覚醒レベルが低い方への関わりについて

覚醒レベルが低い方への関わりについて

こんにちは、療法士活性化委員会の大塚です。

理学療法士大塚久

先日リハコヤで「覚醒レベルの低い方への介入について、ROM訓練やポジショニング、シーティングなどの関わりをしているのですが、この関わりがそのかたの人生を尊重した関わりになっているのか悩んでいます」と言う質問を頂きました。

今回は大塚としての考えをお伝えしたいと思います。

大塚自身も療養型の病院に勤めていたとき同じように悩んでいた

私は療養型病院に3年間勤めていた経験があります。療養方病棟を簡単に説明しますと包括医療と言うものが適応されており、検査や投薬、治療、処置を行っていても1日に算定できる点数は変わりません。

基本的に入院日数の制限もなく、私が勤めていた施設では12年以上入院されている方もいました。

対象者の状態も基本的にベッド上の生活でADLは全介助、食事は胃ろう、車椅子坐位で20分がやっとコミュニケーションもほとんど取れない、と言う方が多くいました。

学校で学んできたことは機能訓練がほとんどでしたが、療養病棟で理学療法士として介入するのに本当にリハビリが必要なのか?と悩んでいました。

 

NBM(ナラティブ・ベースド・メディスン)

NBMとは、1998年にBMJ Booksから発行されたNarrative Based Medicine-Dialogue and discourse in clinical practice (Greenhalgh T& Hurwitz B eds,1998)と言う書籍に登場してから使われるようになった。EBM(エビデンス・ベースド・メディスン)を補完する考え方として個々の患者が語る物語から病の背景を理解し,抱えている問題に対して全人格的なアプローチを試みようという臨床手法です。NBMは相手の物語をよく聞くこと自体にも治療効果があるとされています。

しかし、NBMも対象者から聞き取れることが前提となっているため今回のような覚醒レベルが低い方には適応が難しことがあります。

 

ICFで見てみる

僕自身はICFで重要なのは参加環境因子と考えています。理由は参加は今その場に生きている理由、環境因子はその理由を決定する因子となるからです。

例えばどんなに覚醒レベルが低く、介護が必要な状態(心身機能、身体機能、活動)だとしても家族が在宅で一緒に生活したいというHOPE(環境因子)があればその対象者の方の参加は「在宅で家族と過ごす」になります。そして「在宅で家族と過ごす」為に必要な環境設定やサービスを決定していきます。

 

施設に入所されている覚醒レベルが低い方の参加は?

入所されている方の環境は施設であり、病棟であり、そこに従事しているスタッフとなります。そうなるとその中での参加は「何もなく過ごせること」が一つの役割になるかもしれません。

褥瘡や転落、誤嚥などを起こさず何もなく過ごせること、それがご本人にとっても関わるスタッフにとっても、預けている家族にとっても安心できる参加の形の一つだと思います。

 

生きているのは“今”

NBMで考えると対象の方がどういった人生を送ってきたか?それを尊重するのはすごく大事です。そしてEBMを用いて予後予測をするのも必要だと思います。でも対象の方が生きているのは“今”です。過去に何があっても、今は笑って過ごせる、今が平穏でなければ未来はどうなるかわからない。

覚醒レベルが低く、今後機能的な変化は望めない、物語を尊重したくてもお話が聞けない、そんな時は“今”に目を向けてもいいんじゃないでしょうか?

 

まとめ

覚醒レベルの低い方への関わりについて

  1. NBMに基づいて物語を尊重する
  2. ICFで環境と参加を意識する
  3. “今”を大事にする

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