毎週木曜日は国家試験の問題と解説をしてきます!!
*あくまで療法士活性化委員会としての解説なので確実な正答を保証するものではありません。必ず自分で調べましょう!
問
75 歳の女性。左膝痛を訴え、関節可動域が伸展−10°、屈曲 95°に制限されている。来院時のエックス線写真(別冊No. 3)を別に示す。
膝関節拘縮に対する治療で正しいのはどれか。
- CPMを行う。
- 大腿を固定して伸張を加える。
- 疼痛を感じるレベルの矯正力を加える。
- 動的膝装具は用いない。
- 連続ギプス法では1日ごとに5°ずつ矯正位を強める。
解答
なし
解説
本症例では膝関節の変形が進み、裂隙の狭小化もみられる。骨構造に対しては介入は困難であるため、周囲の軟部組織の拘縮に対し予防ないし治療的介入が必要となる。ただし、現状で判断できるものがレントゲン写真のみであるため、軟部組織の状態を判断するにはその他の評価が必要となる。
- CPMを行う。
→術後1〜3日程度が適応時期。今回の症例には当てはまらない。 - 大腿を固定して伸張を加える。
→どの組織を伸張しているのかが明確でないので解答には選択できない。 - 疼痛を感じるレベルの矯正力を加える。
→痛み刺激は防御性収縮を助長するため、痛みのない範囲で行う必要がある。 - 動的膝装具は用いない。
→支柱付きのサポーターを利用することがしばしばある。 - 連続ギプス法では1日ごとに5°ずつ矯正位を強める。
→連続ギプス法は3日ごとに5~10°の矯正をする。
治療的加入を行うには情報が不足しているため、選択肢の中から回答を選ぶことはできません。よって解答はなしとなります。
これを臨床で活かすには?
関節拘縮に限らず、治療的介入を行うためにはどの組織に対してどういう目的で介入を行うのかを評価しましょう。例えば関節の可動域制限に対しては
- エックス線写真
- ROM(自動運動、他動運動)
- 関節の緩みの肢位での関節の遊び
- 反射の有無
- 筋緊張
- 組織の滑走性
などを評価し、ターゲットとなる組織を明確にした上で介入することで不必要な介入を減らし効果を最大限にすることができます。まず介入の前に評価をすることを意識しましょう。
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