肩関節の機能と解剖、評価について勉強してみた〜肩甲胸郭関節編〜 

肩関節の機能と解剖、評価について勉強してみた〜肩甲胸郭関節編〜

こんにちは、療法士活性化委員会の大塚です。

理学療法士大塚久

前回は肩甲上腕関節の機能と解剖、評価について学んでいきました。肩関節は複合関節であるため、様々な要素が絡んで動きが出ています。その中でも肩甲上腕関節は不安定な関節な上に自由度が高いため、土台の働きが重要です。。その土台こそが「肩甲胸郭関節」。今回は肩甲胸郭関節の解剖と機能、評価について学んで見たいと思います。

肩甲胸郭関節とは?

肩甲胸郭関節は機能的関節です。

機能的関節なため、いわゆ関節の形状や運動軸、中心軸が曖昧です。
では肩甲胸郭関節はどこを中心に動いているか?
それは胸鎖関節です。胸鎖関節と鎖骨と肩甲骨を繋ぐ肩鎖関節によって肩甲胸郭関節の動きが制御されています。

関節構成要素動き
胸鎖関節胸骨、鎖骨上方30°、前後35°、回旋45°
肩鎖関節鎖骨、肩甲骨上下10°、前後20°、回旋45°
肩甲胸郭関節肩甲骨、胸郭全方向(挙上、下制、内/外転、前/後傾、上方/下方回旋)

肩甲胸郭関節の安定性

肩甲胸郭関節は機能的な関節のため、関節包、靭帯がありありません。なので静的な安定化機構は胸鎖関節、肩鎖関節と胸郭の形状が担い、動的安定性は筋肉で担っています。

肩甲骨と胸郭に付着している筋肉

  • 肩甲挙筋
  • 大菱形筋
  • 小菱形筋
  • 小胸筋
  • 前鋸筋
  • 僧帽筋

これらの筋肉が相互に作用し、肩甲骨の動的安定性を保っています。またこれらの筋肉にとともに鎖骨に付着する

  • 鎖骨下筋
  • 大胸筋
  • 三角筋

などが作用してきます。

肩甲胸郭関節の評価

大きく分けて2つあります。

肩甲上腕リズム

上腕骨に対する肩甲骨の動く割合です。基本的には肩甲上腕関節:肩甲骨が2:1の割合と言われていますが、その角度によっても割合が変化し、より下垂位に近い方が肩甲上腕関節の動きが大きく、挙上位に近い方が肩甲骨の動きが大きくなります。

Scapular dyskinesis

上肢の運動に伴う肩甲骨の動きの異常パターンの評価です。

1肩甲骨下角が突出してくる小胸筋の機能不全
2肩甲骨内側縁が浮き出てくる肩甲骨周囲筋の機能不全
3肩甲骨上角が突出、過度な上方回旋肩甲上腕関節の安定性低下(関節包、ローテーテーカフ)
4正常 
51〜3の複合タイプ 

の5つのパターンで評価します。

ただしこのScapular dyskinesisは肩関節の痛みのある場合に見られると言われていますが、2017年に発表された文献では「検査者の思い込みによる補正があり、肩関節の痛みがある場合に必ずScapular dyskinesisが見られるわけではない」ともされています。ただScapular dyskinesisがある場合、肩関節痛になるリスクが43%高くなるという報告もありますので、Scapular dyskinesisだけで判断せず、その他の評価を行い、仮説を立て、アプローチで検証する過程が大切です。

いずれにしても上肢の動きに対する肩甲骨の運動を触診で確かめる必要があります。

肩甲胸郭関節が動くのは胸郭上

肩甲胸郭関節は胸郭の形状の合わせて動区ため、胸郭の形状が非常に重要になってきます。例えば臥床時間が長く胸郭の形状が横に潰れている状態になると肩甲骨の動きは極端に制限されます。

そこで肋骨の可動性胸椎の可動性横隔膜の機能も肩関節にとって重要となってきます。
>>>脊柱の機能ついて勉強してみる〜胸椎編〜

肩甲胸郭関節へのアプローチ

胸鎖・肩鎖関節のモビライゼーション

胸郭関節のモビライゼーション

僧帽筋のリリース

小胸筋のリリース

まとめ

肩甲胸郭関節は

  1. 肩甲上腕関節の動きに大きく関わる
  2. 胸鎖関節、肩鎖関節の動きが大事
  3. 筋によって安定性が保たれている

この3つがポイントとなります。

関節の機能を理解してより効率的にリハビリを行っていきましょう。
>>>【触診が苦手な方限定】6日で学ぶ評価・アプローチのための触診セミナー

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  19. PRiCO(ぷりこ)さんによるイラストACからのイラスト
  20. 筒井よしほさんによるイラストACからのイラスト 
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