こんにちは! モーションアナライシスコース講師の吉田頌平です。
ADLを見るとき、どんな評価をしていますか?
今回は、ADLとの関連があると言われることが多い
「立位バランス」の評価ポイントをお伝えします。
立位とADLとの関連
立位バランスは、転倒との関連について多く報告されてきました。
代表的なものを取り上げてみますと…
評価名 | 評価の目的・意義 |
1. 開眼・片脚立位 | 5秒以下の場合、転倒リスクが高い傾向にある |
2. ファンクショナル・リーチ・テスト | リーチ距離が15.2cm以下で、転倒リスクが高い傾向にある |
3. ベルグ・バランス・スケール (またはファンクショナル・バランス・スケール) | 45点以下で、転倒発生率が高い傾向にある |
4. Four-Square Step Test | 15秒以内に往復できなかったら、転倒回数が多い傾向にある |
(参照元:http://www.japanpt.or.jp/upload/jspt/obj/files/guideline/19_physical_vulnerability.pdf)
一方で、余暇活動量が多い方では
立位バランスが良好であるとの関連がみられた、とも報告されています。
共分散分析 の結果,余暇活動量と有意に関連した項目は,開眼片足立ち時間,長座体前屈,長座位起立時間,Functional reach,5 回椅子立ち上がり時間,Timed up and go,5 m 通常歩行時間,全身選択反応時間,立ち上がりパ ワーであった.
家庭内活動量と有意に関連した項目は,5 回椅子立ち上がり時間および立ち上がりパワーで あった.
別の報告では、立位バランスがADL・歩行の自立度に影響すると述べています。
次に,104 例の高齢入院患者を対象とした TSST( 注:筆者が試験的に作成した、Four-Square Step Testの亜型 ) と ADL,歩行自立度との関連を検討した。FIM 運動項目 を用いて検討を行った結果,TSST と FIM 運動項目に 有意な正の相関を認めた(rs = 0.73,p < 0.01)。
(引用元:小山真吾 他.高齢入院患者における Two-Square Step Test と ADL および歩行自立度との関連.2015.)
つまり、立位バランスの程度を評価することは
ADL全般へアプローチするうえで意味があると考えられます。
どんなADLに使えるの?
先ほどの2つの事例から考えると、
例えば、歩行であったり階段や段差の昇降、入浴動作などでも
立位バランスを見る意義があると思います。
(詳しい評価ポイントについては、以下のコラムでまとめられています。)
苦手な人向け、歩行の動作分析と評価・アプローチ方法
体幹の機能にご注目。 3ステップで簡単にみる階段昇降の動作分析。[療法士に必要なセルフエクササイズの考え方~その113~]
浴槽をまたぐ動きをどう評価していいか迷いがちな人に届け!入浴のまたぎ動作を見るポイント[療法士に必要なセルフエクササイズの考え方~その107~]
どうやってみるのか?
では、立位をどう評価したらいいのでしょうか?
先ほども出ていましたが、
・前方へのリーチング(ファンクショナル・リーチ・テスト)
・片脚立位
短時間で評価しやすいものなので
この2つから評価してみることをオススメします。
ファンクショナル・リーチ・テスト
ファンクショナルリーチテストは、評価自体は立位で行います。
評価の注目点・応用などについては、以下のコラムが参考になると思います。
CVA患者さんが実施するサンディングのポイント知っていますか?
片脚立位
片脚立位の評価の意味やポイントについては、以下のコラムで紹介されています。
意外と、評価結果をどう解釈していいのかわからないことって、ありませんか?
立位バランス検査って何見るの?
片脚立位ってなんだろ?〜私はわかっているのだろうか〜
立位姿勢 異常の原因 ~膝関節に着目して~
まとめ
今回は、ADL自立に向けた評価として
「立位バランス」を取り上げました。
ただ立位バランスをみるだけでなく、
どんな場面で立位バランスを見る必要があるのか
普段の臨床でも意識していきたいですね。
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療法士活性化委員会 認定講師 吉田 頌平
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