加齢性難聴とADLの関係をOTが解説|安全面・コミュニケーション・環境調整のポイント
- 加齢性難聴は「高い音」から聞こえにくくなり、アラームや電子音など日常の安全に直結する音が聞き取りにくくなる
- OTは補聴器の装着・電池交換(巧緻動作)の確認や、テレビ音量・聞き返しの頻度など生活場面での観察が重要な役割
- 支援の鍵は大声で話すことではなく、「正面から話す・雑音を減らす・光や振動で代替する」環境調整にある
みなさんこんにちは。作業療法士の仲田です。今回は、「聴覚編」についてお伝えできればと思います。実際にZoomのナイトセミナーで「OTしゃべり場」というADLなどを話し合う場で出てきた五感(聴覚編)についてを一部お伝えしていきます。
OTが聴覚を考えるとき――ADL・IADLへの影響という視点

さくら
先生、今回は『聴覚』を教えて下さい!聴力の評価って耳鼻科の先生やST(言語聴覚士)さんのイメージが強いんですが、私たちOTはADLとどう結びつけて考えればいいですか?

仲田
とても良い視点ですね。たしかに詳細な聴力検査は専門の先生が行いますが、OTとしては『その聴力の低下が、実際の生活(ADL・IADL)にどう影響しているか』を評価・支援することが重要になります。

さくら
なるほど。具体的にはどんな障害像や困りごとがありますか?

仲田
大きく分けると『安全面』と『コミュニケーション面』の2つで困ることが多いです。まず安全面ですが、どんな危険が予測できると思いますか?

さくら
ええと…。外出時に、後ろから来る自転車や車の音に気づかないとかですか?

仲田
大正解です!交通リスクですね。屋内でも、お湯が沸騰したピーッという音、火災報知器のアラーム、電子レンジの終了音などに気づきにくくなります。加齢による難聴(老人性難聴)は、特に『高い音』から聞こえにくくなるのが特徴なんですよ。

さくら
アラームや電子音って高い音が多いから、まさにADLやIADLに直結しますね!
安全面の影響:見落としやすい生活リスク
⚠️ 加齢性難聴で特に聞こえにくくなる音
高音域(火災報知器・電子レンジの終了音・お湯の沸騰音・電話の呼出音など)は、日常の安全と直結しています。「聞こえにくい」ことが事故につながる前に、OTとして生活場面での観察・評価を行うことが重要です。
高音域(火災報知器・電子レンジの終了音・お湯の沸騰音・電話の呼出音など)は、日常の安全と直結しています。「聞こえにくい」ことが事故につながる前に、OTとして生活場面での観察・評価を行うことが重要です。
コミュニケーション面の影響:「聞こえない」だけではない難しさ

仲田
そうなんです。次にコミュニケーション面ですが、ただ『聞こえない』だけではなく、『雑音の中から目的の音を聞き分けること』が苦手になります。ADLでいうと、テレビがついている部屋で家族と話す時や、ガヤガヤしたスーパーでのレジのやり取りなどで聞き返しが増えたりします。

さくら
あー、それで会話が億劫になって、引きこもりがちになったりするんですね…。

仲田
その通りです。心理的な孤立にも繋がります。では、私たちOTは日常の評価でどんなところを観察したら良いでしょうか?

さくら
会話の時に『え?』と聞き返される回数とかですか?

仲田
いいですね。他にも、『話しかけた時に、聞き取りやすい方の耳をこちらに向けるか(首を傾げるか)』『テレビの音量が異常に大きくないか』『背後から声をかけた時や、物を落とした音に反応するか』などを観察します。また、補聴器を持っている方は、自分で電池交換や耳への装着(巧緻動作)ができているかの確認もOTの重要な役割です。

さくら
補聴器の管理!たしかに細かい指先の動作が必要ですね。OTならではの視点です!
✅ OTが日常場面で観察するポイント(例)
- 会話中に「え?」と聞き返す頻度
- 話しかけた時に、聞き取りやすい耳をこちらに向けるか(首を傾げるか)
- テレビの音量が異常に大きくないか
- 背後から声をかけた時や、物を落とした音に反応するか
- 補聴器の電池交換・装着(巧緻動作)が自分でできているか
アプローチの工夫:「大声で話す」だけが正解ではない

仲田
最後にアプローチの工夫ですが、ただ大声で話せばいいわけではありません。環境調整が鍵になります。

さくら
環境調整というと?

仲田
『テレビを消して静かな環境を作る』『必ず正面に立って、口元や表情を見せながら話す』『身振り手振りを交える(視覚情報の活用)』などですね。生活環境への提案としては、音ではなく『光』や『振動』で知らせるタイプのアラームを導入することも有効です。

さくら
聴覚の低下を、視覚や触覚(振動)でカバーするんですね!すごく実践的です!

仲田
他にも質問等あれば療活の時に実際の物をみせますね。

さくら
ありがとうございます。
まとめ
- 聴覚の低下は「安全面(アラーム等)」と「コミュニケーション・心理面」に大きく影響する
- 加齢による難聴は「高い音」が聞こえにくくなり、雑音下での聞き取りが苦手になる
- 支援の鍵は「視覚・触覚での代償(光や振動)」と「環境調整(正面から話す、雑音を減らす)」
いかがだったでしょうか。視野が広がり少しでも役に立てたのなら幸いです。
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