リスフラン関節(足根中足関節)の解剖と臨床|前足部への動力伝達を理解する

リスフラン関節(足根中足関節)の解剖と臨床|前足部への動力伝達を理解する

こんにちは、理学療法士の内川です。

「足部のアーチ低下=扁平足だけで考えていませんか?」
「なぜ外反母趾の患者さんは母趾球でうまく蹴り出せないのでしょうか?」
「足部の”最後のレバー”はどこで作られているのでしょうか?」

スタッフと話していると、リスフラン関節は「名前は知っているけれど、臨床でどう見ればいいか分からない」という声をよく聞きます。

しかし臨床では、外反母趾、開張足、足底腱膜炎、モートン病、リスフラン損傷などとの関連が考えられる重要な関節です。

ショパール関節が「足部の硬さを切り替える関節」だとすると、リスフラン関節は「その硬さを前足部へ伝える動力伝達装置」と言えます。

【この記事の結論・要点まとめ】
  • リスフラン関節は中足部と前足部をつなぐ境界で、第2中足骨が楔状骨間に深くはまり込む「要石」構造が足部安定性の鍵となる
  • 各列は可動性と安定性を役割分担しており、立脚後期の母趾球荷重・push offに直結する
  • 後脛骨筋・長腓骨筋・足底内在筋の協調が崩れると、外反母趾・開張足・歩行推進力の低下につながる可能性がある

今回は、リスフラン関節の

  • 解剖
  • 運動学
  • 歩行との関係
  • 臨床での着目点

を整理していきましょう。

リスフラン関節の解剖図 足根中足関節の骨構造 足部アーチと関節の関係

1.リスフラン関節の構造

● リスフラン関節とは

リスフラン関節(足根中足関節)は、

  • 3つの楔状骨
  • 立方骨
  • 第1〜5中足骨

で構成される関節です。
ショパール関節が「後足部と中足部」をつなぐのに対し、リスフラン関節は「中足部と前足部をつなぐ境界」となっています。

● 第2中足骨は”要石”

最大の特徴は、第2中足骨が楔状骨の間に深くはまり込んでいることです。
この構造によって、足部は高い安定性を獲得しています。

● リスフラン靱帯

内側楔状骨から第2中足骨底を結ぶ靱帯複合体(一般に「リスフラン靱帯」と呼ばれる複数の靱帯からなる安定化構造)は非常に重要です。
この靱帯複合体が損傷すると、足部アーチの安定性が大きく低下する可能性があります。

2.運動学

● 「動かない列」と「動く列」

リスフラン関節では、それぞれ役割を持っており

第1列(第1中足骨と内側楔状骨)

  • 比較的可動性が大きい
  • 荷重調整
  • 内側縦アーチと横アーチの形成

第2・3・4列(第2・3・4中足骨と中間・外側楔状骨、立方骨)

  • 安定性重視
  • 可動性が少ない(特に第2列が最も安定)
  • 横アーチの形成

第5列(第5中足骨と立方骨)

  • 地面適応
  • 衝撃吸収
  • 外側縦アーチと横アーチの形成

という傾向がある、という役割分担として理解するとよいでしょう。

💡 臨床ちょこっとメモ
第1列は「比較的可動性が大きい列」、第2列は「最も安定した列」と覚えておくと、評価時の基準になります。

● Push offとの関係

立脚後期では、ショパール関節で作られた剛性が、リスフラン関節を通じて前足部へ伝わるため、

  • 母趾球荷重
  • push off
  • 推進力形成

が可能になります。

3.筋機能との関係

ショパール関節と同様に筋肉としては以下の筋肉の協調が欠かせません。

● 後脛骨筋

  • 役割:中足部の支持、回外補助、内側縦アーチの保持に重要
  • 機能低下時:内側縦アーチの低下やリスフラン関節の安定性低下につながる可能性がある

● 長腓骨筋

  • 役割:横アーチの支持、第1列(内側楔状骨・第1中足骨)の安定化、母趾球荷重の形成に関与
  • 機能低下時:立脚後期の足底の横アーチが崩れ、推進力を前方へ通しにくくなる可能性がある

● 足底内在筋

  • 役割:中足部の局所的な安定化、アーチ支持、荷重制御に重要
  • 機能低下時:横アーチの低下につながる可能性がある

4.機能不全と代償連鎖

● よくある問題

  • リスフラン関節のアライメント異常や過可動性があると、アーチの低下や足部内在筋の出力低下が生じやすくなる可能性がある

5.臨床ちょこっとメモ

💡 臨床ちょこっとメモ
  • 第1列の過可動性を確認する
  • 足部の筋機能低下によりリスフラン関節のみでなく、ショパール関節にも関連した影響が生じる可能性がある
  • リスフラン関節が安定していることで、足部全体の剛性・アーチ支持に寄与し、Windlass機構が働きやすい環境が整うと考えられる

6.まとめ

① 解剖・特徴

  • リスフラン関節(足根中足関節)は楔状骨・立方骨と第1〜5中足骨で構成
  • 中足部と前足部をつなぐ重要な関節
  • 第2中足骨が楔状骨間にはまり込む「要石(キーストーン)」構造を持つ
  • 内側楔状骨—第2中足骨間の靱帯複合体(リスフラン靱帯)が横アーチ・足部安定性の維持に重要

② 評価とアプローチ

  • 第1列(第1中足骨-内側楔状骨)の安定性・過可動性を評価する
  • 後脛骨筋:内側縦アーチ支持・中足部安定化
  • 長腓骨筋:第1列安定化・母趾球荷重形成・横アーチ支持
  • 足底内在筋:横アーチ形成・局所安定化
  • ショパール関節と合わせて機能を評価することが重要

③ 機能低下の影響と臨床的注意点

  • 第1列不安定 → 外反母趾・母趾球への過剰負荷の一因となり得る
  • 横アーチ低下 → 胼胝・モートン病・足底痛との関連が考えられる
  • 前足部固定不全 → push off低下・歩行速度低下の可能性がある
  • アーチ低下 → 足底腱膜炎のリスク因子の一つとして考えられる
  • リスフラン関節の安定性低下は、足部剛性・アーチ支持に影響し、Windlass機構やショパール関節機能にも関連する可能性がある

関節の理解と共に筋肉がどうついているのか、どう動いているのか一緒に勉強しませんか?
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7.参考文献

  • 基礎運動学 第6版補訂
  • 足部・足関節理学療法マネジメント
  • 病気が見える 運動器・整形外科
  • プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論運動器系 第3版

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