毎週月曜日は一年前にリハコヤでライブ配信されたものの一部を文章でお届けします。
本日はリハビリの臨床1年目で必ずやってほしい評価についてお話ししていきます。
臨床の場面で、新人セラピストは「ちゃんと評価した?」と先輩から聞かれることがあると思いますし、経験のあるセラピストは新人セラピストに対し「ちゃんと評価した?」と聞くことがあると思います。
このとき、具体的にどんな評価をどのようにやればいいのか、ちゃんと伝えられていますか?
評価には特殊な評価や整形外科テストなど様々あると思いますが、私はまずROM測定とMMTをまずしっかりやってもらいたいです。この二つの評価から、沢山の情報を得ることができるからです。ROM測定は、ただ角度を測定するためのものではなく、そこから解釈したりエンドフィールを感じたりすることで非常に有効的な評価ツールになります。
関節可動域測定とは?
関節可動域測定(range of motion:ROM)とは、身体の各関節を自動的あるいは、他動的に動かしたときの、関節の運動範囲を測定すること、と定義されています。
ROMの目的は?
①関節可動域制限・異常の程度を知り、動作への影響を推測する
例えば、肩関節でこのくらいの制限があると洗濯物が干しにくい、股関節の伸展制限があるときに立位姿勢や歩行時の立脚相はどうなっているのか、などを推測することができます。
②関節可動域を制限・異常にしている原因を考える
ここを意識して臨床でROM測定できているでしょうか?意識してやっているつもりでも、実際に聞くと抜けていることも多いところです。
③問題の可動域に対する治療計画を立てるデータとする
④治療効果の良し悪しを判定し、予後を予測する
即時効果があまりみられない場合は固まってしまっている可能性が高いので、その可動域制限を持ったままどう生活していくのかを考えていくことも重要です。
この中でも、今回は②についてお話ししていきます。
自動運動と他動運動を測定する意味とは?
自動運動で制限があれば関節運動を生む筋のコントロールや筋力のアンバランスの問題、自動運動でも他動運動でも制限があれば関節構成自体の問題であると考えることができます。
他動運動で大切になる指標とは?
他動運動で大切になる指標は、可動域角度(量的評価)とエンドフィール(質的評価)があります。今回はエンドフィールに注目していきましょう。
エンドフィールでわかることは?
エンドフィールをみることで、大まかな可動域制限の見当がつき、次に何を評価すればいいのかの指標が固まります。
軟部組織性のエンドフィールであった場合、筋の不全による可動域制限の可能性があると考えられるので、次に触診やMMTにて可動域制限の要因となっている筋を断定していきます。
例えば、肩関節を屈曲したときに軟部組織性のエンドフィールを感じて可動域が参考可動域以下だったとします。この場合、広背筋が制限となっているかもしれないと考えられるので、さらに触診やMMTで評価をしていきます。触診で筋の不全があるような硬さがあり、肩関節伸展のMMTが弱かった場合、広背筋に対してアプローチをします。最後に再評価をして変化があれば、この場合の肩関節屈曲の制限は広背筋だった、と考えることができます。
可動域でわかることは?
正常な最終域感は、軟部組織の衝突感(別々の筋肉同士が接近し重なり合う柔らかい停止感)、軟部組織の伸張感(関節包や靭帯の伸張によりバネが伸びるような柔らかい停止感)、骨と骨の衝突感(骨と骨の接触で、かたさを感じる停止感)の3種類があります。
軟部組織の伸張感では、筋肉、関節包・靭帯をそれぞれ感じ分けることが可能です。
肘関節伸展位でMP関節を伸展させたときの伸張感は「筋肉」、肘関節屈曲位でMP関節を伸展させたときの伸張感は「関節包・靭帯」のエンドフィールです。
このように、軟部組織の伸張感の中でも筋肉の問題なのか関節包・靭帯の問題なのか精査することもできますので、エンドフィールをしっかり感じることは重要です。
筋肉が原因だと考えられる場合は触診やMMTを、関節包・靭帯が原因だと考えられる場合は整形外科テストに進みましょう。
続きはまた次回お話ししていきます。
まとめ
ROM測定の基礎〜総論〜
1. ROM測定は角度を測るだけでなく、可動域制限の原因を考えることができる。
2. 自動運動で制限があれば関節運動を生む筋のコントロールや筋力のアンバランスの問題、自動運動と他動運動で制限があれば関節構成自体の問題であると考えられる。
3. エンドフィールには軟部組織の衝突感、軟部組織の伸張感、骨と骨の衝突感の3種類があるが、軟部組織の伸張感は更に筋肉と関節包・靭帯に感じ分けることができる。
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