こんにちは、療法士活性化委員会の大塚です。
みなさんは変形性膝関節症の方、または膝に痛みを訴える方を担当したことはありますか?
僕は整形外科クリニックに勤めていた時に多くの変形性膝関節症の患者さんを担当し、プログラムの立案に悩んでいました。その頃はまだ新人で知識も少なく、とりあえず考えられる膝関節のROMや筋力を評価して、パテラセッティングや大腿四頭筋の筋トレなどを行っていました。
しかし、もちろんですがなかなか良くなりません。みなさんも僕と同じように適切な評価ができずにとりあえずのROMexや筋トレのリハビリプログラムを作成して施行していませんか?
そこで今回は変形性膝関節症の方に対して必要な評価の一例をお伝えします。あくまで一例に過ぎませんので、対象者の状態に合わせて適切な評価を選択してください。
問診
主訴(主な悩み)
痛みや機能的制限が何で、どの程度の影響があるかを確認します。
症状の詳細
痛みや制限がどのような状況で現れ、どのような要素がそれを悪化または改善するかを理解します。痛みの質、強さ、頻度、持続時間、発症のタイミング(例えば運動中、静止状態、夜間)などを確認します。
既往歴
過去の膝の怪我や手術、他の疾患(特に既往の糖尿病)、薬物療法などについて調査します。
生活スタイルと日常活動
身体活動のレベル、仕事の性質、趣味、生活習慣(食事、睡眠、喫煙や飲酒の習慣など)、日常生活動作(ADL)の状況などを確認します。
目標とHOPE
リハビリテーションから何を期待しているか、具体的な目標は何か(例えば、公共交通機関を利用して旅行に行くことや、500mのスーパーマーケットまで痛みなく歩いて買い物に行くことなど)を確認します。
痛みの評価
痛みの評価:Visual Analogue Scale(VAS)やNumeric Pain Rating Scale(NPRS)などのツールを用いて、痛みの程度を定量的に評価します。これにより、治療の効果を追跡し、適切な痛み管理戦略を選択することが可能になります。おおよそですが、4以上は中等度以上の痛みと考えられ、痛みに対する適切な介入が必要になります。
関節の可動域(ROM)評価
ROMで評価するのはほぼ全身の評価が必要ですが、
- 膝関節
- 股関節
- 足関節
- 体幹
- 肩甲帯
の可動域を全可動方向評価しましょう。
特に股関節、足部の評価は必須となります。膝関節については終末強制外旋運動が出ているかどうかを荷重時、非荷重での自動運動、他動運それぞれで評価しましょう。
筋力の評価
筋力もROMと同様に
- 膝関節
- 股関節
- 足関節
- 体幹
- 肩甲帯
の関節運動の全部の方向を評価しましょう。
バランスと機能性評価
Berg Balance ScaleやTimed Up and Go(TUG)テストなどのツールを用いて、患者さんのバランスと機能性を評価します。
BBSは45点以下で転倒のリスクが高まるとされています。
TUGは高齢者であれば約10秒以内、それ以上かつ14秒以内であれば軽度の運動機能障害、14秒以上であれば転倒リスクが高いとされています。
問題点を関節可動域、筋力から抽出し、介入をしましょう。
日常生活動作(ADL)と生活品質(QOL)評価
Functional Independence Measure(FIM)やWestern Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index(WOMAC)などの評価ツールを用いて、ADLの能力やQOLを評価します。
WOMACは変形性関節症(OA)の症状と機能障害を評価するためのツールで、痛み(5項目)、腫れやこわばり(2項目)、日常生活動作の制限(17項目)の3つのサブスケールで構成されています。各項目は0(無症状)から4(最も症状が重い)までの5点スケールで評価され、各サブスケールの合計点が求められます。痛みの最高得点は20点、こわばりの最高得点は8点、機能制限の最高得点は68点となります。カットオフ値は特定されていませんが、高得点は症状の重症度や機能制限の度合いが高いことを示します。
合併疾患の評価
糖尿病や心不全など原疾患以外にもリハビリを阻害する要因があるので合併症の評価も必ず行いましょう。
プログラムの立案について
評価結果をもとにプログラムを立案します。一例として以下のようなものが考えられます。
疼痛管理:
患者が運動療法を始める前に、物理療法を用いて痛みを軽減することが重要です。温熱療法や冷却療法、TENS(経皮的電気神経刺激)が考慮されます。これらの治療は、筋肉の緊張を和らげ、血流を改善し、疼痛を緩和します。
筋力トレーニング、関節可動域訓練、運動療法
膝関節伸展筋強化:セミ・スクワット、レッグ・プレスなどの運動が有効です。
膝関節と股関節の可動域改善:関節モビライゼーションや筋膜のリリースなどを行います。
足部の変形改善:
トー・クール、ヒール・レイズなどの足部筋強化運動と、適切な靴の使用が有効です。
運動療法: 患者の生活スタイルや日常活動の需要を考慮に入れた機能訓練が必要です。立ち上がり、しゃがみ込み、歩行、階段昇降などの訓練を行います。
教育と生活スタイルの変更
病状の理解、自己管理、正しい姿勢や動きの指導などを含めた教育を行います。さらに、適切な食生活や生活習慣の指導も行います。
プログラムの進行と評価
リハビリテーションは通常、2~3週間ごとに評価と調整を行い、目標に向かって進行します。患者の達成度や問題点を評価し、必要に応じてプログラムを調整します。
あくまで一般的な方法なので問題点から適切な介入法を考えてみてください。
もしみなさんの担当している症例や悩んでいる症例でリハビリプログラムを考えて欲しいという方は公式LINEに登録し「リハビリプログラム作成」とメッセージしてください。
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