こんにちは、療法士活性化委員会の大塚です。
今回は動作分析で特に悩みが多い、歩行について基礎的な部分を勉強してみました。歩行分析は奥が深くて細かくすればいくらでも細かくできるんですが、正直そこまでみるのは大変ということでまず最初に見るポイントに付いて整理してみました。ここから更に細かくみていってください。
今回見るポイントは
- 立脚期(初期、中期、後期)
- 減速、維持、加速
- 筋活動
です。
そもそも歩行とは?
歩行は競歩というスポーツでは「いずれかの足が常に地面に接地していて前進していること」とされています。
基本的に移動のために用いる手段として歩行があります。
一般的に用いられる歩行周期の定義として
ランチョ・ロス・アミーゴ病院方式の歩行周期が用いられ
- 初期接地期(Initial Contact;IC)
- 荷重応答期(Lording Response; LR)
- 立脚中期(Mid Stance; MSt)
- 立脚終期(Terminal Stance; TSt)
- 前遊脚期(Pre Swing; PSw)
- 遊脚初期(Initial Swing;以下,ISw)
- 遊脚中期(Mid Swing; MSw)
- 遊脚終期(Terminal Swing; TSw)
で表現されます。
遊脚期は4割、立脚期は6割とされています。
ただ、これって層分けが多すぎて観察できないことってありませんか?
そこでもっとシンプルに考えてみましょう。
倒立振子モデル
歩行の重心移動を表すモデルとして倒立振子モデルというのがあります。倒立振子になっている理由は重心の上下の移動を利用し、位置エネルギーを運動エネルギーに変換することで不必要な筋肉の収縮を使わずに歩行をするためです。
位置エネルギー、運動エネルギーとか出てきたらもう嫌になりますよね、僕も同じです。今回これを紹介したのはエネルギーの話をしたいわけではありません。
この倒立振子モデル、振り子の視点が地面に接していることが前提となっています。ということは、立脚期のだけの話なんですね。
歩行はそもそも重心を移動するための手段で、その重心移動が倒立振子(立脚期)で説明できると言うことはまず歩行観察の基礎として立脚期のみに注目してみましょう!
ここで歩行の4割(遊脚期)がみなくていいことになりました。
*もちろん慣れてきたら遊脚期もみてくださいね!!
倒立振子モデルを分解してみよう
立脚初期
初期から中期は重心が上がる方向なので減速しますが、なるべく減速しないで中期に向かいたいので関節の過度の屈曲を行わないように各関節の伸展筋が働きます。(大殿筋、大腿四頭筋、前脛骨筋)
立脚中期
中期はスピードを維持する時期になります。ここでは前方への推進力が側方へ逃げないように中殿筋が働きます。
立脚後期
中期から後期は重心が下る方向なので加速していきます。しかしここで加速しすぎると制御できなくなるため、屈曲筋が遠心性収縮に働きます(大腰筋、ハムストリングス、下腿三頭筋)
ざっくりまとめるとこんな感じです。そして効率的に歩行を行うためにはどの期も大事なんですが、特に立脚中期から後期にかけての維持、加速が大切です。このときに必要になる関節の動きが股関節の伸展と足関節の背屈です。そしてそれを制御するための大腰筋、ハムストリングス、中殿筋、下腿三頭筋の筋力が重要になります。
もし股関節、足関節に制限があると、、、
股関節に伸展制限がある場合
- 歩行時に立脚中期から後期が作れないため、常に股関節屈曲位での歩行となる。
- 股関節屈曲位では中殿筋は働きにくく、大腿筋膜張筋の活動が優位になるため、股関節前外側、腸脛靭帯付着部が過剰に緊張する。
- 股関節の伸展を腰椎の過剰な前弯で代償するため、多裂筋が過剰に収縮するため、長時間の歩行で腰や下肢に負担がかかる。
などが考えられます。
足関節に背屈制限がある場合
- 立脚中期から終期にかけて足関節の制限により下腿が前方へ可動しないため、内側または外側に下腿が可動してしまう。→立脚中期に外側スラストまたは内側スラストがみられる。
- Toe outn状態にして距骨下関節の回外と踵骨の傾斜で代償する。
→足部のアーチの破綻。
などが考えられます。
なので歩行観察では股関節の伸展と足関節の背屈が出ているかどうか?
この2点に注目してみるようにしてみましょう。
アプローチ
股関節のモビライゼーション
距腿関節のモビライゼーション
大腰筋のリリース
ハムストリングスのリリース
まとめ
歩行の基礎について勉強してみた
- 全体をみるとわからなくなるのでみるポイントを絞る
- 立脚期の股関節の伸展と足関節の背屈だけをみる
- 大腰筋、ハムストリングス、中殿筋、下腿三頭筋の筋力を確認する。
歩行はみるポイントが非常に多い動作です。多くを見ようとして何度も対象者を往復してもらうことがないように、まず見るポイントを絞って評価してみましょう。
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