こんにちは、療法士活性化委員会の大塚です。
本日も中心性脊髄損傷についてお話していきたいと思います。
前回の記事はこちら↓
中心性脊髄損傷のリハビリテーション:初学者のための実践的アプローチ〜概要〜
中心性脊髄損傷のリハビリテーション:初学者のための実践的アプローチ〜症状・疫学的な視点〜
中心性脊髄損傷の診断基準は?
日本脊髄損傷学会が2022年に発表した「脊髄損傷の診療ガイドライン2022年版」によると中心性脊髄損傷は、以下の3つの条件を満たす場合に診断されます。
1.脊髄損傷の症状として、上肢の運動障害と感覚障害が著しく、下肢の運動障害と感覚障害は比較的軽度であること。
2.脊髄損傷の原因として、交通事故や転倒などの外傷、スポーツ障害、手術などの後遺症などが挙げられること。
3.脊髄損傷の画像検査で、脊髄の中心部に損傷が認められていること。
診断は医師が行いますが、具体的には上下肢の運動機能・感覚機能の検査や脊髄損傷の原因、脊髄損傷の画像検査などから評価し、条件を満たす場合は中心性脊髄損傷と診断されます。
中心性脊髄損傷の予後予測は?
予後の要因として、患者の因子、損傷の因子、治療の因子があります。
患者の因子には、年齢、性別、損傷部位、損傷の程度、基礎疾患などがあります。
年齢は高齢ほど予後が不良となり、性別では女性よりも男性の方が予後は良好になります。損傷部位は上位になるほど予後不良に、損傷の程度は重いほど予後が不良になります。また、糖尿病や高血圧などの基礎疾患がある場合も予後が不良となります。
損傷の因子には、損傷の原因、損傷の機序、損傷の時期などがあります。
交通事故や転倒などの外傷による損傷よりも、スポーツ障害や手術などの後遺症による損傷の方が、予後は良好になります。損傷の機序は、直接的な外力よりも圧迫や牽引による損傷の方が予後は良好になります。また、前回の記事でもお話ししましたが、損傷後早期に適切な治療を受けることで、予後が良好になります。
治療の因子には、手術とリハビリテーションがあります。損傷部位の圧迫を解除するために手術を行うことで、予後が良好になります。リハビリテーションも早期から積極的に行うことで、予後が良好になります。
リハビリテーションは、障害されている部位の問題に対する介入もありますが、障害されていない部位の廃用予防も大切になってきます。
その他にも、回復を早める保護因子というものがあります。
心身の健康、安定した社会生活、支援の存在、利用可能な社会制度、適切な対処行動などがあります。これらの因子が関連し合うことで予後が決定していくので、一概に障害部位が少ないからといって予後が良いとは言い切れません。
中心性脊髄損傷の予後を改善するためには、初期の治療とリハビリテーションが重要であり、それにより神経学的回復の可能性を高めることができるとされています。機能的な部分では、およそ2年でプラトーとなるとされています。また、機能は下肢→排尿・排便障害→上肢機能の順で回復するとされています。
受傷後2年が経過すると、急性期・回復期だけでは対応しきれないので、その先の老健や訪問リハでの継続的なフォローが必要になってきます。そのときに経過を書いたサマリーを送るとその後の介入もスムーズになってきますので、ぜひそのようなところまで意識して臨床に臨みましょう。
まとめ
中心性脊髄損傷のリハビリテーション:初学者のための実践的アプローチ〜診断基準・予後予測〜
1. 中心性脊髄損傷は、上下肢の運動機能・感覚機能の検査や脊髄損傷の原因、脊髄損傷の画像検査などから評価され、医師により診断される。
2. 損傷の程度だけでなく、さまざまな因子が関連し合うことで予後が決定する。
3. 継続的なフォローを行うために経過を書いたサマリーがあるとその後の介入をスムーズに行うことができる。
>>>臨床で悩む療法士のためのオンラインコミュティ“リハコヤ”
療活では患者さん、利用者さんの目的を達成のサポートができる療法士が増えることで療法士自身も、患者さん利用者さんも笑顔になることを目的に活動しています。
あなたも当たり前のことができるようになり「ありがとう」と言われる療法士になりませんか?
記事の目次ページへ →
この記事が「おもしろい!」「為になった!」と思ってくださった方は、ぜひ「シェア」や「いいね!」をお願いします!!
今すぐ「いいね!」ボタンを押して「療法士のためのお役立ち情報」をチェック!
↓ ↓ ↓ ↓