皆さんこんにちは。作業療法士の内山です。今回は、デイサービスにおけるリハビリ職の営業活動について考えていきたいと思います。よろしくお願いします。
なぜリハビリ職が営業に行く必要があるのか?
「デイサービスの営業は生活相談員の仕事でしょう?」このような声をよく耳にします。確かに、多くのデイサービスでは生活相談員が営業を担当しています。しかし、私は理学療法士・作業療法士こそが営業活動に携わる必要があると考えています。その理由として、以下の3つが挙げられます。
- 専門的な評価に基づく具体的な生活提案ができる:利用者さんの状態を的確に評価し、個別ニーズに合わせたリハビリプランを提案できます。
- リハビリテーションの効果を実例を交えて説明できる:実際の改善事例を示すことで、リハビリの効果を具体的にイメージしてもらいやすくなります。
- 施設のコンセプトを実践している当事者として説得力がある:リハビリの専門家として、施設の理念や取り組みを自身の言葉で伝えることができます。
リハビリ職の営業における重要ポイント
単にリハビリメニューを説明するのではなく、その人の生活をどのように変えていけるのかという視点が重要です。私たちリハビリ職は、日々の実践を通じて具体的な改善のプロセスを体験しています。
例えば、立位での活動が難しい利用者さんに対して、どのような手順で訓練を進めていくのか、どのタイミングで介助を減らしていけるのかなど、具体的なノウハウを持っています。このような経験に基づいた提案は、机上の理論とは異なる説得力があります。
また、ケアマネジャーとの専門職同士の対話も重要です。「この方の歩行能力からすると、自宅での動線上にある段差の昇降が課題になりそうです」「調理動作では、まず包丁操作の安全性を高めることから始めていきましょう」など、具体的な生活場面を想定した提案ができます。
現場での実践例:個別性を重視したアプローチ
実際に担当している利用者さんの例を紹介します。左片麻痺のAさんの場合、デイサービス利用開始時は箸使いに大きな困難がありました。この状況に対して、以下のようなアプローチを提案しました。
- まずは食事の準備や片付けなどの役割活動から始める
- 実際の食事場面で使用する箸や食器を使った練習を行う
- 成功体験を積み重ねながら、徐々に難易度を上げていく
このように、具体的な場面設定とステップアップの過程を示すことで、ケアマネジャーにもイメージを持っていただきやすくなります。
多職種連携の視点から見た営業活動の意義
リハビリ職が営業に出ることには、もう一つ重要な意味があります。それは地域の多職種との「顔の見える関係作り」です。デイサービスでのリハビリテーションを効果的に進めるためには、ケアマネジャーや訪問看護師、ホームヘルパーなど、様々な職種との連携が欠かせません。
例えば、ある利用者さんの場合、デイサービスでの立位訓練の成果を活かすため、訪問介護の時間帯での立ち上がり動作の練習を提案しました。このような職種間での目標の共有と具体的な連携は、リハビリ職が営業に出ることで初めて可能になったのです。
リハビリ職の営業がもたらす波及効果
リハビリ職による営業活動は、デイサービスの質的向上にもつながります。他事業所のケアマネジャーと話をする中で、地域のニーズや課題を直接聞くことができるからです。その情報を基に、デイサービスのプログラムを改善したり、新しいサービスを検討したりすることができます。
また、リハビリ職が営業に出ることで、施設の専門性の高さや、リハビリテーションへの本気度が伝わります。これは、選ばれるデイサービスになるための重要な要素となります。
今後の展望と課題
評価データの視覚化や、生活改善事例の体系的な整理など、より説得力のあるプレゼンテーション方法を確立していく必要があります。また、現場での業務と営業活動の時間配分、情報共有の仕組みづくりなど、組織としてのバックアップ体制を整えることも重要です。
まとめ:リハビリ職による営業活動の重要性
- リハビリ職による営業活動は、専門性を活かした具体的な生活提案を可能にする
- 多職種との「顔の見える関係作り」により、より効果的な連携体制を構築できる
- デイサービスの質的向上と選ばれる施設づくりにつながる
私たち作業療法士・理学療法士は、利用者さんの生活をより良いものに変えていく専門職です。その専門性は、営業活動においても大きな力を発揮します。ぜひ、みなさんも営業活動を通じて、より多くの方に私たちのリハビリテーションの可能性を伝えていってください。