- 課題:歩行分析における「なんとなくの違和感」は、観察と分析の混同が原因。
- 解決策:「5W1H」のフレームワークを思考ツールとして活用し、情報を整理する。
- 実践:Who〜How(観察)とWhy(分析)を明確に分け、全身から局所へ落とし込む。
「なんとなく変」を整理する視点
臨床で歩行分析を行う際、「なんとなく違和感はあるけど、うまく言語化できない」と感じた経験はないでしょうか。
私自身、新人の頃は歩行を観察しても、先輩へ共有する際にうまく伝えられず悩んでいました。今振り返ると、「観察」と「分析」が整理されていなかったことが原因だったように思います。
そこで役立ったのが、情報整理でよく用いられる「5W1H」の考え方です。
そもそも5W1Hとは?
5W1Hとは、
- When(いつ)
- Where(どこで)
- Who(誰が)
- What(何を)
- Why(なぜ)
- How(どのように)
という6つの視点から情報を整理するフレームワークです。
抜け漏れなく情報共有できるため、さまざまな現場で活用されています。
歩行分析に当てはめると?
歩行分析に落とし込むと、以下のように整理できます。
- Who:患者様
- When:歩行周期
- Where:ユニット
- What:関節
- How:運動
- Why:統合・解釈
このように対応づけると、「Who〜How」までが“観察”、「Why」が“分析”にあたる部分として切り分けられます。これは臨床推論をスムーズに進め、頭の中を整理するための一つの有力な思考モデルとなります。
「Where=ユニット」で全身を見る
歩行は全身運動です。
そのため、いきなり一つの関節だけを見るのではなく、「どの部位に違和感があるか」を大きく捉えることが重要になります。
私の場合、
- 頭頸部
- 胸郭(肩甲帯・上肢含む)
- 骨盤帯
- 膝
- 足部
といったユニットに分けて観察しています。
まず全体を捉え、その後に関節(What)や運動(How)へ落とし込むことで、分析の漏れを減らしやすくなります。
関節運動を“目的を持って”観る
例えば骨盤帯を観察する場合でも、股関節だけでなく、仙腸関節や腰椎など複数の要素が関わっています。
特に股関節は球関節であり、矢状面・前額面・水平面と多方向の運動が起こります。
- 伸展不足
- 過剰な内転
- 外旋
- 腰椎での代償
など、「どの関節が、どの運動を起こしているのか」を意識して観察することが重要です。
症例で考える5W1H
具体的な症例を一つのヒント(例)として、この5W1Hに当てはめてみましょう。
- Who:A様
- When:立脚終期(TSt)
- Where:骨盤帯
- What:股関節
- How:過度な内転
- Why:小・中殿筋の筋出力低下、前足部感覚低下 など
このように分解することで、「どこを問題として捉えているのか」「なぜその現象が起きているのか」を自分の中でも整理しやすくなり、患者様や他スタッフへの共有もしやすくなります。
結語
歩行分析は、「たくさん知識がある人」だけができるものではなく、“見た情報を整理できる人”ほど精度が高まっていくものだと思います。
5W1Hは、歩行をシンプルに整理し、観察から分析へつなげるための一つの土台になります。
「なんとなく変」で終わらせず、言語化し、共有し、解釈につなげる。
その積み重ねが、臨床での歩行分析力を高めていくのではないでしょうか。

