みなさんこんにちは。作業療法士の仲田です。
今回は、リハビリテーションにおいて非常に重要な「五感(視覚編)」についてお伝えします。
Zoomナイトセミナー「OTしゃべり場」にて、参加者の皆さんと視覚機能とADL(日常生活動作)についてディスカッションを行いました。その内容を一部抜粋し、臨床で役立つ視点としてシェアします。
【対談】視覚機能評価をADLにつなげるコツ




半側空間無視(USN)についてはどうですか?


それぞれの特徴と、ADL・移動場面をリンクさせると完璧ですね。
1. 視野(Visual Field)

評価としては、対座法(対面法)で指を使用してカウントしてもらうのが基本です。また、机上に物を置いて気づけるか観察するのも実践的で良いですね。

2. 眼球運動(Eye Movement)

特徴としては、目で物をスムーズに追えなかったり、読書時に読み飛ばしてしまったり、目が疲れやすいといった症状が出ます。


検査としては、指やペンを水平・垂直・斜めに動かして「追視(Pursuit)」、2つのターゲットを交互に見る「サッケード(Saccade)」を評価すると良いですよ。
3. 距離感(Depth Perception)



距離感がつかめないと、ドアノブやコップに手が届かず空振り(または倒す)、段差の踏み外し、車いす操作での衝突などが見られます。
歩行中なら、階段昇降時の足の出し位置なども評価ポイントになりますよ。
4. 視覚認知(Visual Perception)



特徴としては「物を見てもわからないが触るとわかる」「顔が誰だかわからない(相貌失認)」などです。
評価には、実物と写真のマッチング、日用品の呼称・用途説明、衣服の前後・上下の判別などが有効です。

5. 視覚-運動協調(Visuomotor Coordination)

これは、書字が曲がる・はみ出す、ボタンかけや箸操作がぎこちない、物をつかみ損ねるといった症状が出ます。
評価には線なぞり、迷路、点つなぎなどが使えますし、OTならSTEF(簡易上肢機能検査)でも動きを観察できます。


今回のまとめ
視覚障害へのアプローチのコツは、「訓練だけでどうにかしようとしない」ことです。
1: 「どこでつまずいているか」を系統立ててみる
視野なのか、眼球運動なのか、認知なのかを鑑別しましょう。
2: 評価結果を必ずADL・移動場面とリンクさせる
検査室での結果が、実際の生活(食事、更衣、歩行など)でどう現れているかを確認します。
3: 訓練+環境設定+代償手段+連携で組み立てる
残存機能を鍛えつつ、見やすい環境や道具(手がかり)を活用し、チーム全体で共有することが理想です。
いかがだったでしょうか。
視覚機能の評価に対する視野が広がり、少しでも明日の臨床の役に立てたのなら幸いです。
さらに詳しいADLへのアプローチについては、こちらも参考にしてみてください。








