【感覚評価】触覚・圧覚・温度覚の臨床ポイント|ADLへの影響を解説!

【感覚評価】触覚・圧覚・温度覚の臨床ポイント|ADLへの影響を解説!

みなさんこんにちは。作業療法士の仲田です。

今回は、リハビリの基礎でありながら奥が深い「五感(触覚編)」についてお伝えできればと思います。

先日開催したZoomナイトセミナー「OTしゃべり場」にて、参加者の皆さんとADL(日常生活動作)についてディスカッションを行いました。そこで話題に上がった「表在感覚とADLの関係」について、一部抜粋してシェアします。

臨床で活かせるポイント満載ですので、ぜひ最後までご覧ください。

【対談】臨床における表在感覚の重要性

受講生さくら

受講生
先生、触覚ってたくさんあるじゃないですか、具体的にどんな種類がありますか?
作業療法士仲田

仲田
触覚は細かく分けるとたくさんありますね。
受講生さくら

受講生
全部知りたいです!
作業療法士仲田

仲田
一度に全部だと大変なので、いくつかに分けてお伝えしても良いですか?
受講生さくら

受講生
頭がパンクしちゃうのでありがたいです(笑)
まずは、どんな種類があるか復習も兼ねて教えて下さい!
作業療法士仲田

仲田
いいですよ。まずは「表在感覚」から挙げてみましょうか。
受講生さくら

受講生
はい!
軽い接触、圧覚(深部圧を含む)、痛覚(鋭/鈍)、温度覚があります!
作業療法士仲田

仲田
完璧ですね。ではそのまま、表在感覚について深掘りしていきましょう。
受講生さくら

受講生
お願いします!

1. 軽い接触(Light Touch)とADL

作業療法士仲田

仲田
軽い接触、カッコよくいうとライトタッチといいます。

障害されると「触れられても気づきにくい」「触らせる位置が曖昧」になります。
ADLへの影響としては、衣服のズレや流延(よだれ)、雨などの水滴などに気づきにくいのが特徴です。

受講生さくら

受講生
なるほど、衣服のズレにも関わるんですね!見落としていました。
作業療法士仲田

仲田
そうなんです。身だしなみにも直結しますよ。
主な評価としては、ティッシュや筆などで軽く触れて“触れた・触られてない”、“どこを触ったか”を答えてもらうと良いですね。
受講生さくら

受講生
私はティッシュで行ってます!継続します!

2. 圧覚(Pressure)と把持・荷重

作業療法士仲田

仲田
次は、圧覚です。
障害像としては「どのくらい押(圧迫)されているか分かりにくい」状態です。

これにより、荷重側の認識が弱くなり、立位・座位で不安定になります。また、移動手段で必要な杖や手すりをしっかり握れない(または握りすぎる)状態になります。

受講生さくら

受講生
たしかに、圧覚が鈍麻だとどのくらいの強さで握っているかわかりませんもんね。
作業療法士仲田

仲田
その通りです。
主な評価では、母指や示指などで強さ別に押していくと良いです。“弱・中・強”を弁別できるか、あるいは荷重側と非荷重側を答えられるかを確認しましょう。
受講生さくら

受講生
指で触り分けする方法なら、準備がいらないので私も分かりやすいです!

3. 痛覚(Pain)とリスク管理

作業療法士仲田

仲田
次は痛覚です。
障害像としては2パターンあります。

①鈍麻:ぶつけたり、ヤケドしたり、トゲが刺さったりしても気づかず、外傷が悪化しやすい。
②過敏:少しの刺激でも強い痛みとして感じてしまう。

受講生さくら

受講生
リスク管理の視点で非常に重要ですね。
作業療法士仲田

仲田
打腱器に付属している尖ったものや爪楊枝などを使用して弁別すると良いです。必ず左右差を確認してくださいね。
受講生さくら

受講生
健側との比較、忘れないようにします!

4. 温度覚(Temperature)と入浴

作業療法士仲田

仲田
最後に温度覚ですね。
障害像としては、熱湯や冷水の危険に気づきにくいこと。ADLでは特にシャワーや入浴時で火傷のリスクがあります。
受講生さくら

受講生
ちょうど入浴の評価や指導を行っていたので助かります!
作業療法士仲田

仲田
評価としては、カップなどに温水と冷水を入れて、閉眼状態で「温かいか冷たいか」、あるいは「どちらが熱いか」を弁別してもらうと良いです。
作業療法士仲田

仲田
他にも質問等あれば療活の時に実際の物をみせますね。
受講生さくら

受講生
ありがとうございます!

今回のまとめ

1: 表在感覚は「触覚・痛覚・温度覚」の3点セットで捉える
それぞれ役割が異なり、ADLへの影響も違います。

2: 感覚は「気づく力」である
衣服の乱れ、手すりの握り具合、熱さへの反応など、外界の情報をキャッチするセンサーです。

3: 感覚は「安全」と「ADL」に直結する
評価結果をただ記録するだけでなく、「だからこのADL動作が難しいのか」「このリスクがあるな」と生活に結びつける視点が重要です。

いかがだったでしょうか。
視野が広がり、少しでも明日の臨床の役に立てたのなら幸いです。

次回は「視覚」についてお伝えする予定です。お楽しみに!

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