こんにちは!
モーションアナライシスコース講師の吉田頌平です。
突然ですが、みなさんは『寝返り動作』を分析したことはありますか。
臨床1年目に急性期の整形外科病院に勤務し始めた私は、寝返り動作をあまり分析することなく生きていました。
もちろん『寝返り』も『動作分析』も存在自体は知っていましたし、研修会などでもどこかで聞いたことはありました。しかし、私にとっての寝返り動作の分析とは「介助が必要な人のためのもの」でしかなかったのです。
そんな私が、今更寝返り動作の分析を考え直すようになったのは、ある出来事がきっかけでした……。
寝返り動作中の動作分析 – 総論 –
▼目次
2. 寝返りをするためには?
3. 腹筋を活用するには肋骨の動きがキー
頸椎術後に寝返りができない不思議
病院に勤務していた1年目の当時、手術直後の患者さんとリハビリを行っていました。
手術前に評価を行ったりして、術前〜術後14日間くらいのリハビリを担当させていただいてました。
ある男性の患者さんが、「明日、頸椎の手術するんだよ〜」ということで入院されました。
その方の手術前の身体機能の評価を担当した時、
・肩周りや手に痺れたように感じる
・歩いているとき、足がパタンパタンと落ちるような違和感を感じる
・でも、身体は元気に動けるから身の回りのことは自分でできている
という状況でした。
もちろん寝返り動作も、そつなくこなしていました。
そして、頸椎を固定する手術を受けられました…
ですが、頸椎を固定する手術のあと、ドレーン・バルーンが外れてさぁ動こう!と思っても
なんと寝返りからできなかったんです。
このことが、当時の私には衝撃でした。
「術前は、腹筋が働いてたはずなのに…なんで寝返りできないの??」
寝返りをするためには?
前回、脊柱には「椎間関節」という関節があることをお伝えいたしましたね。
どうもこの椎間関節というのは、
脊柱の左右にあって、回旋するときには
一方が上に滑って、もう一方は下に滑る特徴があるそうです。
右回旋をするときを例にすると、
椎体関節は右側が下に滑り、
左側が上に滑るように動きます!
で、脊柱って頸椎から腰椎・仙骨までズラ〜っと並んでいるので
どこかだけを分解して動かすってことは非常に難しくて、
どこかが動けば、他も連動して動く構造になっています。
普段の生活では、この脊柱全体が連動する動きを無意識に活用しているので
いざ一箇所が固定されると、動けなくなるんです。
先ほどの男性も、この状態でした。
術後首を動かさずに安静にする方針でしたので
いかに頸椎を動かさずに起き上がるかが最初のリハビリの課題でした。
すでにバルーンが外れているので、起きれなければトイレにいけない…
これはマズイ!!
腹筋を活用するには肋骨の動きがキー
で、どうしたもんかと考えておりましたら先輩から
「吉田はさ、腹筋と肋骨の動きってみてるの??」
と言われました。
どういうことかと、もうちょっと教えてもらおうと聞いてみました…
「肋骨に腹直筋とか、腹斜筋とか、いろいろついてるじゃん?
体幹を屈曲とか回旋するときに大事な筋って、肋骨と骨盤につくから
肋骨の動きもみないと回旋の動きって変わんないよ」
寝返りの時に必要な体幹の回旋・屈曲の時には
腹直筋・腹斜筋などの腹筋の活動が重要になります。
これらの筋が活動するためには、まず付着部である肋骨・骨盤が動くことが
大事だよっと先輩は教えてくれました。
うーん、肋骨の動きってなんだろう…??
胸椎の椎間関節の横を見ると、肋骨の付け根がありますよね。
右回旋をするときを例にすると、
椎体関節の右側が下に滑り、
左側が上に滑るように動くのと合わせて
つまり、腹筋に引っ張られて椎体との関節部から肋骨も動く、という点を
私は見落としていたんです。
なので、患者さんには頸椎が屈曲しないように頸椎カラーをはめて
両手で頭部を支えてもらいつつ、
患者さんの下肢・腰椎の動きに合わせて
私が胸郭の動きをサポートして寝返るように動いてもらったところ…
無事、枕に頭を乗せて側臥位を取ることができました!
終わりに
脊柱と肋骨の動きに、腹筋のことまで入ってくると
なんだか複雑に感じますよね…
特に、回旋するときの腹筋の動き方とか
肋骨の根元の動きとか…
この辺りは、実際に身体を動かして見るほうがわかりやすいですよ!
動作分析が苦手…と思う方の苦手意識が
少しでも「楽しい!」に近づきますように。
ありがとうございました。
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療法士活性化委員会
認定講師 吉田 頌平
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