こんにちは、療法士活性化委員会委員長の大塚です。めっきり寒くなってきましたね。でもたまに暑い日があったりすると体が追いつかない。基本的に人の体の体温調節は5℃までしか対応できなしそうです。
さて、前回頸椎は何かを見るために回旋の機能が必要でさらに安定性を保つために前後左右の筋肉で釣り合うように支えられていると言うことがわかりました。今回はその支えられている筋肉が数多く付着している胸椎の動きについて考えていきたいと思います。
胸椎の役割って?
胸椎(TH1〜TH12)の特徴
胸椎の主な特徴は肋骨と関節面を持ち、胸椎と肋骨、胸骨で胸郭を形成しています。椎間関節の関節面の形状をみると屈曲伸展よりも回旋方法の可動性が大きくなります。ただし1本の肋骨が下位の上関節突起、上位の下関節突起に付着するため、そもそもあまり大きな可動域は出せないと考えられます。さらに回線するさもカップリングモーションで左右の椎間関節が捻れるような動きが必要になってきます。
理由は胸椎の大きな可動性を持ってしまうと胸郭の中にある肺が損傷し、呼吸ができなくなるからと考えられます。
胸椎の生理的前弯はTH7〜TH8あたりとされており、ここは解剖学的に肩甲骨の下角の位置と一致しています。なので胸椎は生理的前弯の上部の胸郭が前方に傾いている部分で肩甲骨を支えています。
さらに頸部を支えている筋肉は多くが胸椎、肋骨、肩甲骨に付着しています。なので頸部の安定性を支える土台としての役割があります。
頸椎と頭部の土台となる
頭部は僧帽筋、胸鎖乳突筋、斜角筋、肩甲挙筋、頭半棘筋などが前後左右でそれぞれ引っ張りあい、バランスを取るように支えられています。
例えば円背傾向になると、後方を支えている筋肉の張力が弱まり、頸部は前方へ突出した姿勢になります。そのままでは頭部は屈曲してしまうので後方の筋(僧帽筋や肩甲挙筋)が収縮し、頭部を支えるようになります。
さらに円背傾向になると胸郭も潰れてくるため、横隔膜だけでは呼吸か困難になり、胸郭を引き上げるために呼吸補助筋である胸鎖乳突筋、斜角筋の収縮が必要になってきます。結果呼吸機能にも影響してきます。
上肢の運動の土台にもなる
カパンディ関節の生理学によると肩関節の屈曲の3層では
- 0°〜60° 肩甲上腕関節
- 60°〜120° 肩甲上腕関節と肩甲骨
- 120°〜180° 脊柱の伸展
が必要になってきます。つまり肩関節の最終層は脊柱の可動性が必要になります。
自律神経の中枢
交感神経は脊髄の胸および腰の部分(胸髄・腰髄)から発し、副交感神経は中脳・橋(きょう)・延髄の脳神経核から発する迷走神経と、脊髄の最下部、すなわち仙髄から発する骨盤神経からなります。胸椎の可動性が低下することにより、交感神経系にも影響を及ぼし、活動性の低下や内臓機能にも関わってきます。
具体的な胸椎に対するアプローチ方法は?
胸椎のモビライゼーション
ブリッジ動作
ブリッジ動作は運動発達において矢状面の安定化を図るにの非常に重要になってきます。発達段階では5ヶ月目ぐらいからこの動きが見られ、随意的に行えるようになることで6ヶ月目ごろから坐位が取れるようになってきます。
ポイント
- ゆっくり脊柱を分節的に動かしながら殿部を挙上していく
- 脊柱起立筋が過剰に収縮しないように注意
- 肋骨を上げすぎて胸腰移行部の過剰な進展が起きないようにする
まとめ
胸椎は
- 頭頸部と上肢を支える土台である
- 呼吸にかなり影響する
- 交感神経の活動にも関わってくる
と考えられます。
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参考資料
- 脳と運動 第2版 ―アクションを実行させる脳― (ブレインサイエンス・シリーズ 17)
- カラー版カパンジー機能解剖学 全3巻原著第6版I上肢 II下肢 III脊椎・体幹・頭部
- 基礎運動学 第6版
- 自律神経による生体制御とその利用 永井克也 化学と生物 Vol. 51, No. 3, 2013
療活では患者さん、利用者さんの目的を達成のサポートができる療法士が増えることで療法士自身も、患者さん利用者さんも笑顔になることを目的に活動しています。
脊柱の機能シリーズ
体幹について勉強してみる〜脊柱の機能解剖〜
脊柱の機能ついて勉強してみる〜頸椎編〜
脊柱の機能ついて勉強してみる〜腰椎編〜
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