手関節の機能と解剖について勉強してみた

手関節の機能と解剖について勉強してみた

こんにちは、療法士活性化委員会の大塚です。

理学療法士大塚久

正直僕は理学療法士なので手のことはあんまり詳しくありません。ただ、ADLでは手でものを掴んだり、歩行にしても杖を持つのも手、手すりを持つのも手、体を支えるのも手なんですよね。そこで今回は手関節について学んでみました。

手関節とは?

いわゆる手関節は

 構成する骨動き役割
橈骨手根関節橈骨、舟状骨、月上骨、三角骨、豆状骨掌屈/背屈、橈屈/尺屈方向
手根中央関節舟状骨、月上骨、三角骨、豆状骨、大菱形骨、小菱形骨、有頭骨、有鈎骨掌屈/背屈、橈屈/尺屈骨性の支持が強い 方向
遠位橈尺関節橈骨、尺骨前腕回内/回外向き

が挙げられます。

特に手根は背側が掌側に比べて広くなっており、アーチが形成され、指伸展時は外に開く、屈曲時は摘む動作が自然と行いやすい構造となっています。

手根骨には尺側手根屈筋の腱を覗いては筋肉の停止がなく、安定性は靭帯によって保たれています。特に遠位橈尺関節の遠位壁を形成する三角線維軟骨(triangular fibrocartilage),橈尺靱帯(radioulnar ligament),半月相同体(me- niscus homologue),尺側手根伸筋腱鞘(sheath of extensor carpi ulnaris tendon)などの周辺組織は三角線維軟骨複合体(triangular fibrocar- tilage complex,以下TFCC)と呼ばれています。

手関節の可動域

  • 掌屈 90°
  • 背屈 70°
  • 橈屈 25°
  • 尺屈 55°

ADL上では掌屈/尺屈、背屈/橈屈を合わせた3Dの動きであるダーツモーションが重要でこの動きが制限されるとADL上で様々な影響が出ます。

遠位の手根列の運動と橈骨手根関節の運動を組み合わせることにより方向が自由に動かせます。

手根管とは?

手根管は手根骨と屈筋屈筋支帯で構成されその中を

  • 浅指屈筋腱
  • 深指屈筋腱
  • 長母指屈筋腱
  • 橈側手根屈筋腱
  • 正中神経

が通過します。

この中でも正中神経はもっとも掌側に位置しているため、手の浮腫などにより手根管内圧が上昇すると圧迫され痺れなどの症状を出すことがあります。

手根管症候群の評価には

  • チネル兆候:手根を叩く
  • ファレンテスト:手背を合わせてそのままにする

などがあります。

ADLに必要な手関節の動き

ADLでは「重いものを持って運ぶ」「手をついて立ち上がる」「タオルを絞る」「顔を洗う」「歯を磨く」「食事を取る」「髪をとかす」など様々な動作が制限されます。試しに朝起きてから家を出るまで手首を動かさずに生活してみてください。

手関節へのアプローチ

腕橈関節のモビライゼーション

手根骨のモビライゼーション

深・浅指屈筋のリリース

まとめ

手関節は

  1. 安定性、可動性、把持の3つの機能が必要
  2. 安定性はほぼ骨と靭帯によって支えられている
  3. ダーツモーションに制限があるとADLに影響が出る

関節の機能を理解してより効率的にリハビリを行っていきましょう。
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ありがとう

参考文献・資料

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  2. 野村 嶬 (編集) 解剖学 第4版 (標準理学療法学・作業療法学 専門基礎分野) 医学書院
  3. 中村 隆一 、齋藤 宏 、長崎 浩 (著) 基礎運動学 第6版 医歯薬出版
  4. 山嵜 勉 (編集) 整形外科理学療法の理論と技術 メジカルビュー社
  5. 粕渕 賢志, 福本 貴彦, 藤田 浩之, 前岡 浩, 今北 英高 橈骨遠位端骨折後患者におけるダーツスロー・モーションの重要性 Vol.38 Suppl. No.2 (第46回日本理学療法学術大会 抄録集)
  6. 大森 信介 手関節のバイオメカニクス Jpn J Rehabil Med 2016;53:762-764
  7. 粕渕 賢志, 藤田 浩之, 福本 貴彦 ダーツスロー・モーション面用ゴニオメーターの開発 第50回近畿理学療法学術大会
  8. 菅本 一臣 すべてが変わったリハビリテーションの概念と治療体系 再生医療とリハビリテーション 1 (1) 9-16
  9. 上羽 康夫* 上肢のバイオメカニズム バイオメカニズム学会誌 Vol.23No.2(1999)
  10. PRiCO(ぷりこ)さんによるイラストACからのイラスト
  11. 筒井よしほさんによるイラストACからのイラスト 
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