変形性膝関節症について勉強してみた 〜総論編〜

変形性膝関節症について勉強してみた 〜総論編〜

こんにちは、療法士活性化委員会の大塚です。

理学療法士大塚久

リハコヤで臨床でのお悩みのアンケートを取ったところ

  • 腰痛
  • パーキンソン病

についで回答の多かった変形性膝関節症について今回からお伝えしていきます。

 

変形性膝関節症とは?

軟骨に変性を起こし、滑膜に炎症を生じて症状が現れたものを言います。

主たる原因のないものを一次性

外傷などによるものを二次性

と分類します。

一次性

危険因子として加齢、女性、体重、筋力低下、日常生活での負担、遺伝などが上げられ、主に生活習慣によるとされています。

二次性

  • 炎症性疾患:関節リウマチなど
  • 腫瘍性疾患:滑膜性骨軟骨腫症など
  • 外傷:靭帯損傷、半月板損傷、骨折
  • 壊死性疾患:大腿骨顆部壊死
  • その他:神経病性関節症、骨系統疾患、代謝・内分泌疾患

などによって起こる二次的な変形性関節症で、そもそもの疾患の治療も併用して行います。

 

主な症状

  • 初期:立ち上がり時、あるきはじめの痛み
  • 中期:痛みにより動作困難
  • 後期:痛みにより生活困難

主に痛みが主な症状として見られ、それによって動作や日常生活が困難になります。後期になると関節の変形も進んでいくため、初期からの介入が必要になります。

 

分類

変形性関節症の重症度の分類でKellgren-Lawrence分類があります。

グレード0:正常

グレードⅠ:骨棘の可能性、関節裂隙狭小化の疑い

グレードⅡ:明確な骨棘、関節裂隙狭小化の可能性

グレードⅢ:中等度で複数の骨棘、明確な関節裂隙狭小化、骨硬化、骨端部変形の可能性

グレードⅣ:大きな骨棘、著明な関節裂隙狭小化、高度の骨硬化、明確な骨端部変形

関節の変形を基準とした分類で、グレードが上がるに従って変形が重度のものとなっていきます。

 

対象者が悩んでいること

ここまでをまとめると、リハビリを受ける方から聞かれる主訴として

  1. 痛み
  2. 関節の変形による見た目の悪さ

があります。

痛みはもちろんですが、見た目の悪さで悩んでいる方も多くいます。

臨床でのあるある

変形性膝関節症の方を担当するとよく聞かれるのが

画像所見や変形の程度

実際の痛みの部位

が異なることがよくあります。これが膝関節の痛みの理解を困難にしている原因の一つです。

よく「軟骨がすり減って骨がぶつかって痛い」と言った説明を聞くことがあると思いますが、そもそも、関節窩、関節頭に痛みの受容器はありません。

痛みを出しているのは関節や筋組織ではなく、それらの周囲にある結合組織、特に筋膜、脂肪体などの疎性結合組織が痛みを出していることがほとんどです。

 

変形性膝関節症に対する保存療法のガイドライン

OARSIによる変形性膝関節症、変形性股関節症、変形性多関節症の保存療法についてのガイドラインがあります。

ガイドラインではざっくり説明すると

どの変形性膝関節症においても評価をして、まずコアアプローチを行う。アプローチを行った結果を再評価して次の段階のアプローチを行う。とされています。

評価

R.R. Bannuru y, M.C. Osaniら OARSI guidelines for the non-surgical management of knee, hip, and polyarticular osteoarthritis VOLUME 27, ISSUE 11, P1578-1589, NOVEMBER 01, 2019 より抜粋 図2

 

変化性膝関節症に対するアプローチ

R.R. Bannuru y, M.C. Osaniら OARSI guidelines for the non-surgical management of knee, hip, and polyarticular osteoarthritis VOLUME 27, ISSUE 11, P1578-1589, NOVEMBER 01, 2019 より抜粋 表2

 

評価とコアアプローチを和訳すると

R.R. Bannuru y, M.C. Osaniら OARSI guidelines for the non-surgical management of knee, hip, and polyarticular osteoarthritis VOLUME 27, ISSUE 11, P1578-1589, NOVEMBER 01, 2019 表2、図2を一部改変

となります。

 

徒手的介入は?

徒手的介入は運動などのコアアプローチを行う際に、補助的に使用するのが望ましいとされています。

基本的には痛みのない範囲での運動が望ましいため、運動のコアアプローチを行う前に、徒手的介入などで動きやすい状態にしてから運動するのが望ましいと考えます。

そこで必要になるのが、どの組織に介入するかの評価になります。

 

まとめ

変形性膝関節症について勉強してみた 〜総論編〜

  1. 痛みと変形が主訴として聞かれることが多い
  2. 画像所見、変形の程度と痛みの状態が異なることが多い
  3. コアアプローチとして運動と患者教育が必要

次回はどの組織に介入するかの評価のために必要な膝関節の構成要素についてお伝えしていきます。

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