も内旋傾向に連動しやすくなります。なので、手指と手首の修正から前腕回外の促通をはかります。
まとめ
- 痛みなどの局所の不調は、他の部位の連鎖による影響を受けやすい。
- 肘外側の不調には、上肢の内旋傾向が関与していると考える視点も必要。
- まずは中枢・末梢のどこから内旋傾向が誘発されやすいかを評価し、アプローチ後再評価を行う。
原因へのアプローチと局所的なケアを組み合わせることで、ケアはもちろん再発予防に繋がります。
今回お伝えした肘への運動連鎖は全身に波及し得ます。たまたま限界を超えた症状が「肘」に出ているだけかも知れません。
この上肢内旋パターンの連鎖は、肩凝り、ストレートネック、手首の不調などをも引き起こしやすくなります。
皆さんの治療中の姿勢は大丈夫でしょうか?
外側上顆が上を向かないためには、軽く脇を締めるイメージです。
普段と力の入り具合が変わりますよね。
これは我々が触診や徒手療法を行う際にも、自分自身の身体を守る大事なポイントになります。
運動連鎖では建物の一階が少し揺れると十階は大きく揺れる。
人体だと足が揺れると身体は大きく揺れる。揺れ方は骨構造による運動連鎖、つまりルール。
ルール(原理、原則)を知ると問題点の繋がりが観えてきます。
この観察、評価、アプローチの方法をお伝えします。
[感覚入力と運動連鎖習得シリーズ]







