肩関節周囲炎のリハビリのポイントについて 〜肩関節のROMの評価〜

肩関節周囲炎のリハビリのポイントについて 〜肩関節のROMの評価〜

こんにちは、療法士活性化委員会の大塚です。

理学療法士大塚久

前回、肩関節周囲炎のリハビリのポイントについてConsensus for physiotherapy for shoulder pain. Int Orthop.という文献をもとに

  1. 肩関節の自動ROM
  2. 肩甲上腕リズム
  3. 肩甲骨周囲の筋(前鋸筋、僧帽筋、広背筋、菱形筋、小胸筋など)
  4. 頚椎、胸椎のROM
  5. 肩甲上腕関節の可動性
  6. 肩甲上腕関節周囲の筋(ローテーターカフなど)

がポイントだとお伝えしました。
>>>肩関節周囲炎のリハビリのポイントについて 〜肩関節だけ見ていても改善できない理由〜

今回はこの中の

  1. 肩関節の自動ROM

についてお伝えしていきます。

 

肩関節の挙上、自動ROMについて

まず大事なのがADLのどの時に肩に問題があるのか? ということです。ここがゴールになります。なので、まずADL上で困っている動作、改善したい動作を問診し、その動作時の肩関節挙上の自動ROMを測定しましょう。

 

最初は立位で肩関節の挙上を行う

まずは立位で挙上しましょう。おそらくその際に痛みがあって制限が出ると思います。もしここでADLで必要な可動域まで肩が挙上できるならリハビリの必要はありません。

では痛みによって可動域に制限があった場合、体のどこに問題があるでしょうか? 答えはまだわかりません。

痛み自体は肩に出ているとしても、痛みを出している原因は肩にあるとは限りません。肩関節はあくまで症状が出ているだけです。

例えばスマホで急にアプリが動かなくなったとします。その原因はアプリ自体の問題かもしれないし、スマホの容量がいっぱいで動作が重くなっているのかもしれないし、充電がないのかもしれない、Wi-Fiの電波が悪いのかもしれないと様々あります。

肩関節周囲炎の肩の痛みという症状は「アプリが動かなくなった」というのと同じでその原因は体の他の部位にあることがほとんどです。

なのでConsensus for physiotherapy for shoulder pain. Int Orthop.でも肩甲上腕関節だけでなく、その他の部位の評価が必要とされています。

そして立位での肩の挙上の場合は大きく分けても

  1. 足部の安定性
  2. 膝関節の可動性
  3. 股関節、骨盤帯のコントロール
  4. 胸椎、頚椎のコントロール
  5. 肩甲帯のコントロール
  6. 肩甲上腕関節のコントロール

の問題が考えられます。

立位での肩の挙上では、

立位で肩を挙上すると症状が出る

ということしかわかりません。そこで次に肢位を変えて坐位で同じ肩の挙上の自動ROMを評価します。

坐位で肩の挙上を評価

坐位では立位と比較すると骨盤が座面についているので、

  1. 足部の安定性
  2. 膝関節の可動性

は確保されています。もちろん可能性としてゼロではないのですが、残りの部位に比べると優先順位は低くなります。

坐位で肩が挙上できた場合→足部の安定性または膝の可動性の問題

坐位で肩が挙上できなかった場合→残りの関節の問題

とスクリーニングすることができます。

次に背臥位で肩の挙上自動ROMを評価します。

 

背臥位で肩の挙上

背臥位では頭部、脊柱、骨盤、下肢が全て床面に接地しています。なので

  1. 足部の安定性
  2. 膝関節の可動性
  3. 股関節、骨盤帯のコントロール
  4. 胸椎、頚椎のコントロール

は確保されています。なので

背臥位で肩が挙上できた場合→股関節、骨盤のコントロール、胸椎、頚椎のコントロールの問題

背臥位で肩が挙上できなかった場合→肩甲帯のコントロール、肩甲上腕関節のコントロールの問題

とスクリーニングすることができます。

日常生活での肩関節の問題はほぼ立位か坐位で問題になることがほとんどです。そうなると足部から頭部まで全身を見る必要がありますが、限られた時間の中で見る必要があるのでまずは肩の挙上を立位、坐位、臥位で評価することで、大まかにどこに問題があるのかを評価しましょう。

次回は肩甲帯のコントロールに問題があった場合の肩甲上腕リズムについてお伝えします。

 

まとめ

肩関節周囲炎のリハビリのポイントについて 〜肩関節のROMの評価〜

  1. ADLのどの動作で困っているのかを明確にする
  2. 症状が出ている部位と痛みが出ている部位は違う
  3. 立位→坐位→臥位の順で同じ肩の挙上を評価することでどこの問題かスクリーニングする

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