動作分析、何のためにやってるんだろう？動作分析の目的って？ Part.3［療法士に必要なセルフエクササイズの考え方～その76～］

動作分析を行う目的シリーズ、本日が最終回です！
初めから読みたい方は、こちらから
前回の内容は、こちらをご覧ください。

さて本編が始まる前に、動作分析ってなんだったっけ？ってとこを改めて復習していきましょう。
くどいようですが、とっても大切なことなので確認していきましょう。

そもそも動作分析とは？

動作分析とは特定の作業についてきめ細かい改善を行うときや、歩行を伴う移動が少ない座り作業、短サイクル作業などの改善を行う際に有効となる分析手法である。

―引用：株式会社 日本能率協会コンサルティング.「動作分析」

動作分析って、いまや医療現場で聞かないことはないワードですが、もともとは流通や工業に関する仕事で活用されていたものでしたね。

動作分析は問題点を抽出したい療法士だけでなく患者さん・利用者さんも同様に自分の課題をはっきりさせたい時に活用できるものであり、「動作分析ってみんながハッピーになれる素晴らしい手法なんじゃない……！？」と気づいた…

実際におこなった動作分析のプロセスはこちらです。

動作分析のプロセス

• • 主訴・Hopeのヒアリング
  • 動作の抽出
  • 評価の実施
  • 問題点の共有

最終回の今回は、「評価の実施」「問題点の共有」に注目してみましょう！

評価の実施

主訴・Hopeのヒアリング、動作の抽出の次は「評価の実施」です。

前回のコラムで挙げた、患者さんの訴えの例は下記のようなものでした。

 
この方の主訴とHopeは、

→主訴：寝返る時に腰が痛い

→Hope：夜中、痛みなく自分で起き上がってトイレに行けるようになりたい。

主訴・Hopeに沿って確認しておきたい動作の例として

を挙げました。

 

なぜ体幹の自動回旋を観察するかというと、 
本来、体幹を自動回旋する際は、『内・外腹斜筋』の収縮が求められるからです。

もしも内・外腹斜筋が機能していなければ、腰部を伸展して代償する可能性が高まります。
ずっと腰を反る力が働きつづけていれば、
腰方形筋や脊柱起立筋などの腰の筋肉は硬くなって痛くなってきますよね。

ですので、まずは体幹回旋時に
　・内・外腹斜筋の収縮は得られるのか？
　・脊柱起立筋群の過剰収縮が起こっていないか？

を、触診やROM、MMTで評価していきます。

問題点の共有

触診などで筋の動きを確かめたあとは、「問題点の共有」です。

先ほどの評価項目から、
　・内・外腹斜筋の収縮が弱い
　・脊柱起立筋群がバリバリに硬くなっている
などの様子が見られたとしたら、

とひとつ仮説を立てられます。

「〇〇さん、もしかしたら腰を反らずに寝返りが打てるようになると、もうちょっと楽に起きられるかもしれませんよ」
「腰をあんまり反らなくても寝返りが打てるように、ちょっとリハビリで練習してみませんか？」

っと問題点を共有して具体的な改善方法を提案できると、
この患者さんも納得してリハビリに取り組みやすくなるかもしれません。

もしくは、ベッドのリクライニング機能を活用することで改善するほうが、『トイレに行くために』起き上がりやすくなるかもしれないですね。

まとめ

主訴をベースに動作分析を行なってみると、患者さん・利用者さんも一緒に
Hope達成のために頑張れる流れができることがわかります。

動作分析をするということは、なんらかの課題を抱えている人たちが安心でき、問題解決のために主体的に考えられるようになるということ。

つまり、動作分析をする人は、動作を細かく見る人というだけではなく、人のことを考えることができる人、ということなんじゃないかなって思いました。

単純な人間なので、日頃からもっと相手の気持ちを考えられる人間になろうと思いました。

以上、吉田でした！