『肩関節の正しいROMex その2』

正しいROMexできていますか?

臨床で毎日実施いているROMex・・・
この目的はなんでしょうか?
私はこのROMexの目的は『関節可動域の拡大・維持』に一つ加えてください!とお話しております。
前回のコラムがこの内容でしたね。まだ読んでいない方は、こちらをお読みください。
では、今回のコラムは正しいROMexはどう実施するのか?
肩関節を例に解説していきたいと思います。

ROMexの目的は『運動の再学習』

前回もご紹介しましたが、心理学者のドナルド・ヘッブよると、

ニューロン間の接合部であるシナプスにおいて、シナプス前ニューロンの繰り返し発火によってシナプス後ニューロンに発火が起こると、そのシナプスの伝達効率が増強される。また逆に、発火が長期間起こらないと、そのシナプスの伝達効率は減退するというものである。

つまり、正しい運動を長期間実施しないことにより、伝達効率が落ち、運動を忘れてしまうということです。
この運動を再度学習するために、ROMexは繰り返し正しい動作を訓練するのです。

どういう手順を踏むのか?

自動運動でのROMに低下が生じている場合、その関節の伝達効率が低下し正しい関節運動を身体が忘れている可能性があります。その場合、療法士がROMexにて正しい運動を誘導することが大切です。
その後、アシストしながらご自身に動いてもらい、最後に自動運動をしてもらうのが大切です。

まとめると
他動運動にて正しい運動を誘導

半自動運動

自動運動
となります。

肩関節ではどうするのか?

カパンディ関節の生理学によると、肩関節の屈曲は3層に分かれます。

第l相(図71):0°~50°~60°

関与する筋は,

- 三角筋前部線維

- 烏口腕筋

- 大胸筋の鎖骨部線維

第2相(図72):60°~120°

肩甲帯は,つぎのように関係する.

- 肩甲骨の60°回転により,肩甲関節裔は上前方を向く.

- 胸鎖・肩鎖関節での軸回旋で,それぞれが30°ずつの関与をする.

第3相(図73):120°~180°

肩と肩甲胸郭“関節”で屈曲がチェックされる場合,脊柱の運動が不可欠となってくる.

まずは、この正しい運動を療法士が把握していることが大切です。

実践では?

肩関節の自動運動で最も患者さん・利用者さんが苦労するのが、肩甲帯から肩を挙上しようとする代償運動です。
この場合、療法士が上肢を支持して屈曲方向に誘導します。その際に、屈曲60度までは肩甲帯をしっかりと固定し、屈曲60度以降からは肩甲帯を上方回旋に誘導して行くことが大切です。
その後、上肢の運動はご自身でやっていただき、療法士は肩甲帯の運動を誘導する。
最後に、全ての運動を自動でしてもらう。
以上が肩関節の正しいROMexとなっています。

どうでしょう?
いつも実施しているROMexですが奥が深く感じませんか?
これを正確にするためには、しっかりとした触診ができること、正しい関節の運動を理解していること、が大切です。

療法士活性化委員会のAssessmentコースでは、
体幹・股関節・膝関節・足関節・肩関節・嚥下の正しい関節運動をお伝えしています。
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最後まで読んでいただきありがとうございます。

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療法士活性化委員会
認定講師
作業療法士 加藤 淳

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