リハビリに必要な物理学について〜摩擦〜

リハビリに必要な物理学について〜摩擦〜

こんにちは、療法士活性化委員会の大塚です。

理学療法士大塚久

 

本日も前回に引き続き、物理についてお話ししていきたいと思います。

 

前回の記事はこちら↓

リハビリに必要な物理学について〜力とは?〜

リハビリに必要な物理学について〜圧力と応力〜

リハビリに必要な物理学について〜エネルギーと仕事〜

リハビリに必要な物理学について〜例えば〜

リハビリに必要な物理学について〜重力〜

 

 

摩擦とは?

 

摩擦というと、

・手を擦ったときに温かくなる「摩擦熱」

・仙骨座りで椅子に座っていると前方に滑っていってしまうので、摩擦を高めて滑りにくくする

などがイメージできると思います。基本的に摩擦とは、滑りにくさや滑りやすさのことです。摩擦があるから歩いたり物を持ったりすることができます。

 

例えば、地面と足の裏の間の摩擦がゼロだった場合、前に進もうと思ってもその場でツルツル滑ってしまって進むことができません。なので、摩擦は必要なものです。

 

物体に対する垂直成分の抗力を垂直抗力と言います。それと同じように、物体に対する水平成分の抗力を摩擦力と呼んでいます。

 

 

摩擦の種類について

 

摩擦には静止摩擦力、最大静止摩擦力、動摩擦力と大きく分けて3つあります。

 

静止摩擦力(μ)は、まだ動いていない物体を動かそうとしたときに、その物体が動き出すのを妨げるようにはたらく摩擦力のことです。

 

最大静止摩擦力は、ある物体を動かそうとしたときにはたらく摩擦力のうち、動きだす寸前のところで最大となる摩擦力のことです。これは重さに比例しますので、重ければ重いほど最初の動き出しが大変ということになります。

 

動摩擦力は、物体が動き出した時に反対方向にはたらく摩擦力のことです。物体が動き出したら摩擦がゼロになるわけではありません。動き出しても床面と物体の間には摩擦は働いています。それが動摩擦力です。この動摩擦力は、速さによらずほぼ一定です。

 

 

摩擦係数とは?

 

摩擦力(N)=摩擦係数(μ)×垂直抗力(N)

 

垂直抗力(質量)にその物体の滑りやすさ・滑りにくさ(摩擦係数)をかけたものが摩擦力です。

 

関節軟骨の摩擦係数はほぼゼロに近い状態と言われています。この軟骨がすり減って骨になると摩擦係数がぐんと上がりますので、関節を動かすときにゴリゴリと礫音が鳴り正常な運動が出せなくなります。なので、軟骨にかかる負担を減らすために、一点に圧が集中するよりも均等に圧が加わる状態にしてあげるのが望ましいです。これは圧力と応力のところでお話しした内容にも繋がってきます。

 

歩行では摩擦がなくなればなくなるほど動き辛くなります。ということは、靴の底が滑りやすいものだと歩き辛いということです。例えば高齢の方で、靴下を何重にも履いていて一番外側に毛糸の靴下を履いているとします。そうすると靴下がツルツル滑り地面との摩擦がなくなってしまうので歩き辛くなります。さらに何枚も靴下を重ねていることで足底に感覚が入らず歩き辛さが増します。そうすると、慎重に歩くために膝が伸ばせず変形性膝関節症の特徴に似た歩き方になってしまうので、摩擦というのも意識して臨床でみていくといいと思います。

 

 

 

まとめ

 

リハビリに必要な物理学について〜摩擦〜

1. 摩擦には大きく分けて静止摩擦力、最大静止摩擦力、動摩擦力の3つがある。

2. 最大静止摩擦力は重さに比例し、動摩擦力は速さによらず一定である。

3. 摩擦係数は滑りにくさを数値化したもので、物によって数値は異なる。滑り止めマットのようなものは摩擦係数が大きく、ビニール袋のようにツルツルしたものは摩擦係数が小さい。

 

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