更衣で知っておくべき肩の痛みの話〜解剖的側面から〜。[療法士に必要なセルフエクササイズの考え方~その116~]

更衣で知っておくべき肩の痛みの話〜解剖的側面から〜。

こんにちは! モーションアナライシスコース講師の吉田頌平です。

 

肩のうごきって、複雑に感じますねぇ…
感じませんか?(わたしだけ??)

新人のころは、ホント肩の細かいところが分からなくて
更衣ってどう評価したらいいのか悩みまくってました。

今回は、はおりモノ(ボタンなし、チャック式)の更衣が
「肩が上がらない」「肩が痛くてできない」ケースを考えてみたいと思います。

 

はおりモノの更衣をみてみる

まずは、更衣時に肩はどんな動きをしているのか確認します。
(詳しい内容は、下記コラムをご参照ください^^)

とにかく肩に視点をおいたら見えた、行程分析が苦手でも上手に更衣の介入ポイントを見つける方法[療法士に必要なセルフエクササイズの考え方~その115~]

 

更衣中の工程分析の結果、肩の動きだけを抽出してみると…

 右肩(患側と仮定):屈曲、外転、外旋、伸展
 左肩(健側と仮定):屈曲、外転、外旋、伸展、水平内転

以上のうごきが、主に必要であったことがわかりました。

「更衣のときに、肩が上がらない/ 肩が痛くなる」ということは
『上記のいずれかの動きが、スムーズにできていない』
と言い換えられそうですね。

ではなぜ、上記の肩の動きが、スムーズにできなくなるんでしょうか?
肩の解剖学的な特徴を確認してみます!

 

なぜ肩が上がらない、肩が痛くなるのか?

肩の動きが制限される主な現象に「インピンジメント」(組織がぶつかる状態)があります。

肩には主に、2箇所でインピンジメントする部分があり、
肩峰の下と、上腕骨頭と肩甲骨との関節面(関節窩)の間です。

代表的な例でいえば「肩峰下インピンジメント」です。
言い換えれば、『肩峰の下で、組織がぶつかっている状態』と言えます。

上腕骨と肩甲骨がバランスよく、協調して動きたいのに
ガンガンぶつけ合ってしまうと…
スムーズに動くことが難しくなりますよね。

また、誰かとぶつかると痛いように
上腕骨と肩甲骨の間で、なにかがガツンとぶつかると
同じように痛くなります。

なので、更衣動作をスムーズに行ううえで
まずインピンジメントを起こさずに動けるか?
をみていくことが重要となります。

インピンジメントしやすい動きは?

では、どんな動きで
インピンジメントが起こりやすいんでしょうか?


ざっっっっっっくりまとめると…

更衣の動作時に必要なうごきと、
重なるうごきが多いですね!

つまり、更衣動作時の肩のうごきは
『インピンジメントを引き起こしやすい動きである可能性が高い』
と考えられます。

ちなみに、インピンジメントがそれぞれの部位で発生すると
上腕骨頭の位置や、肩甲骨の動きが特徴的になることが多いです。

ですので、肩のうごきを評価する際に
「上腕骨頭の前・後方への動き」
「肩甲骨の上方回旋の出現タイミング」を評価してみることをオススメします!

肩関節の詳しい評価ポイントは、以下のコラムで確認できます^^

「触診」を使って肩甲上腕リズムの評価をつくってみた

(執筆者:Assessmentコース 講師:加藤さん)

 

肩甲上腕リズムが生み出される条件

(執筆者:Assessmentコース 講師:加藤さん)

 

まとめ

以上、今回の内容をまとめますと…

「更衣動作にもとめられる、肩の動きは
 上腕骨頭と肩甲骨の間で、組織がぶつかり(インピンジメントし)やすい動きが多い」

「インピンジメントするメカニズムを押さえて、
 肩の評価を行うのがオススメ」

という内容でした!

ただ、座位での肩のうごきって
上腕骨と肩甲骨だけ注目していても、
なかなか変わらないんですよね…
(私は、この視点になかなか気づけませんでした。)

次回は、私が見落としつづけていた
「座位で更衣をするために必要な視点」
をお伝えします。

自分で着替えられなくて、困ってる方に
少しでも貢献したいと考えているあなたのお力になれたら幸いです。

 

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次の一歩へ進むために、まずは自分の動きを噛み砕いて分析してみませんか?
療法士活性化委員会 認定講師 吉田 頌平

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