上腕骨近位端骨折のリハビリテーションについて〜リハビリの目的〜

上腕骨近位端骨折のリハビリテーションについて〜リハビリの目的〜

こんにちは、療法士活性化委員会の大塚です。

理学療法士大塚久

 

本日は学生さんから受けた質問についてお話ししていきたいと思います。

 

学生さんの質問は以下のようなものでした。

「上腕骨近位端骨折の評価の際に、体幹機能を評価するのはなぜでしょうか?」

みなさんならどう考えますか?

 

 

上腕骨近位端骨折の評価とは?

 

みなさん、そもそもリハビリで「上腕骨近位端骨折」の評価はしますか?

上腕骨近位端骨折かどうかを評価して、それに対して治療をするのは医師の仕事です。

リハビリで行うのは治療ではありません。リハビリの過程で骨折が早く治るような支援はしていきますが、それ自体の治療を行うことはありません。

リハビリでは何を目的に評価するか?がポイントです。

 

 

リハビリテーションの目的とは?

 

理学療法士法に基づくリハビリテーションの目的は、「身体に障害を持つ人々に対して理学療法(物理療法)を施し、彼らの身体機能の改善や回復を図ることにあります。理学療法士は運動療法や電気療法など、科学的根拠に基づく様々な治療技術を用いて、患者の自立した日常生活や社会生活を支援することを目指します。」とあります。

 

作業療法士法に基づくリハビリテーションの目的は、「心身に障害を持つ人々に対して作業活動を通じて治療を行い、彼らが日常生活や社会生活に適応し、より良い生活を送れるようにすることです。作業療法士は、日常生活動作(ADL)の訓練、趣味や仕事に関する活動の支援、社会参加の促進などを通じて、患者の生活の質(QOL)の向上を図ります。」とあります。

 

これらをみると、リハビリの目的は疾病の治療であるとは書かれていないことがわかります。我々セラピストは、日常生活の動作に着目して支援することが役割です。

 

なので、リハビリで何を目的に評価するか?という問いに対する答えは、日常生活の動作を評価することです。

この評価は大きく二つに分けると、動きの評価と動きに必要な要素の評価です。

 

動きの評価は、その動作ができているかできていないかです。できている場合は、どのように行なっているかという質の評価です。

動きに必要な要素の評価とは、心身機能、身体機能、活動、参加、個人因子、環境因子などです。この要素の評価の中に、「上腕骨の動き」があります。肩関節のROM制限があった場合に、その原因の一つとして、上腕骨近位端骨折があるかもしれないということです。

 

 

リハビリで行う評価は、上腕骨近位端骨折であるかどうかの評価ではなく、動作に必要な要素を阻害しているものとして上腕骨近位端骨折の状態があるので、その状態を評価していくというものです。

例えば、痛みの評価、可動域の評価、筋力、骨折の程度・治癒過程、皮膚の状態、炎症の有無、反射・感覚などを評価します。

 

 

上腕骨近位端骨折が治っても腕が上がらない場合は?

 

骨折が改善して上腕骨近位端骨折の問題点がなくなっても、腕が上がらないという症例は多々あります。その場合は、次に「腕を上げる」という動作の評価が必要になります。

 

この腕を上げる動作を肩関節屈曲の動きとします。肩関節屈曲の動きには肩甲上腕関節はもちろん、肩甲胸郭関節や脊柱の伸展の動きも必要になってきます。

つまり、「腕を上げる」という動作の要素には「脊柱の伸展」という体幹の機能が必要になります。

 

上腕骨近位端骨折の評価で体幹機能を評価するのはなぜ?という質問に対する答えは、上腕骨近位端骨折の評価ではなく腕を上げるという動作の要素に脊柱の伸展という体幹機能が必要になるから、です。

 

 

最終的なリハビリの目的は、困っている動作を改善することなので、腕が上がるようになって日常生活動作がどのように変わるかの評価が必要になります。

この日常生活の動作から評価しなければ、どの部分にどれくらいの可動域が必要なのかがわからないので、必ず日常生活動作をみてから基本動作、要素の評価をして介入を行い、再評価する流れが大切であることを忘れないようにしましょう。

 

日常生活の動作は座位か立位でおこなうものがほとんどです。その評価する動作が座位のものであれば骨盤・股関節、立位のものであれば骨盤・股関節・膝・足部といった土台になる部位の評価も必要になります。

 

 

 

まとめ

 

上腕骨近位端骨折のリハビリテーションについて〜リハビリの目的〜

1. リハビリの目的は動作を変化させることである。

2. リハビリの評価には大きく分けて動きの評価と動きに必要な要素の評価がある。

3. 困っている動作を改善するためには、骨折した部位だけでなく、全身を診ていく必要がある。

 

 

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