なぜ病院は現金のみ? と聞かれた時の模範解答|キャッシュレス非対応の3つの理由を徹底解説

なぜ病院は現金のみ? と聞かれた時の模範解答|キャッシュレス非対応の3つの理由を徹底解説

「先生、なんでこの病院は現金しか使えないんですか?」…リハビリの合間や会計の際に、患者さんからふと投げかけられるこの素朴な質問。あなたなら、どう答えますか?
今回は、「病院の支払いが現金のみ」である理由について、私たち医療従事者が知っておくべき背景を、現場の会話から分かりやすく解説します。

実際にZoomのナイトセミナー「OTしゃべり場」という話し合う場で出てきた会話を一部お伝えしていきます。

受講生セラピスト

先生!患者さんから「なんでこの病院は現金払いだけなの?」って聞かれたんですけど、上手く答えられなくて…。

仲田先生

あるあるだね!「古い考えだからですか?」なんて思ってない?笑

受講生セラピスト

ドキッ…!でも、正直なところ理由が全然思いつかなくて。

仲田先生

大丈夫。これには医療機関ならではの、ちゃんとした理由が3つあるんだ。一緒に見ていこう!

理由1:経営を圧迫する「決済手数料」の壁

仲田先生

まず一番大きな理由が、キャッシュレス決済の「手数料」なんだ。クレジットカードや電子マネーを導入すると、病院側に決済額の数%の手数料がかかるんだよ。

受講生セラピスト

飲食店とかと同じですよね?でも、それがそんなに大きな問題なんですか?

仲田先生

良い質問だね。ポイントは、病院の収入源である「診療報酬」は国が定めた公定価格だということ。つまり、手数料分を価格に上乗せできない。手数料(だいたい3~5%)は、病院が丸々負担することになるんだ。

決済手数料の影響はどれくらい? 仮に月間1,000万円の売上がある診療所で、すべてが手数料3.5%のキャッシュレス決済になった場合…
毎月35万円、年間で420万円もの利益が失われます。これは小規模なクリニックにとっては死活問題になりかねません。

理由2:医療費特有の「計算の複雑さ」

仲田先生

次に、医療費の計算が複雑なこと。例えば、診察後に「やっぱり追加でこの検査もしましょう」となった場合、カード決済後だと金額変更や返金処理がとても煩雑になるんだ。

受講生セラピスト

あー、確かに…。会計が混乱しそうですね。

仲田先生

その通り。金額が最終的に確定してから、現金でやり取りする方が会計ミスやトラブルが少ない、と判断する病院は多いんだよ。

理由3:止められない医療と「システム障害リスク」

仲田先生

最後の理由は、システム障害や災害時のリスク対策。医療は24時間365日、絶対に止められないよね。

受講生セラピスト

はい。停電とかが起きても、自家発電で医療は続きますし。

仲田先生

キャッシュレス決済は、通信障害や停電が起きると使えなくなる可能性がある。どんな状況でも確実に決済できる手段として、最も信頼性が高い「現金」をあえて採用しているんだ。

受講生セラピスト

なるほど…!単に古いだけじゃなくて、合理的な理由があったんですね。これなら患者さんにしっかり説明できそうです!

まとめ:病院が「現金払い」を選ぶ理由

  • 手数料の負担:診療報酬が固定のため、3~5%の手数料がそのまま経営の負担となる。
  • 会計の複雑さ:追加検査などで金額変動が多く、決済後の処理が煩雑になるのを避けるため。
  • 安定性の確保:通信障害や災害時でも確実に決済できる、最も信頼性の高い手段だから。

この記事のポイント

  1. 手数料が経営を圧迫する
    価格に転嫁できない決済手数料(3~5%)は、特に小規模医療機関にとって大きな負担となる。
  2. 医療費の変動がトラブルの元に
    診察後の追加検査などによる金額変更が多く、現金の方が会計ミスを防ぎやすい。
  3. 「止められない」医療インフラを守るため
    災害やシステム障害時でも確実に機能する「現金」は、医療の安定供給を支えるための合理的な選択肢である。

今日のテーマのような「患者さんとの円滑なコミュニケーション」について、もっと深く学びませんか?

療法士活性化委員会では、臨床現場の「なぜ?」「どうすれば?」を解決する実践的なセミナーを開催しています。

オンライン講座「OTのしゃべり場」で仲間と学ぶ ADL訓練の実践セミナーでスキルアップする

多くの受講生が選ぶ療活一番人気のセミナー 6日で学ぶ評価・アプローチのための触診セミナー”信頼される療法士”の土台を作る

受付中講習会一覧