毎週月曜日は一年前にリハコヤでライブ配信されたものの一部を文章でお届けします。
今回は変形性膝関節症の方への負担の少ない歩き方についてお伝えします。
変形性膝関節症に関する以前の記事はこちら↓
回転モーメントと関節モーメントとは?
回転モーメントとは、重力により物体が倒れる(傾く)際、回転軸(関節)を回転させるために要する力のことです。
関節モーメントとは、筋力により関節(回転軸)を回転させようとする力のことで、回転モーメントに打ち勝つ力のことです。
例えば、歩行時に膝関節軽度屈曲位で接地した場合、重心線は膝関節のやや後方を通ります。すると、膝関節が更に屈曲する方向へ回転モーメントが加わります。
そして、同時に膝関節が屈曲していかないように関節モーメントが働くことで、膝関節はほとんど屈曲せずにその角度を保つことができます。
回転モーメントがかかればかかるほど、関節モーメントは力を発揮します。つまり、膝関節への負担はどんどん増してしまうということです。
膝関節に負担をかけない歩き方とは?
では、膝関節に負担をかけないようにするにはどうすれば良いのでしょうか?
答えは、膝関節がまっすぐに伸びた状態で接地することです。
重心線が下肢の長軸方向にあるようにすれば、回転モーメントも関節モーメントもかかりません。
これを臨床で指導するにはどうすれば良いでしょうか?
足を大きく前に振り出そうとすると回転モーメントと関節モーメントがかかってしまいます。
腰の下に足をつくように指導してみましょう。そうすると、膝関節はある程度まっすぐの状態になるので、回転モーメントと関節モーメントはほぼない状態となります。
このように歩き方を指導することで、変形性膝関節症の方でも、膝関節への負担を少なく歩くことができます。
足を大きく踏み出さなければ早く歩けないのでは、と思う方もいると思います。
しかし、歩行時の推進力を作り出すのは立脚相後期のハムストリングスと大殿筋です。つまり、後ろ側になる下肢の股関節伸展と足関節背屈がしっかり出ていれば前に進むことができます。
ポイントは、股関節の伸展角度、足関節の背屈角度、ハムストリングスの筋力、腰の下あたりに足をつくように指導することです。
まとめ
負担の少ない歩き方について
1. 回転モーメントとは、重力により物体が倒れる(傾く)際、回転軸(関節)を回転させるために要する力のこと。関節モーメントとは、筋力により関節(回転軸)を回転させようとする力のこと。
2. 回転モーメントがかかればかかるほど関節モーメントは力を発揮してしまうため、膝関節が屈曲した状態で足を接地することは、膝関節への負担を増大させてしまう。
3. 変形性膝関節症の方への歩行の指導の仕方は、足を大きく踏み出すのではなく、腰の下に足をつくようにする。
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