こんにちは、理学療法士の赤羽です。
みなさんは腰痛について普段どのように考えているでしょうか。腰痛といえば椎間関節性や椎間板性、筋・筋膜性、仙腸関節性/急性腰痛や慢性腰痛/モーターコントロールの障害/特異的腰痛や非特異的腰痛等様々な分類や考え方があります。
こういった様々な考え方がある中で痛みについて考えたときにみなさんは神経を頭に思い浮かべるでしょうか。
筋や関節を考える方が多いと思います。筋や関節の機能障害によって疼痛を引き起こしていることもありますが疼痛を知覚するのは神経です。坐骨神経痛や明らかな感覚障害がある場合を除いて神経について考えることはあまりないと思います。
そこで今回は、腰痛に関わる神経について考えていきたいと思います。
腰痛の定義
腰痛診療ガイドライン2019改訂第2版では「体幹後面に存在し、第12肋骨と殿溝下端の間にある、少なくとも1日以上継続する痛み。片側、または両側の下肢に放散する痛みを伴う場合も伴わない場合もある。」とされています。
上記の定義から体幹後面の第12肋骨~殿溝下端までの範囲にある神経を考えてみます。
腰痛に関わる神経
今回は末梢神経を中心に話しをしていきます。
- 上殿皮神経
- 中殿皮神経
- 殿部の深部末梢神経(上殿神経、下殿神経、坐骨神経等仙骨神経叢)
- 脊髄神経後枝
などが関わっています。
各神経の詳しい内容は今後のコラムで記述していきますが、それぞれ簡単に解説していこうと思います。
上殿皮神経
T11~L5の後根神経の皮枝が腰背部を下外側へ走行し、腸骨稜近傍で胸腰筋膜を貫通して臀部へいたる感覚神経です。
上殿皮神経は腸骨稜近傍から上殿部を支配する神経のため、障害されることによって腰臀部痛が出現することがあります。
中殿皮神経
S1~S4由来。後仙腸靭帯に圧迫されやすいとされています。
圧迫等で中殿皮神経が障害されることによって殿部痛が出現することがあります。
殿部の深部末梢神経
上殿神経や下殿神経、坐骨神経等仙骨神経叢があります。
それぞれの神経に関わっている筋の機能障害やしびれや感覚低下・疼痛が出現することがあります。
脊髄神経後枝
背部の知覚と固有背筋を支配します。
脊髄神経後枝の内側枝で椎間関節を支配しています。
椎間関節や支配している筋の機能障害・疼痛が出現することがあります。
神経によって腰痛が引き起こされることがある
上記から腰痛に神経が関わっていることが分かると思います。
腰痛等痛みを訴える人を目の前にした時に筋や関節の状態、そこにかかる力学的ストレスを考える人は多いと思います。しかし、感覚や筋を支配しているのは神経です。そして、神経の走行も筋骨格系を貫いたり近くを走行しています。また、疼痛自体も侵害刺激が入って、その組織自体が疼痛を感じているのではなく、受容器から末梢神経を介して脳まで信号が到達し、脳が疼痛をアウトプットすることで、その部位が痛いと認識しています。
坐骨神経痛等が考えられる場合は神経について考えると思いますが、それ以外の疼痛についても神経が関わっているという視点を持って普段の臨床に取り組めると、患者さんが訴える症状改善の糸口につながる可能性があると思います。
まとめ
- 腰痛について考える際に筋骨格系のみならず神経の関りも考える
- 腰痛に関わる神経は上殿皮神経、中殿皮神経、臀部深部の末梢神経、脊髄神経後枝と様々な神経が関わっている。
- 神経が疼痛に関わっているという視点を持つ
神経についてもっと詳しく知りたい方は…
慢性疼痛に対して神経に着目した徒手アプローチ ~DNM(Dermo Neuro Modulating)~ | 療法士活性化委員会 (lts-seminar.jp)