「ADL見てんの?」とは言わせない!「ベッド上姿勢」を利用してADL自立をうまく促そう![療法士に必要なセルフエクササイズの考え方~その89~]

「ADL見てんの?」とは言わせない!「ベッド上姿勢」を利用してADL自立をうまく促そう!

こんにちは! モーションアナライシスコース講師の吉田頌平です。

 

 

施設や病院で働いていると、早く生活を自立できるようにROMexや歩行訓練を積極的に行うべきだと考える一方、

少し起きてトイレに行っただけで「疲れた…」となる患者さんの状況をみると、まず起きている時間をしっかり確保できるほうが大事じゃないか? と考える僕もいます。

残念ながらADLの自立度を図るBarthel IndexやFIMは、自分で起き上がれる前提で作成されています。

事実、起き上がることがそもそも大変な人は「あいつはナマケモノだ」みたいなレッテルを貼られることもあります。

もしベッド上の姿勢を見れるようになると、日中なかなか起きていられない患者さんに合わせて介入を考えられるようになります。

ここで重要なのが「ベッド上の姿勢が変わると、どんな影響があるのか?」です。

今回は、ベッド上で自分で姿勢を変えられるとどんなメリットがあるのかをご紹介します。

上手にベッド上の姿勢を変えて、患者さんのADL自立を目指していきましょう!

 

ベッド上で姿勢を変えられると、何がいいのか?

まず、臥床していると血液を循環する機能は低下します。
言い方をかえると、寝ているときは小さい力で血液を送り出しやすくなる、ということです。

では、ずっと寝ていると、どんな影響があるのでしょうか?

 

心臓や肺、筋肉を休めることができる

坐位や立位で身体を起こしていると、頭は足よりも高い位置に

そのため、心臓や肺、四肢・体幹の筋肉を動かして、重力に負けずに血液を循環させています。

一方、臥位になると、頭と足の高さがグッと近くなるため、座位や立位のときよりも血液の循環が楽に行えます。

そのぶん、心臓や肺、四肢・体幹の筋肉は休めるようになります。

 

全血液量が5~10%減り、心臓が小さくなる

臥床している姿勢が長くつづくと、座位や立位のときほど多くの血液を送りつづけなくてもよくなります。

すると血液量全体が減少し、心臓のサイズも小さくなり、
いざ急に起き上がろうとすると…


「急に起き上がると、めまい・動悸がする」

「座ってるだけでもキツイ」
など、起きているのも大変な状態になります。


そのため、まず寝ている姿勢を定期的に変えられることが重要となります。

具体的には、寝返りです

 

寝返りを自分で行える意義

寝ている姿勢を変えるだけでも、呼吸のしやすさが変わり、血圧の変化が起こります。

また、自分で寝返りを打って姿勢を変えられれば、四肢・体幹を使った全身運動になりますし、
自分でトイレに行ったり着替えるキッカケにもなり、ADLの面でプラスになります。

つまり、寝返りができることは、自分で生活するための第一歩になるんです。

 

まとめ

今回は“ベッド上での姿勢を変える影響”というテーマで記事を書きましたが、「いますぐにでも起きたほうがいい!」という意味ではありません。

急性外傷直後であったり、心疾患をお持ちの方であったり、長期臥床が続いている方などは
血圧の大きな変化に対応できない場合があります。

血圧変動が大きくなると生命に影響するため、慎重に身体を起こしていく必要があります。
どんな点に注意したらいいのかは、以下をご覧ください。


https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/33/4/33_KJ00004335207/_pdf/-char/en より、表2を引用)


血圧や血中酸素飽和度(SpO2)だけでなく、冷や汗や呼吸の速さ、視線を見ることも大切です。

そうそう、2018年11月に日本リハビリテーション学会から
「リハビリテーション医療における安全管理・推進のためのガイドライン第2版」が発表されていますので
機会があったら調べてみてください!

以上、座位姿勢や立位姿勢と合わせて、「ベッド上姿勢」も評価していけるといいですね。


それぞれの姿勢に関する特徴は、次回からお伝えしますね。

 

  • 日常生活動作から動作分析を行えるようになりたい…
  • 寝返りをもっと見れるようになりたい…
  • ADLにつながる介入プランを作れるようになりたい…

そんなお悩みを解決する講座です。

【 特 徴 】
Basic・Assessmentコースで学んだ内容をもとに
寝返りの動作分析を、参加者同士で実践しながら学べます。

【 内 容 】

  1. 安定した体重移動の要となる、体幹の機能と特徴

  2. 座位・立位で肩を屈曲するために必要な、腹部~肋骨・胸骨~肩甲骨の動きのつながり方

  3. 安定して動けるために欠かせない、股関節と骨盤帯のつながり

  4. 各部位で重要となる部位へのアプローチ方法
     ・体幹→脊柱、腹筋へのアプローチ
     ・肩→肋骨周囲へのアプローチ
     ・股関節→股関節前面へのアプローチ

わからない部分は、いつでも質問できるところも このコースの特徴です( ^ω^ )

Basic・Assessmentの内容を、実戦形式で復習することにもなりますので
実技の面でもレベルアップします。

次の一歩へ進むために、まずは自分の動きを噛み砕いて分析してみませんか?
療法士活性化委員会 認定講師 吉田 頌平

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