こんにちは、理学療法士の内川です。
「回外筋って前腕深層にあるけど、触診できるの?」
「円回内筋や腕橈骨筋との関わりでどう評価すればいい?」
「橈骨神経麻痺やテニス肘の患者さんに関係ある?」
このように回外筋は名前は知られていても、臨床では深層にあるため触診や評価が難しく、他の前腕筋に隠れてしまいがちです。しかし、前腕の回外運動や肘・前腕の安定性に大きく関与する重要な筋であり、神経障害や前腕痛の臨床に直結するケースも少なくありません。
目次
- 回外筋の解剖と作用
- 回外筋の評価
- 機能低下と影響
- 回外筋のアプローチ
- 臨床ちょこっとメモ
- まとめ
- 参考文献
1.回外筋の解剖と作用

- 起始:上腕骨外側上顆、尺骨回外筋稜、外側側副靱帯、橈骨輪状靱帯
- 停止:橈骨近位1/3の外側面・前面
- 支配神経:橈骨神経深枝(後骨間神経, C5–C7)
- 作用:前腕の回外(特に肘伸展位で主動作)
補足:
- 肘屈曲位での回外は主に上腕二頭筋、肘伸展位では回外筋が担う。
- 橈骨を包み込むように付着し、橈骨運動の安定に寄与する。
2.回外筋の評価
触診


- 肘屈曲位にて上腕骨外側上顆のやや遠位を触知(橈骨頭の遠位)。
- 前腕の回外を行い収縮を確認。
MMT(徒手筋力テスト)
段階5〜2:



- 座位、肘90°屈曲位・前腕回内位から回外させる。
- 抵抗がなければ全可動域を動かせる。
判定基準:5:最大抵抗保持、4:中等度抵抗保持、3:抵抗なしで全可動域、2:抵抗なしで一部可動域。
段階1,0:

- 同じ肢位で検者が前腕支持。
- 回外筋触診し、収縮を確認。
判定基準:1:収縮のみ確認、0:収縮なし。
3.機能低下と影響
- 回外筋の緊張により橈骨神経深枝が絞扼され、後骨間神経麻痺を生じる可能性。
- overuseにより外側上顆炎(テニス肘)を引き起こすことがある。
4.回外筋のアプローチ
リリース
- 触診と同様に触知し、深呼吸とともに緊張を緩める。
5.臨床ちょこっとメモ
- 肘最大屈曲位で回外すると回外筋を優位に働かせられる。
- 橈骨神経後骨間枝の絞扼部位として臨床的に注目。
- 外側肘痛(テニス肘)は伸筋群だけでなく回外筋過緊張も関与。
6.まとめ
回外筋は深層にあるが臨床的意義は大きい
→ 外側肘痛・橈骨神経障害の評価に必須。触診・MMTは代償を見抜くことがポイント
→ 二頭筋との違いを意識することで精度UP。リリースと促通で臨床に直結するアプローチが可能
→ 症状改善だけでなく、セルフケア指導にも応用できる。
実際の臨床では周囲の筋や層構造を踏まえた立体的な理解が不可欠です。
「触診の精度を高めたい」「もっと解剖を立体的に理解したい」と感じた方はぜひ以下のセミナーも参考にしてください。