毎週月曜日は一年前にリハコヤでライブ配信されたものの一部を文章でお届けします。
皆さんは、機能が改善することでADLは改善すると思いますか?
機能が改善することでADLが改善することもありますが、それは稀なケースです。機能が改善したら次に運動学習を行うことが重要です。
運動学習とは?
運動学習は3段階で行われると言われています。
言語−認知段階では『何をするのか?』に焦点が当てられ、運動段階では『どのように行うのか?』に焦点が当てられます。
自動化段階では、課題遂行のために使われる注意の量が減少し、課題が無意識のうちにできるようになります。
リハビリでは自動化段階まで落とし込まなければ、生活の中で使える状態にはなりません。その理由は、「できるADL」と「しているADL」の差は意識的な部分が大きいからです。
スキーマ理論とは?
スキーマ理論についてお話しする前に、スキーマ理論に関する用語の説明をしていきます。
GMP(Generalized Motor Program)とは、一般化された運動プログラムのことで、動作レベルの枠組みと言われています。例えば、歩くときにどのように手足を動かすか、立ち上がるときに骨盤がどのように動くかなどです。
スキーマとは、運動のパラメータつまりどれくらいで動作を行うかを表すものです。例えば、早く立ち上がるのか、ゆっくりと立ち上がるのかなどです。
スキーマはさらに2種類に分けられ、再生スキーマは運動をしたときに用いたパラメータのことで、再認スキーマは運動をしたときに生じた運動感覚のことです。
次にスキーマ理論について簡単にお伝えしていきます。上図の矢印を辿りながら見ていただくとわかりやすいと思います。
GMPと再生スキーマによって運動プログラムが組まれます。そして体が動くことによって固有受容感覚が入ります。そこで、固有受容感覚に入ったフィードバック情報と、GMPと再認スキーマによるフィードフォワード情報を照らし合わせて、自己評価していきます。その後自己修正を行い、新しく修正された運動プログラムを組んでいきます。
運動学習のポイントとは?
運動学習はこの繰り返しによって行われていきますが、その中でポイントが2点あります。
一つ目は、運動した結果に対して、指導者による評価・フィードバックが行われ、それによってより運動学習は進んでいくということです。つまり、動作に対して療法士がフィードバックを行うことが重要です。
二つ目は、運動した結果に対して、自己評価が行われるということです。運動が上手くできたときのアウトプットをしてもらうことも大切です。ある運動ひとつでも、その動作を行う際に意識している部分には個人差があります。その人がどの感覚を使ってどのように表現するのかを聞くためにアウトプットをしてもらいましょう。それを知ることで、一つ目のポイントである指導者によるフィードバックがより効率的になります。
運動学習のための練習法とは?
GMPは恒常練習によって形成されます。恒常練習とは、何度も繰り返し同じ動きを練習する方法です。恒常練習をすることによって、動作に統一性が出てきます。
しかし、恒常練習だけでは生活の中では使えるようになりません。スキーマは多様性練習によって形成されるため、さまざまな条件下において練習する必要があります。
スキーマを形成するために必要な回数は?
では、スキーマを形成するためには何回練習すれば良いのでしょうか?
これには個人差があるので、回数を定義することはできません。
スキーマを形成するためのポイントは、①繰り返し正しい動きで練習すること、②様々な場面を想定して練習することです。
このポイントを頭に入れ、一度の介入の中で目的の動作ができるようになるまでを目安に動作練習を行いましょう。
動作練習のためには、動かしやすい身体にする→意識的に動かす→無意識に落とし込むという手順が重要です。
ぜひ臨床に活かしてみましょう。
まとめ
運動学習について
1. 運動学習は、言語−認知段階、運動段階、自動化段階の3段階で行われる。
2. 運動学習のためには恒常練習と多様性練習が必要である。
3. スキーマを形成するために必要な回数を定義することはできないが、繰り返し正しい動きで練習することと様々な場面を想定して練習することをポイントとし、目的の動作ができるようになるまでを目安に動作練習を行う。
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