こんにちは、療法士活性化委員会委員長の大塚です。
さて、前回胸椎は上肢の土台となっている、呼吸に影響する、交感神経にも関わってくると言った機能があることがわかりました。そのために肋骨があったりしましたね。今回はその胸椎の下で下肢と体幹を支えている腰椎の役割を見ていきたいと思います。
腰椎の役割って?
腰椎(L1〜L5)の特徴
腰椎の特徴は棘突起が後方に大きく、椎間関節がほぼ垂直に位置しています。そのため回旋、側屈の動きはほとんどなく、屈曲・伸展の可動性が大きくなります。
腰椎の安定性と可動性を前後で保持しているのが大腰筋と多裂筋です。
腰椎は椎体が他の頸椎、胸椎よりも大きく腰から上の体重を支える役割もありますなのであまり大きく側屈や回旋をしてしまうと重力と剪断力により椎間板が大きなダメージを受けてしまうため、椎間関節が垂直方向に向き側屈と回旋を制限しています。ただその分、屈曲と伸展の動きは大きく確保されており、その大きな動きを1、多裂筋と大腰筋のワイヤーシステム、2、腹腔内の圧力によってコントロールしています。
多裂筋と大腰筋のワイヤーシステム
胸椎は肋骨、胸骨とともに胸郭を形成して支えていますが、腰椎は大腰筋と多裂筋が前後で釣り合うようにしてバランスをとっています。詳しくはこちらで>>>Assessmentコース
腹腔内の圧力によってコントロール
大腰筋と多裂筋だけではさすがに支えきれないので腹腔という風船を腰椎の前に置くことでさらにバランスをとっています。その腹腔を構成する筋が横隔膜、腹横筋、骨盤底筋、多裂筋のインナーユニットです。この4つの筋が協調的に働くことで様々な姿勢でも腹腔内圧が保たれ、腰椎が安定します。逆にいうとこのインナーユニットがうまく働かないと腰痛の原因にもなり得ます。うまく働く状態とは遠心性収縮が行えることをさします。
実は呼吸にも関与している
インナーユニットを構成する横隔膜は脚部が第3腰椎に付着しています。横隔膜はこの脚部と剣状突起部、肋骨部が固定点となり、腱中心が収縮します。つまり腰椎の安定性が呼吸にも関わってきます。
腰椎の動きは骨盤、股関節と連動している
腰椎の屈曲/伸展は骨盤の前傾/後傾と連動しており、さらに骨盤の前傾/後傾の動きは実は股関節の屈曲/伸展です。さらに腰椎が苦手な回旋の動きは股関節の内外旋の動きでコントロールしています。なので腰椎とともに股関節の運動も評価してみましょう。
座位を取るために両側の股関節の屈曲の評価。
そして股関節のモビライゼーション pic.twitter.com/g9JAHCg6Sr— 療法士活性化委員会 (@ryokatsu0518) November 24, 2019
具体的な腰椎に対するアプローチ方法は?
腰椎のモビライゼーション
大腰筋のリリース
多裂筋のリリース
ヒップリフト
ポイント
- まず骨盤を後傾し腰椎を床面に押し付ける
- その後さらに骨盤を後傾するようにして尾骨から挙上していく
まとめ
腰椎は
- 上部体幹を支えて屈曲・伸展の動きをする
- 筋と腹腔内圧によって支えられている
- 呼吸にも影響している
と考えられます。
機能解剖やその特徴を知ることでより効率的なアプローチが行えます。一緒に体幹のアプローチを学んでみませんか?>>>【触診が苦手な方限定】ROMexを効率的に行うための触診・アプローチ法セミナー
療活では患者さん、利用者さんの目的を達成のサポートができる療法士が増えることで療法士自身も、患者さん利用者さんも笑顔になることを目的に活動しています。
参考資料
- 脳と運動 第2版 ―アクションを実行させる脳― (ブレインサイエンス・シリーズ 17)
- カラー版カパンジー機能解剖学 全3巻原著第6版I上肢 II下肢 III脊椎・体幹・頭部
- 基礎運動学 第6版
- 自律神経による生体制御とその利用 永井克也 化学と生物 Vol. 51, No. 3, 2013
脊柱の機能シリーズ
体幹について勉強してみる〜脊柱の機能解剖〜
脊柱の機能ついて勉強してみる〜頸椎編〜
脊柱の機能ついて勉強してみる〜胸椎編〜
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