こんにちは、理学療法士の赤羽です。
みなさんは、腰痛の患者さんが来た時になぜ痛いのかをイメージできるでしょうか。
今回は、腰痛の原因について考えてみたいと思います。
腰痛の原因
腰痛診療ガイドライン2019改訂第2版(以下ガイドライン)では、腰痛の定義の中の原因別による分類として以下に分けられています。
- 脊椎とその周辺運動器由来
- 神経由来
- 内臓由来
- 血管由来
- 心因性
- その他
上記から多種多様な原因があることが分かります。これらは診断法が確立しており、治療法が存在している疾患と、診断と治療が確立していない疾患・症候群に分けられます。いわゆる非特異的腰痛と言われるものです。
腰痛には重篤な脊椎疾患を疑う所見としてred flagがあります。このred flagに当てはまる腰痛に出会った場合はすぐに医師へ報告し指示を仰ぐ必要があります。red flagに当てはまるものや明らかな組織損傷など診断が確立されているものはそれに対する治療を行いリハビリテーションもそこに準じることになります。
しかし、red flagに当てはまらず、明確な組織損傷等もないような非特異的腰痛と考えられる腰痛はどう考えれば良いのでしょうか。
腰痛の病態
ガイドラインでは、腰痛の病態について「腰痛は腰椎から脳にいたるあらゆる部位で様々な病態が関与している」とされています。
腰痛があるとつい腰部の状態ばかりに眼が行きがちですが、必ずしも原因が腰部にあるとも限らないということです。
BPSモデル
疼痛の考え方にBPSモデルというものがあります。
BPSモデルとは、生物学的因子に重点を置く、従来の生物医学モデルを再構築した医学モデルです。
BPSは、B:biology(生物学的因子)、P:Psychological(心理的因子)、S:社会的因子(Social)の略です。
生物学的因子とは…
身体機能、発達特性など
心理的因子とは…
感情、ストレス、自己効力感など
社会的因子とは…
家庭環境や経済状況、仕事や家族等の人間関係など
上記の3つの要因が相互に影響し合って、疼痛につながっていると考えられます。
生物学的因子に眼が行きがちですが、社会心理的要因についても考える必要があります。
腰部の組織レベルでの考え方
では、腰部自体はどのような原因があるのかというと…
- 椎間関節性
- 筋・筋膜性
- 椎間板性
- 仙腸関節性
等があります。他にも椎間板ヘルニアや狭窄症、その他明確な組織損傷や診断が確立されている疾患もありますが今回は省略します。
それぞれどのような所見がみられるのか紹介していきます。
*これから紹介する所見はあくまで一例で必ずしも全て当てはまり明確に区別できるものではありません。
椎間関節性
- 棘突起正中より1横指以上外側の片側・両側性の腰痛
- 伸展・回旋時の痛み
- ケンプテスト陽性
- 椎間関節部の圧痛
筋・筋膜性
- 前屈の途中で疼痛出現しやすい
- 伸展で出現することもある
- 動き始めに痛みがあり動いていると徐々に良くなる
- 筋に圧痛
椎間板性
- 圧痛みられない
- 朝腰がこわばる
- 夕方の方が辛い
- 屈曲で疼痛出現
仙腸関節性
- one finger sign
- 鼠径部痛
- 椅子座位痛
- Newton test変法 陽性
- PSISの圧痛
- 仙結節靭帯の圧痛
これらの所見を手掛かりにどの組織に疼痛が出現しているのかを考え、そこを狙ってアプローチを行っていきます。
まとめ
- 腰痛には様々な原因があり、その中でも特異的腰痛と非特異的腰痛に分けられる。
- 生物学的因子だけでなく社会心理的因子も関わってくる
- 腰部の組織レベルでは椎間板性、筋・筋膜性、椎間板性、仙腸関節性等の腰痛がある。
もっと詳しく知りたい方は・・・
【初学者向け】腰部脊柱疾患に対する評価とアプローチ法 | 療法士活性化委員会 (lts-seminar.jp)