みなさん、こんにちは!
クリニック勤務、理学療法士の林です。
みなさんは股関節疾患を有している患者さん、利用者は担当していますか?
担当している場合、どんな運動療法を行いますか?
私が昔行っていたのは、
「やみくもにブリッジによる大殿筋の強化」
「側臥位での脚上げによる中殿筋の強化」
「背臥位での脚開排による外旋筋群の強化」
を行っていました。
しかし、なかなか動作には変化がありませんでした。
患者さん、利用者からも
「なかなか上手く立てないね」
「歩くときにフラフラするよ」
「手術が終わっても痛いのがまだありますね」
などと言われて悔しかった思い出があります。
確かに徒手療法や評価、リスク管理などリハビリを行う上ではとっても大切です。
ただ、
・徒手療法を行っても動き方がそもそも分からない
・評価をして仮説を立案できても変化が出せなければ仮説の検証ができない
・リスク管理ができてもそこから先何をすればいいのかわからない
そんなことに悩みました。
今回は患者さん、利用者さんの状態を変化させるために
「基本姿勢」に注目した運動療法をご紹介したいと思います。
- 股関節疾患の運動療法の考え方
- 股関節疾患の運動療法ーOKCでの方法
- 股関節疾患の運動療法ーCKCでの方法
- 股関節疾患の運動療法のまとめ
股関節疾患の運動療法の考え方
股関節疾患では、徒手アプローチで身体が動かしやすい状態にした後は、
運動療法で身体の動きを学習することが大切です。
ちょっとイメージしてみてください。
- 関節や筋は緩んだが自分の骨盤動揺に気づいていない人
- 関節や筋が緩んだ状態で自分の骨盤動揺に気づいている人
どちらの方が動きやすいと思いますか?
関節や筋が緩んだ状態で自分の骨盤動揺に気づいている人のほうが動きやすいですよね。
大腿骨頚部骨折の術後、変形性股関節症、発育性股関節形成不全のリハビリを行う時も同じです。
徒手アプローチで身体を動かしやすい状態にした上で、
療法士が運動療法で意識的に動作ができるように作っていきましょう!
股関節疾患の運動療法ー非荷重時での方法
背臥位
・脚抱え
目的:股関節の屈曲運動を学習
注意点:THA直後は100°ぐらいまでに留めておく
腹臥位
・On hands
目的:股関節の伸展運動を学習
注意点:THA前方侵入では術創部への負担を考慮する
寝返り
・腹部回旋
目的:股関節の回旋運動を学習
注意点:THA後方術後は脱臼肢位に配慮する
背臥位、腹臥位の特徴は2点あります。
- 支持基底面が広いため安定している
- 基本動作の段階を踏んでいるため代償運動が出現しにくい
MMTで1~2では個別の筋力強化は必要になるかもしれません。
ただ普段生活するのに大殿筋だけ中殿筋だけを意識して使っていませんよね。
なのでベッドサイドでは上記のような運動の学習に着目して実施していきます。
股関節疾患の運動療法ー荷重時での方法
四つ這い
・ロッキング
目的:股関節の屈伸運動を学習
注意点:THA術後は100°以上の屈曲を控える
座位
・リーチ
目的:臀部ー足底内の重心移動を学習
注意点:THA術後は100°以上の屈曲は控える
立位
・片脚立位
目的:足部内の支持基底面内での重心移動を学習
注意点:立位に介助を要する時は転倒防止のため支持物を使用する
起立
目的:臀部から足底への重心移動を学習
注意点:転倒予防のため支持物を設置
歩行
目的:足部から足部への重心移動を学習
注意点:転倒予防のために支持物を設置
荷重時の特徴も2点あります。
・支持基底面が狭く不安定になってくる
・基本動作の段階を踏んでいるため代償運動が出にくい
上記のように荷重をかけた状態で運動していくことにより
起立や歩行時の介助量軽減やトレンデレンブルグ徴候の改善が行いやすいです。
例えばトレンデレンブルグ徴候がみられる患者さん、利用者さんを担当した際、
そもそも起立に介助を要する状態なら歩行の改善は乏しくなります。
座位や立位の改善を目指すことにより結果、動作改善が期待できます。
やみくもに歩行だけでは変化がなく改善はしにくくなってしまいます。
股関節疾患の運動療法のまとめ
1、身体の動きを学習する
2、非荷重時の段階付け
3、荷重時の段階付け
繰り返しになりますが、運動療法や評価、リスク管理を行うこともとっても大切です。
ただ患者さん、利用者さんは身体を良くなりたいという気持ちです。
なので徒手アプローチの次は運動療法を勉強してみるのはいかがでしょうか?
実際にどんなことをやるのかご興味のある療法士はこちらをオススメします!
>>>【1単位 20分で変化を出す】 股関節疾患に対する評価とアプローチ<<<
療法士活性化委員会
認定インストラクター 林凌磨
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