みなさんこんにちは。作業療法士の仲田です。 「入れ歯が合わないけど、食事は摂れているから大丈夫」と思っていませんか?実は、入れ歯の不適合は食事だけでなく、全身の姿勢や歩行にまで深刻な影響を与える可能性があります。今回は、入れ歯不適合と姿勢への影響について、作業療法士の視点から詳しく解説していきます。
実際にZoomのナイトセミナー「OTしゃべり場」というADLなどを話し合う場で出てきた入れ歯不適合と姿勢への影響に関する会話を一部お伝えしていきます。
病院でよく見かける入れ歯の問題
入れ歯の不適合が引き起こす姿勢の連鎖反応
入れ歯不適合による姿勢変化のメカニズム
1. かみ合わせの高さ低下
- 入れ歯の摩耗や不適合により咬合高径が低下
- 下顎が後方へ偏位
2. 頭部位置の変化
- 下顎後退により頭部が前方へシフト
- 頸椎の前弯が減少(ストレートネック)
3. 全身への波及
- 頸部・肩・背部の筋緊張増加
- 胸椎後弯増強(猫背)
- 重心位置の前方化
片側噛みが引き起こす体の左右差
⚠️ 片側噛みによる全身への影響
- 顎関節への影響:片側の顎関節に過度な負担がかかり、顎関節症のリスク増加
- 筋肉の左右差:咀嚼筋、頸部筋、肩甲帯筋の左右不均衡
- 体幹の歪み:頭部の傾きが体幹・骨盤の回旋や傾斜を誘発
- 歩行への影響:左右の重心移動が不均等になり、歩行パターンの乱れ
入れ歯と転倒リスクの意外な関係
作業療法士としての評価ポイント
入れ歯不適合のチェックポイント
- 食事中に入れ歯がガタつく、浮く
- 片側だけで噛む癖がある
- 食べ物が入れ歯の下に入り込む
- 会話時に入れ歯がカチカチ音がする
- 口の周りの筋肉に左右差がある
- 頭部が前方に突出している
- 肩の高さに左右差がある
- 立位時のバランスが不安定
💡 臨床での実践ポイント:入れ歯の評価は単独で行うのではなく、姿勢・歩行・ADL評価と組み合わせて総合的に判断することが重要です。必要に応じて歯科との連携も検討しましょう。
まとめ
- かみ合わせが崩れると頭部や背部の姿勢も崩れる
入れ歯の不適合は顎位の変化を引き起こし、全身の姿勢に連鎖的な影響を与えます。 - 咀嚼バランスが悪くなると体のバランスも崩れる
片側噛みの習慣化は、筋活動の左右差を生み、体幹や骨盤の歪みにつながります。 - 入れ歯調整は姿勢や転倒防止にもつながる
適切な入れ歯の使用は、バランス能力の向上と転倒リスクの軽減に貢献します。
いかがだったでしょうか。入れ歯の問題は口腔内だけでなく、全身に影響を与える重要な要素です。視野が広がり少しでも役に立てたのなら幸いです。