なぜ立位、歩行で膝が伸びない?
こんな事で悩んだ事ないですか?
- 動作時の膝折れ
- 歩行時に膝が伸びない
- 膝屈曲位での歩行の為すり足
- 伸展可動域が改善しない
可動域、筋力はあるはずなのに立つと伸ばせないなど
今回は膝を完全伸展する為に必要な要素を構成運動と運動連鎖でまとめます。
【この記事の要約】
- 構成運動の理解: 膝の完全伸展には、関節内での「転がり」と「前方への滑り」の連動が不可欠です。
- 凹凸の法則と回旋: 凹の法則に従う脛骨の動きと、伸展最終域での強制終末回旋運動(Screw-Home Movement)が安定性を生みます。
- 評価とアプローチ: 副運動(関節の遊び)の硬さを評価した上で、構成運動を促通するROM訓練やテーピングを活用しましょう。
構成運動って?
関節構成運動(Component Motion)とは「自分では動かせない、関節内部の細かい動き」です。
関節を動かす時、骨は単に蝶番のように動いているわけではありません。関節の内部(関節面)では、骨の末端が複雑に動いています。
1) 構成運動の正体
関節が動く際、表面上見える大きな動きを屈曲や伸展などの「骨運動」と呼びます。それに対して、関節の中で起こっている小さな動きが「構成運動(関節包内運動)」です。
構成運動には、3つのパターンがあります。
- 転がり (Rolling): ボールが転がる様に、新しい接地面が次々と入れ替わる動き。
- 滑り (Gliding/Sliding): スリップする様に、同じ接地面が相手の上を移動する動き。
- 回旋 (Spinning): 場所は変わらずグルグルと回転する動き。
もし関節の中で「滑り」が起きず「転がり」だけが起きると、骨はすぐに関節から外れて(脱臼)しまいます。
転がりと滑りがセットで起こることで、狭い関節面の中でも骨が外れずにスムーズに動けるようになります。つまり構成運動は、体を動かすとき(自動運動)に、その動きを成立させるためにセットで発生する動きです。
例: 膝を伸ばすとき、膝関節の中では骨が「転がり」ながら「滑り」ます。この滑りがないと、膝はスムーズに伸びきることができません。

副運動(joint play)との違い
また 似たような動きになりますが副運動(joint play)と呼ばれるものもあります。
こちらは関節の「遊び」とよばれ、筋肉を完全にリラックスさせた状態で、他動的に動かす際に感じる関節包内の「ゆとり」のことです。
ここでこの2つを分解して考えてみましょう。
構成運動の制限
「自分で動かそうとした時に、中での滑りが悪い」→ 正しい軌道で動かせるように訓練が必要。
→構成運動を考えてROM訓練(感覚入力)
副運動(遊び)の消失
「他人が動かしてもピクリとも動かない、隙間がない」→ 関節包自体が縮んでいる(拘縮)可能性が高い。
※皆さんが普段行っているモビライゼーションは副運動へのアプローチになります。
膝における構成運動とは?
関節の構成運動を理解する上で最も大切なのが「凹凸(おうとつ)の法則」です。
これは、動く方の骨の形が「凸(ボール状)」か「凹(受け皿)」かによって、関節の中で起こる「滑り」の方向が決まるという原則です。
1. 凹の法則(Convex Rule)
→動く方の骨が「凹(へこみ)」の場合、骨が動く方向と、関節の中での「滑り」の方向は同じ(同方向)になります。
今回の膝関節(脛骨が動くとき)では伸展時に脛骨の関節面も前方に滑ります。
膝の伸展制限では、凹の法則に従って「脛骨を前に引き出す(滑りを出す)」ことが必要です。
2. 凸の法則(Concave Rule)
動く方の骨が「凸(でっぱり)」の場合、骨が動く方向と、関節の中での「滑り」の方向は逆(反対方向)になります。
• 例: 肩関節(上腕骨が動くとき)では腕を上に挙げると、上腕骨頭は下方向に滑ります。この下方向への「滑り」が起きないと、上の肩峰にぶつかってしまいます。(インピンジメント)
強制終末回旋運動(Screw-Home Movement)
また膝関節を伸ばしきる(完全伸展)際には、構造上勝手に起こる回旋の動きが出現します。
強制終末回旋運動(Screw-Home Movement)と呼ばれる動き、聞いたことありますか?
事実:これも構成運動の一つであり、関節の形や靭帯の張力によって自動的に引き起こされます。
動きとしては膝を完全に伸ばす最後の数度(約20°〜30°から完全伸展位にかけて)で大腿骨に対し下腿が外旋する動きが起こります。
解釈:
- 関節面の大きさの違い
→ 大腿骨の内側の関節面の方が、外側よりも少し長くなっています。そのため、外側の動きが先に終わっても内側がまだ動けるため、最後にクルッと回ります。 - 前十字靭帯(ACL)の張力
→膝を伸ばすとACLがピンと張り、その力に引っ張られて回旋が誘導されます。
この動きの最大の目的は「膝のロック(安定化)」です。
ネジ(Screw)を最後まで締めると固定されるように、この回旋が起こることで膝がカチッと安定し、筋肉の力をあまり使わずに直立不動で立つことが可能になります。この動きを解除(アンロック)して膝を曲げ始めるには、「膝窩筋」という小さな筋肉が働いて逆方向に回旋させる必要があります。
評価→アプローチ→再評価(効果判定)
<評価>
伸展可動域の確認
→角度(量)だけでなくエンドフィールと動き方(質)の確認
- まずは副運動で関節包の硬さを評価します。(エンドフィール)
→他動的に下腿を前後方に引き出し関節のゆとりを感じましょう。 - 次に動き方(構成運動)を確認します。
→膝伸展に必要な下腿の前方への滑りと外旋を評価します、外旋については脛骨粗面が外に動くかを観察します。
<アプローチ>
- 副運動に問題 → 関節モビライゼーション
- 構成運動に問題 → 構成運動を考え動かすROM訓練(感覚入力)
<再評価>
自動で動かしてもらい先ほどの問題がクリアーされたか確認します。
まだ良くなってない、よくなってもすぐに戻ってしまう。
そんなことありますよね?
そんな時はテーピングなどで機能を使いやすくしてみるのも一つの方法です。

大腿四頭筋テープ → 大腿四頭筋の働きを良くし下腿の前方滑りを促通します

下腿外旋誘導 → 下腿外旋方向に誘導し構成運動を促通します
運動連鎖を考える
運動連鎖での膝伸展はOKC,CKCにより下腿、大腿どちらが動くかが変わってきます。
- 足が地面についていないとき(OKC)
→脛骨が外旋。 - 足が地面についているとき(CKC)
→大腿骨が内旋。
つまり立位では足部(下腿)の安定と股関節(大腿骨)の運動が必要となります。
こちらは次回お伝えしますね。
<まとめ>
膝伸展には下腿の前方滑りと外旋(構成運動)が必要
まずは関節の遊び(副運動)の確認 → 強制終末回旋運動(構成運動)の確認






