その腰痛・肩こり、原因は「入れ歯」かも?合わない入れ歯が引き起こす姿勢の崩れと転倒リスク

その腰痛・肩こり、原因は「入れ歯」かも?合わない入れ歯が引き起こす姿勢の崩れと転倒リスク

みなさんこんにちは。作業療法士の仲田です。 「入れ歯が合わないけど、食事は摂れているから大丈夫」と思っていませんか?実は、入れ歯の不適合は食事だけでなく、全身の姿勢や歩行にまで深刻な影響を与える可能性があります。今回は、入れ歯不適合と姿勢への影響について、作業療法士の視点から詳しく解説していきます。

実際にZoomのナイトセミナー「OTしゃべり場」というADLなどを話し合う場で出てきた入れ歯不適合と姿勢への影響に関する会話を一部お伝えしていきます。

病院でよく見かける入れ歯の問題

受講生

先生!入れ歯について質問です!

仲田

はい、どうぞ!

受講生

病院で働いていて思うのが、入れ歯が合っていない人多くないですか?

仲田

長期入院で痩せてきますからね、入れ歯が合わなくなってきますよね。

受講生

これって大丈夫なんですか?

仲田

ダメですね、本当は作り直した方が良いです。

受講生

ですよね!ただ、何で直した方が良いか説明しにくいんですよね。

入れ歯の不適合が引き起こす姿勢の連鎖反応

受講生

入れ歯がグラグラで食べにくそうだけど、食事は摂れているじゃないですか。何か弱いんですよね。他には何か影響がありますか?

仲田

入れ歯が合わないとどうなるか、かみ合わせの高さが低下して、下顎が後退しやすくなるんですよ。そうなると頭部が前方へ移動し、頸部・肩・背部の緊張が高まり、猫背やストレートネックにつながります。

受講生

そうなんですね!確かに担当の患者さんは猫背でした。

入れ歯不適合による姿勢変化のメカニズム

1. かみ合わせの高さ低下

  • 入れ歯の摩耗や不適合により咬合高径が低下
  • 下顎が後方へ偏位

2. 頭部位置の変化

  • 下顎後退により頭部が前方へシフト
  • 頸椎の前弯が減少(ストレートネック)

3. 全身への波及

  • 頸部・肩・背部の筋緊張増加
  • 胸椎後弯増強(猫背)
  • 重心位置の前方化

片側噛みが引き起こす体の左右差

仲田

また、義歯が片側浮いている、ズレるだと、片側噛みが習慣化になり体幹・骨盤の左右差が増加します。咀嚼筋や舌骨上筋群の活動が不均衡になることで、頭部や頸部の姿勢に影響していきます。

受講生

怖いですね。

⚠️ 片側噛みによる全身への影響

  • 顎関節への影響:片側の顎関節に過度な負担がかかり、顎関節症のリスク増加
  • 筋肉の左右差:咀嚼筋、頸部筋、肩甲帯筋の左右不均衡
  • 体幹の歪み:頭部の傾きが体幹・骨盤の回旋や傾斜を誘発
  • 歩行への影響:左右の重心移動が不均等になり、歩行パターンの乱れ

入れ歯と転倒リスクの意外な関係

仲田

そして、ちゃんとした義歯を装着すると姿勢動揺(立位時のフラつき)が減少するような結果もどこかで記載されていましたよ。

受講生

ということは?

仲田

想像通り歩容にも関わってきます。

受講生

食事、姿勢、歩容…。これで入れ歯の大切さの説明ができます!

作業療法士としての評価ポイント

仲田

OTとして、ADL評価時に、入れ歯の装着の有無で立ち上がり・歩行・食事動作を観察して、PT、STに報告・共有してあげると良いです。

受講生

そうですね。

仲田

同じセラピストでも入れ歯が原因で姿勢や歩行にも影響を及ぼすのを知っている人はどれくらいいるかわかりませんから。

受講生

私も知りませんでした。

仲田

今知ったから良いではありませんか。まぁ、義歯だけが原因ではないと思うので、しっかりと評価してくださいね。

入れ歯不適合のチェックポイント

  • 食事中に入れ歯がガタつく、浮く
  • 片側だけで噛む癖がある
  • 食べ物が入れ歯の下に入り込む
  • 会話時に入れ歯がカチカチ音がする
  • 口の周りの筋肉に左右差がある
  • 頭部が前方に突出している
  • 肩の高さに左右差がある
  • 立位時のバランスが不安定

💡 臨床での実践ポイント:入れ歯の評価は単独で行うのではなく、姿勢・歩行・ADL評価と組み合わせて総合的に判断することが重要です。必要に応じて歯科との連携も検討しましょう。

まとめ

  1. かみ合わせが崩れると頭部や背部の姿勢も崩れる
    入れ歯の不適合は顎位の変化を引き起こし、全身の姿勢に連鎖的な影響を与えます。
  2. 咀嚼バランスが悪くなると体のバランスも崩れる
    片側噛みの習慣化は、筋活動の左右差を生み、体幹や骨盤の歪みにつながります。
  3. 入れ歯調整は姿勢や転倒防止にもつながる
    適切な入れ歯の使用は、バランス能力の向上と転倒リスクの軽減に貢献します。

いかがだったでしょうか。入れ歯の問題は口腔内だけでなく、全身に影響を与える重要な要素です。視野が広がり少しでも役に立てたのなら幸いです。

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